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2015年01月01日

マキシピームとマスキュレートの取り違えに対する考察

正月気分が抜けるどころか、まだ実感もできていないという人も少なくないかもしれません。しかし医療の現場は動いています。薬剤の取り違えによる死亡事故がニュースになっています。心より、亡くなった方のご冥福お祈り申し上げます。

時事通信からNHK、また毎日新聞や読売新聞などの各新聞社サイトでも報道されていますが、一番詳しく報じられていたのがこちらです。

筋弛緩剤投与「死亡原因となる十分な量だった」…患者死亡の大阪府立急性期・総合医療センターが緊急会見 - 産経WEST

医師の指示は、抗菌剤の「注射用マキシピーム」でしたが、誤って筋弛緩剤「マスキュレート静注用」が投与されてしまったとのこと。

調剤を行った女性薬剤師は、毒薬専用の棚で保管されていたマスキュレートを取り出し、筋弛緩剤専用の管理ノートにも配送先などを記録していたということ。

また、病棟の看護師もマキシピームマスキュレートの容器の形状が似ていたことから、十分な確認を行わずに点滴を開始したとされています。

この薬剤師の「抗菌剤を処方していると思い込んでいた」というコメントが報じられていますが、マスキュレートを手に取って、マキシピームを取り揃えたつもりでいたのでしょう。投与開始から約2時間後、別の患者の抗菌薬を調剤していた際に間違いに気づいたということですが、時すでに遅し、でした。

こうした注射剤は、保険薬局では扱わないため、薬剤そのものこそ縁遠いものの、「取り違え」に関して言えば、誤解を恐れずに言えば日常茶飯事ですので、とても他人事とは思えません。

いくつかポイントとなる部分があります。

まずは、薬剤部でのダブルチェックがなされていなかったのではないかということ。私は病院の勤務経験がありませんので推測になってしまうのですが、医師のオーダーを当該薬剤師が調剤し、薬剤の確認が行われずに病棟に行ってしまった可能性があります。

29日の出来事ですので、年末年始でものすごく混雑していたのかもしれませんし、逆にお休みの関係から、通常の体制ではなかった可能性もありますね。とは言え、25歳とされるこの薬剤師、勤務年数は浅いはずですから、一人で調剤してしまったのであれば管理体制の不備も考えられます。

次に、名称類似による取り違えリスクです。「マキシピーム」は抗菌剤、「マスキュレート」は筋弛緩剤ですが、「マ」で始まり、更に長音があるという共通点があります。

マスキュレート静注用」というのは富士製薬から発売されている後発医薬品で、先発医薬品はMSDの「マスキュラックス静注用」です。一般名ではなくオリジナルの名称であったことが、取り違えの要因となった可能性もあります(これら薬剤の一般名はベクロニウム臭化物)。

とは言え、一般名だったら今回の取り違えは防げたかもしれませんが、アロプリノールとアロチノロールの件もありますし、そのあたりは何とも言えない部分でもありますね。

もう一点、「形状が似ていた」「びんのふたの色が似ていた」という報道があるように、外観の類似も今回の誤投与の原因となっている可能性があります。

マキシピーム
マキシピーム

マスキュレート
マスキュレート

どの規格のものなのかは報道されていませんので推測になってしまいますが、こうして見てみますと、注射用マキシピーム1gとマスキュレート静注用10rの形状とふたの色が類似していますね。

一日も早い原因究明と再発防止策が求められます。

100の事例に学ぶ調剤過誤防止 ヒューマンエラーの7分類

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19:01 | Comment(0) | ウラ

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