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2015年01月10日
[review]「添付文書がちゃんと読める統計学」
Amazonを徘徊していましたら、ふと目に入ってきた「添付文書がちゃんと読める統計学」という本。思わずタイトル買いしてしまいそうですね。
ご紹介に先立って、この本の著者である山村重雄先生は私の大学時代の恩師であり、竹平理恵子さんは、同じ山村門下で、私の同期です。ですのでレビューが甘くなるのはご承知の上、お読みください。
以前もご紹介したかもしれませんが、山村先生の著書の醍醐味は「基礎の知識を現場で役に立つよう橋渡しする」部分にあります。この本も、統計学という、どちらかと言えば忌み嫌う学問を、現場の薬剤師がどう活用するかといった視点から書かれています。
ですので本書は、数式がほとんど出てきません。非常に平易な言葉で、統計学の基本的な部分から、丁寧な言葉で解説されています。統計学という学問を学ぶことが目的ではなく、添付文書を読むために統計学を身に着けるための本であると言えます。
そして何よりいいのが、私たちが普段目にしている添付文書のデータがそのまま教材になっていること。ですので、取っつきにくさもまったくありません。
例えば、私たちが普段使う「平均」という言葉、そして添付文書に出てくる「平均値」という言葉についても分かりやすく記されています。そして同じ平均を示すものでも、「平均値」「幾何平均値」「調和平均値」などが紹介されてます。
お恥ずかしいながら、これらの違いって、普段添付文書を読む際には、ほとんど意識していませんでした。
アイミクスの添付文書は「平均値」で記載されていて、クレストールやシアリスのそれは「幾何平均値」、サインバルタの一部には「調和平均値」が用いられているなど、薬剤によって記載方法が異なっていることも、本書で知りました。
もちろん、アイミクスとシアリスを直接的に比較する機会はありませんが、なぜそのような記載方法になっているのか、その平均値の算出方法や経緯を知っておくことで、薬剤特性をつかみやすくなることは確かです。
裏表紙にある「この本を読めば添付文書に書いてある統計のコトバがスラスラ理解できるんですか?」という、ズバリの問いに対する答えがこちら。

「ウラにある意味」をどう理解し、日々の業務に役立てていくのかは、私たち自身が考えてゆかなければならないことなのでしょうね。
▽ 添付文書がちゃんと読める統計学

09:07
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| 本
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統計表現に惑わされないで患者さん視点をしっかり持ってくれる薬剤師が増えてくれることを期待して書きました。
こちらこそ、ありがとうございます。
「統計表現に惑わされない」ですね、なるほど。しっかり読み込みたいと思います。