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2019年01月04日

[薬局新聞]2019年新春号スペシャル

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」2019年新春号スペシャルです。

 9月の小欄に、カナダで薬剤師となった青山慎平先生にご登場いただきました。国が違えば文化も制度も異なり、同じ薬剤師でも大きな違いがあることを感じました。今回は小嶋慎二先生(栃木県)、高橋秀和先生(兵庫県)のお二方に加わっていただき、カナダの薬剤師業務と比較する中で、今後の日本の薬剤師像について語っていただきます。

かかりつけ薬剤師PERSONAL94


○ 日本とカナダの薬剤師業務の違い

小嶋 慎二
カナダでは、クラウドで薬歴が管理されているので、日本のような薬歴はないと聞いていますが、Medication Review Service や、各薬局での管理が必要な記録の保管はどうなっていますか?

青山慎平
カナダでの薬歴管理ですが、国全体でのネットワークは無く、あくまで州レベルでのネットワークです。私のいるBC州ではPharmanetという名前で知られています。最近14か月のBC州での薬歴を確認することができます。日本と違い、服薬指導内容を毎回記録に残すことはせず、必要時のみ実施します。Med Reviewや管理が保管なものに関しては、基本的にComputer system上(ローカルデータ)に記録します。

高橋 秀和
医療用医薬品の調剤に関する薬剤師側のフィーは、どういった形になっていますか?またその際の、患者負担金はどうなっていますか?

青山慎平
カナダでは、調剤報酬算定要件やそれを満たすための指導内容、記録などはありません。薬剤師側のフィーを一言でいうと、1剤につき約10ドルです。また、患者負担金については、世帯の所得に応じたDeductable(控除)の考え方が取り入れられています。病院での医療費の負担がないことはカナダの良い点ですが、一方で薬局では、1年間に300〜10000ドルと幅がありますが、ある一定の額に到達するまで全額患者負担になります。その額に到達した後は、国が支払ってくれることになります。このDeductableには、保険適応となる薬剤費の全額、薬剤師のFee (10ドル/ 1 薬品)が含まれます。

○ 薬剤師を取り巻く制度環境について

高橋 秀和
日本では、調剤技術料は高い、患者がフィーに見合った満足感を得ていないとしきりに批判されますが、カナダの状況をお聞きすると印象が変わりますね。むしろ、カナダでは1年の上限が(日本に比べて)低く定められていることが、患者側の納得感に寄与しているように感じられます。

青山慎平
Medication Review ServiceのFeeですが、これについてはDeductableに到達しているか否かに関わらず、国が全額負担しますので患者の負担はゼロです。したがって、時間のある方であれば比較的みなさん協力的です。

小嶋 慎二
患者さんにMed Reviewについての別途費用もかからず、文書でお互い確認することで、患者さんにも薬剤師の仕事を理解してもらえるんでしょうね。日本は付加業務全てに患者さんの負担を求めますから、患者さん視点ではないですよね。制度面で何とかして欲しいです。

高橋 秀和
英国で、薬剤師による処方薬のレビューが始まりましたが、患者の自己負担金に反映しない制度でしたね。日本では長らく、医薬分業「自体」が患者負担に反映し、割高になるとして批判の対象となってきました。お薬手帳の患者負担も「負担増」「無料」「減額」と右往左往しており、明らかに杜撰です。先進国の制度設計としては異様に感じます。

青山慎平
「患者と薬剤師との経済的利益が対立しない」ように制度が作られているのは確かに重要です。値段が上がるならいらない、となりますからね。加算をとらないからハイリスク薬の説明をしなくていいとか、小児科加算をとらないから別に小児に特別な服薬指導しなくていいとか、薬剤師のパフォーマンスに応じて変わる値段設定もおかしなものですよね。

○ グローバルな視点で今後の薬剤師像を考える

熊谷信
費用面で大きな違いがありますが、もっと根本的な部分にその差異の理由があるように思います。

小嶋 慎二
日本では、患者への指導内容までも毎回きちんと記録に残す薬歴第一主義、地域包括ケアシステムにおける在宅患者への訪問指導などが必須のものとなっている他、輸液などの高度調剤やフィジカルアセスメントなど、地域薬局の薬剤師に今後特に求められる知識やスキルは海外とは異なるよう思えます。

青山慎平
私が日本の状況について思うことは、薬剤師という貴重な資源を上手く使い切れていないということです。服薬指導記録の毎回の記載、残薬の確認、Do処方の投薬、調剤等の不要な部分を削ることで、薬剤師が本来実施すべきことにもっと時間を使えるようになると思います。あとは、もっとセルフメディケーションの領域に薬剤師が関与すべきですね。OTCの選択など薬剤師が介入できる点は多くあります。

熊谷信
日本では服用後の継続的な服薬状況の把握、指導が法令化されようとしていますが、そうした方向性についてはいかがでしょうか。

青山慎平
カナダの多くの薬局で、初回投与後のフォローアップまでできている薬局は稀だと思います。それらの方法についての教育は行き届いていますが、フィーが発生しないことや業務の多忙さから実施をほとんど見たことがありません。

小嶋 慎二
「ただ、棚から薬を出して数えている」という批判からの答えなのでしょうけど、 本当にすべての患者が服用後のフォローを求めているわけではないと実感しています。個人的には地域薬局の業務は、何を本来実施すべきかというカナダ(をはじめとする多くの国)の考え方が正しいと思いますが、「薬歴第一主義」の日本では受け入れられないのかもしれませんね。

高橋 秀和
医療用医薬品ネット販売解禁への予防策として、リフィルへの布石として、在宅医療のマンパワー充足のため、薬剤師と患者の結びつき強化のため、という狙いがあるのだろうと想像しています。意思決定において、誰も姿勢を示さない、ビジョンを示さない中で制度を変えて行こうとすると、こういった形にならざるを得ず、あまりよいものではないと思っています。弊害も大きいでしょう。

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こうしたことは次期改定に向けた大きな課題になりますので、今年はいろいろな動きがあることでしょう。懸念材料も少なくありませんが、引き続き動向を注視してゆきたいと思います。


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