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2009年05月24日

[後発医薬品]使用の動機づけをどのようにすべきか

後発医薬品の使用が進まず、厚生労働省が療養担当規則の徹底を求めるというニュース。

【厚労省】後発品使用進まず、「療担規則」遵守を徹底(薬事日報)
http://www.yakuji.co.jp/entry11685.html

中医協が3月に公表した「後発医薬品の使用状況調査結果」では、後発品への変更が可能な処方せんが全体の2/3あり、更にそれらのうち実際に変更されたのは6.1%だということです。

後発医薬品の使用にあまり積極的でない薬局も約3割ということで、依然として後発品の使用状況は低調と言っていいでしょう。

「療担規則の徹底」という部分、具体的にはどのようになされるかも書かれていますので引用しますと、

地方厚生局が行う適時調査や、集団指導・集団的個別指導の機会を捉えて後発品の使用を促す


ということで、「使用を促す」なんて書かれていますが、実際はそんなに生やさしいものではないかもしれませんね。

「何かをすれば何かが変わる」の「ジェネリックはノルマ、薬局は部下か」というエントリにも書かれていますが、こうした手法は大変危ういものであると言えます。

しかし厚生労働省としては「後発医薬品使用の環境は整えているのにどうしてなのか?」という思いはもちろんあるでしょう。肩を持つわけではありませんが、厚労省も環境整備に十分尽力していると思います。

じゃあ何が悪いかといえば、その手法ではないでしょうか。CBニュースに「「診療報酬で医療を変えるのはもう無理」―邊見会長」という記事がありましたが、そのとおりと思います(若干意味合いが違うかもしれませんが)。

ダグラス・マグレガーのXY理論に当てはめるならば、現在の手法は典型的なX理論に基づくものですが、これだと十分なモチベーションの喚起につながりません。

もちろん経営とは違いますし、これだけ巨大かつ複雑な体系の中でどのように動機づけを行うかは考えねばなりません。ただ、行き詰っている現状を変えるためには、手法を変えることも有効ではないでしょうか。


(関連リンク)

ロハス・メディカル:「薬局が悪い」 後発品の促進に"最終兵器"
http://lohasmedical.jp/news/2009/05/25012757.php

この記事へのコメント
この4月から自治体が保険証の更新時に保険証と一緒に被保険者に送付している「ジェネリック使用依頼カード」というものがあるのですが、これはかなり効果がありますよ。

前々から、ジェネリック使用促進のための啓蒙やイントロデュースは保険者や国が行うべきものだと述べさせていただいていますが、やっぱり個々の患者がジェネリックの存在を知った上で薬局に相談してくれるのは本当にありがたいです。無駄な説明時間がなくなりますからね。
こういうステージからなら、国や自治体の医療費軽減のためにいくらでも「努力」させて貰いますよ。
ま、先日のRISFAXに、ジェネリック推進施策が先発メーカーの新薬開発(特に合剤)とそれの営業攻勢を招いて、逆に医療費の増大を招く可能性がある、というショッキングな記事がありましたけどね。
残念ですね、思惑通りいかなくて。


何度も何度も言ってますけど、現場の業務を圧迫するような施策はそろそろ限界と認識してもらえないんでしょうか。

どんな会社だって、収益があるから社員の給与が年齢或いは就業年数に従って上がっていくわけで、病院とか薬局みたいに収益が国の施策で簡単に変えられてしまうところじゃ、従業員は安心して働けないですよ。
いつ赤字に転落させられたっておかしくないわけだから。
医療事務員や調剤事務員の待遇、把握してるんでしょうか?
実際収益を上げている優良病院は間違いなく医療事務員を使い捨てにしてますよ。中核になる職員を除いて派遣にしたりとかね。
薬局だって、調剤事務員の給与は一般事務に比べて相当低いはずです。伸びないし。
そもそも医業も薬業もコストに占める人件費の割合が極めて大きいことは中医協の面々は解っているはずなのに、ですよ。

医師会の一部の方は薬局の独り勝ちだと言うけど、それって現状の薬局業界では薬剤師の年収が調剤報酬に比して低いだけのことじゃないですか。それと事務員の給与が異常に低いのと。

もちろん、医療報酬が低すぎるのは認めますがね。

というか、なんで医業や薬業だけが国からボトルキャップを受けなきゃいけないんですかね?
医師や薬剤師の給与を年功序列で上げなくて良い根拠はなんでしょう?
有給休暇だって形骸化してるし、退職金だってほとんどないでしょ、どこの病院だって薬局だって。もちろん公的な病院は除きますが。

逆にいえば、国債や地方債をガンガン出してても公務員の給与が年功序列で上がる根拠ってなんなんでしょう?
有給休暇だってきちんと「取らされる」し、退職金は凄いし。
団体交渉権がないからですか?
そんなもん、薬局業界には組合なんてもちろんないし、病院業界だって、日赤とかの超大手だけにしかないですよね。え、チガウ?

磯部さんでも中医協のヒトでもだれでもいいから、その辺きちんと説明してもらえませんかね。現場批判ばかりしてますけど。

こっちはこっちで公務員に対して言いたいことだらけなんですよね(#-_-)

厚生労働省は労働者の権利を守る省でもあるわけですよ。
せっかくわざわざ二つの省を一緒にしたんだから、その辺バランス取ってやりましょうよ。
省内で縦割りとかいいかげんにしろって(怒)
Posted by さつき at 2009年05月25日 01:39
薬局に言わず、まず、「変更不可」の処方せんが本当に不可なのか、行政で聞き取り調査を行っていただきたい。
不可の場合は「理由を処方せんに書け」とか案を出したような気がしたのに、どっか行ってしまったんじゃないですか???

また、この%は加算の点数を算定した%ではないでしょうか?
薬局に先発が備蓄しておらず、加算を算定せず、銘柄でジェネリックに変更した場合も入っているのでしょうか????

先日ジェネリック推奨マークで、シルバーとゴールドマークがあるって知ってびっくりでした。
Posted by ぽんた at 2009年05月25日 08:13
後発品使用が進まない理由を
無作為に薬局で聞き取りしたら
いかがでしょう?
Posted by くろらべる at 2009年05月25日 12:30
後発品は結構薦めています。ただ、今の制度だと、患者がイエスといわない限り、先発品を使うしかありません。その割合を把握して発言しているでしょうか?
ちなみにうちの薬局では、だいたい8割の患者さんが「先発品のまま」を希望します。
1割負担の患者さんだと、あまりメリットも感じられませんしね。
確かに積極的ではない薬局もあるのでしょうが、それだけが理由ではないということをきちんと知ってほしいです。まぁ、知っていて無視しているのでしょうけど。

生活保護の患者さんへの後発品使用を打ち出しながら、さっさと引っ込めた人たちにいろいろ言われたくないです。
Posted by めぐ at 2009年05月25日 13:03
うちの門前は変更すると次回から処方せんの記載は後発になります。
また患者さんが医師に相談した場合や、生活が厳しそうな人には後発で出されます。

だから変更は少ないです。
来年の3月には数量ベース30%を目指してもう少し頑張りたいですね。
Posted by kense at 2009年05月25日 13:25
医者への疑義照会によって薬局に不利益がもたらされる場合があるということをお役人は想像すらできないんでしょうね
うちの場合は変更可の処方箋しか来ませんが実際に薬剤師から患者さんに変更を促すことはないですね
積極的ではない薬局がどういう環境にあってそうなっているのかもちゃんと踏まえてほしいもんです

まあぶっちゃけ医療の担い手には数えられてないんですよ薬剤師は
だからこうやって責任を押し付けられる
医者は、薬剤師が薬に間違いがあるのに気づくことなく投薬してしまった、と言及できますが、薬剤師は、医者が処方を間違えていた、とは言えない体制を作られてますもんねw
薬局は部下か、というより部品でしょう
彼らにとってはパソコンと一緒ですよきっと

私個人としては後発品にはあまり積極的ではないです
たくさんのエビデンスが蓄積されているものはむしろ置き換えて使っていますが
そういえば細かい説明などを求めると、先発に丸投げ、なんてうわさも良く聞くんですが何かのギャグですかこれはw
Posted by 通りすがり at 2009年05月25日 20:27
>皆様
コメントありがとうございます。
すごく多くの観点から書き込みを頂き、この後発品の問題、予想以上に根は深いのでは?と考え入ってしまいました。

ちょっと話はずれるかもしれませんが、半分批判覚悟で書きます。私が思う問題点は「建前が多すぎる!」ということです。

・そのGEを選んだ根拠
・患者への説明と同意
・医師へのフィードバック

どれも確かに大切だってことは分かりますよ。でも医師がGE採用や処方する時って、全部満たしてます?

医師は生物学的同等性や溶出試験の結果を見て採用して、変更に際して患者さんにそれらを説明して、処方変更になった理由をスタッフや我々薬局に説明しますか?

あの、決して医師批判が目的ではありませんので、取り違えのなきようお願いします。


「代替調剤」って、我々や我々の先輩方が熱望していた制度ですよね。「後発医薬品への変更」って、名前こそ違いますが正に「代替調剤」じゃないんでしょうか。

昔思い描いていた姿と現在の状況。そのギャップに答えが隠されているのではないかと、最近考えています。それともその当時が、「代替調剤」という幻想を夢見ていただけ…ですかね。
Posted by くま☆ at 2009年05月25日 23:52
>くま☆さん

究極的に薬剤費を削減しようと思ったら、良い悪いは別にして、やはり医師の処方に制限を掛けるしかないんじゃないかと思うんですがね。
薬物療法ガイドラインでガッチガチに縛るとかで。
もちろんこれは医療水準の低下や、患者が自らが受ける医療を選択する自由を奪うことにもつながりますので、国民にとっては諸刃の剣だと思いますけど。

少なくとも客観的に見て必要性の薄い、首をかしげたくなるような処方が遍在していることは確かで、しかしそれを望んでいるのが実は患者自身だったりするから話がややこしいんですよね。

そういう現実を無視して、後発品の使用促進だけ進めたところで限界があると思うのですがね。

やっぱり教育ですね、教育。
皆保険の教育と薬育。これに尽きると思います。

ところで、方々から声が上がっているところではありますが、敢えて繰り返しますと、病院や薬局が医担則や薬担則により後発品を処方・調剤することを強要されそうになっている一方で、誰がどう考えても「特許切れ対策」でしかない合剤を承認してしまう行政とは一体何なんですかね?
一貫性がまるでないのですが、酔っているか寝ぼけているんでしょうか。
この辺りも磯部氏に是非懇切丁寧にご説明願いたく存じ上げる次第であります。

ま、結局天下り先の確保が大事という…もごもご
(ちなみにファ○ザーは厚労省の覚えがよろしくないという噂)
Posted by さつき at 2009年05月26日 00:55
あ、ちなみにうちの後発品変更の流れは以下の通りです。

@患者からの後発使用依頼

A変更可能な先発医薬品と変更後の後発品の名称等の説明。負担金差額の提示。
メーカーは基本的には1銘柄のみの在庫。
(ただし、中には銘柄指定してくる患者も居るため、銘柄は増える一方)
銘柄選定理由の説明なし
(もちろん流通は加味してますが、品質等は「国が認めているので」しか答える気がありませんので)

B変更した際に起こりうる体調変化の説明と、どの程度の期間慎重に様子を見るべきかの指導。

C調剤

てなかんじです。
ただ、対話の中で患者の経済状況等によるドロップアウトの可能性、或いはコンプライアンス不安を感じた時には、こちらから変更を持ちかけますがね。
ま、わたし不良保険薬剤師ですからw
Posted by さつき at 2009年05月26日 01:07
薬剤師は、医者が処方を間違えていた、とは言えない体制を作られてますもんねw
薬局は部下か、というより部品でしょう
彼らにとってはパソコンと一緒ですよきっと
>まさしく。
と言うより部品ならいいですが、処方どおりに薬さえ作ればいい下僕って思ってる傲慢な医師も「一部」にはまだ存在します。

すみません、過激な話で。
横道ですみません。

しかし、医師が間違った処方を書いた場合、処方料を減算するぐらい行政でやらないと永遠に無理な気がします。
現状では詐欺罪ぐらいでしか処罰できないんでしょ?
おかしいですよね。
明らかに間違ったものでお金とったら。
なかなか間違ってるかどうか、の判断ができないからでしょうけど。

しかし、簡単な用法もれなどは、薬剤師のみならず、医師にも何らかのペナルティを課すべきで。
医師の教育。これがきちんとされ、院外処方せんの正しい書き方を理解されるスタートラインあってこその、「後発変更可」だと思います。

うちは、近隣のDrはもともとジェネリック使いますから、相談して銘柄での変更を着々と進めています。

そんなもん、相談して変更してたら、その時間だけで10分、15分簡単に経ってしまいます。
1日(8時間)40枚から逆算すると。
一人にかけられる時間はたったの「12分」です。

Posted by ぽんた at 2009年05月26日 07:32
>さつき様
コメントありがとうございます。
確かに教育は最も大切なことかもしれません。時間は少しかかるかもしれませんが、長い目で見たら最も効果があるでしょうし。

> 一貫性がまるでないのですが、酔っているか寝ぼけているんでしょうか。

すみません、不謹慎ですが吹き出してしまいました(笑

>ぽんた様
医師と相談できる関係が構築できているのはすばらしいことですね。以前コメントでいただいた「トライアングルで」という言葉が印象に残っています。
Posted by くま☆ at 2009年05月27日 00:03
個人的には後発品を使用することにそれほどの抵抗感は感じません。変更するとなると手間は増えますが…

嫌われる理由として真っ先に挙げられるのは添加物の違いですが、それほど気にするものでしょうか?
病院の薬審では普通錠やカプセルからOD錠への変更は平気で行われているはずです。
知らない間に添加物が代わって味の改良がされているということも少なくありません。

次に後発メーカーの情報提供体制が批判されますが、そもそも特許が切れた医薬品の情報提供を先発メーカーはちゃんとしているでしょうか?(効能追加の時はやってきて後発品とは適応が違いますと話すぐらいでしょう)
主力の2,3品目のプロモーションだけはしていきますが、それ以外は聞いてもちゃんとした回答が返ってこないこないのが現状でしょう。

医療費抑制のために後発品を推進するなら、保険者がもっと意識を高め啓発すべきではないでしょうか?今更になって各市町村国保課に対して指導するのも疑問です。

ある政令指定都市の市長が言うように、減税を目標にしないことには役所のコスト意識は高まらないのかもしれませんね。

あと、数週間前の東洋経済でクスリの特集がされていました。
その中で元薬剤師会の理事の方が、
「5種類の薬を飲んで症状が安定している人がそのうちのいくつかをジェネリックに変えたことで調子が悪くなるのはいただけません。今、処方されている薬で症状が安定している人があえてジェネリックに変えるひつようありません」と結んでいますが、このコメントどうなんでしょう。1種類ずつ変えましょうではないのでしょうか…
Posted by えす at 2009年05月27日 18:21
くま様・・・・照れてしまいます・・・・
いい関係ばっかじゃなく、コメントからお察しいただけると思いますけど、過激なときもあり・・・偉そうな医者とはとことん喧嘩します(はは・・・)

でも、今日も1軒、めずらしく後発変更不可に印を押してなかった内科Drの処方せんを受けたので、まあ堅物でややこしいので有名な先生ですけど・・・・
印がないから変更していいと思いつつ、電話いたしました。
患者さんはジェネリックでもいいと、国の方針なので、できればジェネリック使いたいのですが、よろしいですあk?と。
メーカーによるからねと、外来まだいると思いますが、10分ぐらい話をして、そのメーカーならいいよと、OKをいただき、次から処方せんをジェネリックで書くとおっしゃいましたので、次回から変更となりました。

なるべく医師の意見を尊重したいです。
でも、徹底的に喧嘩もします、約1名とはバトル中です(笑)
それで、ジェネリック%は80%以上です。
Posted by ぽんた at 2009年05月27日 19:09
結局、変更して問題が生じたときの責任の所在がはっきりしないんですよね。
変更可にした医師なのか、変更した薬剤師なのか、メーカーか、承認した国なのか。(自分は国だと思ってますが。次にメーカー)

責任を負いたくない薬剤師が、添加物が〜、品質が〜、情報提供が〜などといいわけをしているから話がややこしくなるんです。

厚労省は問題が生じた場合はきちんと国でフォローをすると明言して、製剤の不具合があれば些細なことでも報告をあげるよう通達を出したらいいんじゃないでしょうか
Posted by ゲン at 2009年05月28日 14:01
>えす様
ありがとうございます。
私も添加物については特段気にすることはないと考えております。同様にGEメーカーが「先発品と同じ添加物を使用しています」とアピールすることも無意味と考えます。

東洋経済の記事は見ておりませんが、厳密な血中濃度のコントロールが必要な一部の医薬品を除けば、えす様のお考えがもっともと思います。

>ぽんた様
制度的には薬剤師が変更して医師へ報告で問題はないのでしょうが、患者、医師とできるだけ密な関係を保ち、意思の疎通があればすばらしいと感じます。

>ゲン様
確かに「品質は国がお墨付きを与えている」といいながら「選択の基準」や責任を現場に求めるのはちょっと違和感がありますね。
Posted by くま☆ at 2009年05月29日 00:22
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Weblog: 薬事日報ウェブサイト
Tracked: 2009-05-25 16:00


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