新着記事
11/27
11/16
10/11
07/17
2007年06月04日
後発品選択基準は「安定性」
矢野経済研究所が2006年11・12月に行ったジェネリック医薬品に関する調査の概要が発表されました。
医師のGE医薬品選定・採用実態/GEメーカー評価、徹底調査(No.2)(矢野経済研究所)
リンク先にのページはpdfファイルで調査概要も示されています。
ここではサマリーの冒頭だけ引用します。
ちょっと意外だと感じるのは普段よく言われている「生物学的同等性」や「添加物」がトップでないということです。確かに「安定性」は大切な要素でしょうが、この調査結果は妥当と言えるでしょうか。
例えば吸湿性が高かったり、遮光が必要な医薬品であれば安定性に注意が払われますが、それ以外の多くの医薬品で安定性が真っ先に言われることは少ないと思われます。
ではこの調査で「安定性」が選択基準の一番に挙げられたのは何故なのか。ここからは完全に推測ですので、それをご了解の上お読みください。
まずこの「使用選択基準について」という設問ですが、回答を複数選択する形になっています。そのリストがこちらです。
後発医薬品チェックリスト
「品質」という大きなカテゴリの中の最初に「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」が挙げられています。ポイントはこの「最初に書いてある」というところです。
繰り返しになりますが「複数回答」です。回答が「1つを選択」するのであれば全部の選択肢を見た後に一番の物を選ぶことになりますが、複数回答ですと「頭から順に」となります。
回答する医師の頭にある「品質」という選択の基準が、リストの最初にある「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」にチェックを入れることに繋がってはいないでしょうか。
それを裏付けるわけではありませんが、調査概要のpdfファイルにあります「図4.GE医薬品の使用選択基準について」を見ますとあることに気がつきます。
「どの選択肢をどれだけの人(何%の人)が選択したか」ということがグラフになっています。「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」にチェックをつけた人を見てみますと約55%です。
これは「品質カテゴリ」中ではずば抜けて高い数字になっています。調査全項目中でも最大です。ちなみに「生物学的同等性」は約35%です。
この調査では「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」が選択肢の最初にあったので最も選ばれたという可能性は捨て切れません。仮に「生物学的同等性」が最初にあったらまた違った結果が得られるのではないでしょうか。
いずれにしましても後発品選択の際に「品質」が最重要ということに変わりはないと取れますが。
(関連ニュース)
矢野経済研究所、「医師のジェネリック医薬品の使用選択基準は『安定性』がトップ」などの調査結果を発表(マイライフ手帳@ニュース)
医師のGE医薬品選定・採用実態/GEメーカー評価、徹底調査(No.2)(矢野経済研究所)
リンク先にのページはpdfファイルで調査概要も示されています。
ここではサマリーの冒頭だけ引用します。
◆医師におけるGE医薬品の使用選択基準は、トップが「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」、次いで「患者負担軽減」と、この2つの基準がGE医薬品を選択する上で重要な要因となっている。
◆医師におけるGE医薬品メーカーに対する評価は、トップが明治製菓、次いでエルメッド・エーザイ、旭化成ファーマ、日本ケミファの順となった。なお、病院形態別では、GPのトップは明治製菓、HPのトップはエルメッド・エーザイ。
ちょっと意外だと感じるのは普段よく言われている「生物学的同等性」や「添加物」がトップでないということです。確かに「安定性」は大切な要素でしょうが、この調査結果は妥当と言えるでしょうか。
例えば吸湿性が高かったり、遮光が必要な医薬品であれば安定性に注意が払われますが、それ以外の多くの医薬品で安定性が真っ先に言われることは少ないと思われます。
ではこの調査で「安定性」が選択基準の一番に挙げられたのは何故なのか。ここからは完全に推測ですので、それをご了解の上お読みください。
まずこの「使用選択基準について」という設問ですが、回答を複数選択する形になっています。そのリストがこちらです。
後発医薬品チェックリスト
「品質」という大きなカテゴリの中の最初に「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」が挙げられています。ポイントはこの「最初に書いてある」というところです。
繰り返しになりますが「複数回答」です。回答が「1つを選択」するのであれば全部の選択肢を見た後に一番の物を選ぶことになりますが、複数回答ですと「頭から順に」となります。
回答する医師の頭にある「品質」という選択の基準が、リストの最初にある「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」にチェックを入れることに繋がってはいないでしょうか。
それを裏付けるわけではありませんが、調査概要のpdfファイルにあります「図4.GE医薬品の使用選択基準について」を見ますとあることに気がつきます。
「どの選択肢をどれだけの人(何%の人)が選択したか」ということがグラフになっています。「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」にチェックをつけた人を見てみますと約55%です。
これは「品質カテゴリ」中ではずば抜けて高い数字になっています。調査全項目中でも最大です。ちなみに「生物学的同等性」は約35%です。
この調査では「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」が選択肢の最初にあったので最も選ばれたという可能性は捨て切れません。仮に「生物学的同等性」が最初にあったらまた違った結果が得られるのではないでしょうか。
いずれにしましても後発品選択の際に「品質」が最重要ということに変わりはないと取れますが。
(関連ニュース)
矢野経済研究所、「医師のジェネリック医薬品の使用選択基準は『安定性』がトップ」などの調査結果を発表(マイライフ手帳@ニュース)
17:03
| Comment(15)
| 後発医薬品・銘柄変更可調剤
この記事へのトラックバックURL(承認後の表示となります)
http://blog.sakura.ne.jp/tb/4247108
http://blog.sakura.ne.jp/tb/4247108
ただぼくが思ったのは「生物学的同等性」って言葉がわかりにくいんですよねぇ。生物学的?!に同等だったらいいのかっていう逆な不信感につながります。
逆説的に考えると「不安定」と「生物学的に非同等」だとやっぱり避けたいのは「不安定」ではないかと・・・
もちろん一番上にあるのも罠かもしれませんけどねww
でも「生物学的同等」を宣伝文句にしているジェネリックメーカーは多いですね。だからジェネリックメーカーにとっては意外な回答結果だったのでは?
イメージだけじゃないですか?「安定」って。
Drって「オレンジブック」を知ってればいい方と思います。
「生物学的同等」って言葉があることも知らない方が多いのではないでしょうか?
しかし、
相互作用の話をすると、人体に入ってからは違う、臨床の経験から云々とよく言われますが(年配のDr)、ジェネリックの効果云々は試験管の中の情報だけって言うのはある意味滑稽です。
動態を気にしないドクター(ってか処方内容)によく出くわすからかもしれません。
循環器の専門医がニトロダームを心臟の上に貼れとか、手先が冷たいなら手の甲に貼るとあったまるとか言ったりするくらいだしなーw
くまさんの推論も十分考えられますが、実際に生物学的同等性を考慮してない医師も多いと思います。
私も完全な憶測ですが、「安定性」を選択基準とされた方の中には
「無包装状態」「粉砕後」等の安定性試験も含めて選んだ方もいらっしゃるのかな、と思いました。
もちろん「安定性(長期保存・加速・苛酷試験)」と明記されているので、私の勘違いと思いたいですが。
「生物学的同等性」という言葉、確かに漠然としていて掴みにくいのかもしれませんね。逆に「安定性」は意味がすんなり通るというか、広い意味で捉えられていそうです。
>某卸@配達人様
「ジェネリックメーカーにとっては意外な回答結果だったのでは?」という部分、私も同意です。この調査、今後販売の際に何か影響が出てくるでしょうか。
>通りすがり様
患者さんの声が直に反映されることを考えますと、この結果も納得ができますかね。
>ぽんた様
明治は先発品も製造しているからでしょうかね。やはり先発・後発両方作っているメーカーが強い印象をうけますね。
>遮様
皆様もお書きいただいていますが、医師の視点からみると同等性以外の部分を向いているケースのほうが多いのかもしれませんね。
>まきまき様
上にも少し書きましたが、「安定性」という言葉、その分かりやすさも手伝っていろいろな意味を内包して捉えられているような感じもします。
薬剤師と医師の認識のズレ、視点のズレがダブルチェックの本質ですから、この結果は当然といえば当然と言えるかもしれません。
ただ今回の結果から言えることは、今後後発品採用が推進された場合、相当数の患者不利益が発生する可能性があるということです。
医師と薬剤師に後発品切り替えによる結果推定に差が生じるということですから。
後発品各社にはその差がなるべく生じないよう鋭意努力願うとともに、薬剤師の後発品選定にも相当の努力が必要かと思います。
知ってても、そういう物がある・・・・ぐらいで。平気で粉砕指示出しますし。
先発品-後発品間の差異は大変注意が払われますが、後発品同士の問題となるとなかなか疎かになりがちです。その辺りの注意喚起も必要なことと思われます。
>ぽんた様
バイアスピリンの粉砕とか、アダラートLの粉砕もありますね。もちろん必要があっての粉砕でしょうから、それで期待される効果が得られているのであれば問題ないのかもしれませんが。
バファリン81の方が、まだましと処方変えていただきました。(オメプラも一応タケプロンODに)
それは・・・血吐くかも・・・・
効かないのも怖いけど、降圧剤の徐放剤が急激に放出されたら…と思うと…
古いドクターはDDSなんか知らないんだろうと思いますよ。
>遮様
処方の複雑化はよく言われますが「製剤の複雑化」という部分、とても疎かにされがちです。その(製剤)特性があって初めて有効なものとなる医薬品は決して少なくないですよね。
評価が高い一因として製剤屋からみますと次かと思いました
・明治ー小林はバンコマイシンMEEK:溶解性改善、非常に生食溶解時の泡立ちが少ないです。安定性も先発塩野義の2年から明治は3年となっています。
・エルメッドエーザイ 口腔内速崩錠 加湿条件での安定性がよく、医療現場での錠剤分包機でのカセットで裸でおいておいても安定との評価がよく文献でみられます。
ありがとうございます。
なるほど、単にイメージが優先しているとも言い切れないですね。イメージって品質由来という部分もありますし、どっちが先かというとまた難しい話になりそうですが。