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2011年03月01日
[薬物乱用防止教室]小学生向け授業で留意すべき点5つ
今日は学校薬剤師として、担当する小学校の6年生に薬物乱用教室の授業をしてきました。内容は薬物乱用のほかに、お薬とアルコールについても基本的なお話をしてきました。
薬物乱用防止教室の授業、初めてではなかったもの、小学生に向けてどんな話をどんな方法(話し方)で伝えたらよいか戸惑った部分もありました。今回感じたことをいくつか残しておこうと思います。
(1) 事前準備をしっかりする
こういった授業は、準備が占める割合がかなり高いと思うのですが、この学校で私が行うのは今回が初めてということもあって、学校側からどんな内容の講義をしてほしいのか、こちらがどういったことを伝えたいのかという、内容の部分について事前に擦り合わせをしました。
それに基づいてパワーポイントでスライドを作成、更に時間配分や進め方まで、ある程度シミュレーションしておくことで、授業が円滑に進みます。
それからもう一つ大事なことは、その学年やクラスの「色」を把握しておくことです。例えば、「質問はあるかな?」と聞いたときに、ガンガン手が上がるクラスもあれば、なかなか出てこないクラスもありますよね。
授業は一方的に進めるものではなく、理解度や反応を見ながら進めた方が、聞いている方も話す方も楽しいはずです。そういう意味でも、「このクラスはどんな生徒が多いのか」ということを、ある程度事前に知っておく必要があります。
(2) テンション高めに保持する
これは相手が誰であっても言えることなのですが、特に相手に対して何か提供する場合、テンションの高さがとても重要になってくると思います。今回の場合は特に、「思いを前面に出す」ことを心がけました。
実は今回授業をした6年生、かなり落ち着いている方で、いろんな問いかけに対しても反応がどんどん返ってくる感じでなく、どちらかと言えば下を向いてしまうような感じの生徒が多かったです。
だからと言って、話をする側が小さい声でボソボソ話したり、物静かに授業を進めても、それって伝わらないと思うんですよね。今回の6年生、表にこそ出さないけれど、熱い想いを持って伝えることで、しっかりと受け止めてくれたのではないかと感じています。
(3) 言葉の定義をしっかりする
当たり前のことと言えば当たり前なのですが、生徒たちにとって知らない言葉や、知っていてもしっかりと意味を把握していない言葉がいくつかあります。この傾向は、年齢が下がるほど高くなるでしょう。
例えば、私たちが普段何気なく使う「副作用」という言葉。6年生ともなれば耳にしたことくらいはあるかもしれません。しかしこういった授業のキーワドともなり得る重要な言葉は、しっかりと定義する必要があります。
「副作用」であれば、まずは、お薬を使う本来の目的である「主作用」について伝え、それ以外、つまり期待している作用以外のものが「副作用」だと伝える、といった具合です。ほかに「依存性」なんて言葉もそうですね。
当たり前に使っているのですが、いざ他人に説明しようとすると分かっているようで分かっていない言葉というのはあるものです。そういう意味では、いい勉強になりますね。
(4) ギャグが滑っても凹まない
授業のような場面でギャグが滑るのは、ある意味必然かもしれませんが、それをいちいち気にしていたら授業が進まなくなってしまいます。ギャグが寒かったのではなく、ジェネレーションギャップのために伝わらなかった、と解釈するのがいいでしょう。
(5) ココロにしみる言葉で伝える
話のまとめの部分で、お酒やタバコをやってみないかと誘われたら、「断る勇気」を持ってください、という話をしました。基本的な知識はもちろんなのですが、今回、私が伝えたかったもっとも重要なことでもあります。
単に「健康を害するから」とか「法律で禁止されているから」といった理由では、もしそのような場面に遭遇した際、頭では分かっていても、なかなか断ることができないでしょう。でも、そういう時に正義を貫ける人になってください、と。
とは言え、言葉で伝えるのは簡単ですが、「断ること」ってなかなかできることではないですよね。
大人になると、悲しいかな「正しいことを正しい」と言えない環境になってしまうことも多いです。でも、そんな「大人の事情」を6年生に伝えるのも酷というもの。6年生には6年生なりの正義の貫き方があってもいいのでは、と思ったのです。
それからもう一つ、フォロー的な意味も含め、そういう場面に遭遇した際に、「立ち去る」ことの重要性についても伝えました。もうどうしようもなくなったら、その場から立ち去ることも選択肢に入れるんだよ、と。
それは決して逃げることではない。その場から離れて、他の友だちや大人に相談することも大切なことだというのは、分かっているようで案外、気がついていないのではないでしょうか。
ということで今回の授業、実は私が一番楽しんじゃっていたのかもしれません。機会があれば、他の人がする薬物乱用防止教室の授業も聞いてみたいですね。
覚せい剤Q&A―捜査官のための化学ガイド
21:51
| Comment(4)
| ウラ
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今、実習生がいて、心をつかむのに苦労しています(笑)
学生さんは2人いるので、すぐ2人で楽しくなってしまうし、就職活動したいから休むし、実習は必修だから仕方なく来ているし、、、的な雰囲気が、、、(泣)
こっちも一通り教えないといけないし。。
あぁ、両思いってなかなか無いですね〜
コメントありがとうございます。
実習生を2人一緒に受け入れしているのですね!
そのくらいの年齢になると、小学生とはまた別の「心のつかみかた」が必要になるのでしょうね。なかなか大変そうです。
学生さんにしてみても、どうせ同じ時間、実習をするなら楽しくできたほうがいいと思うのですが…。2人というのも、難しい要素ですね(全然お役に立てるコメントでなくてすみません…)。
私も学校薬剤師をしているものです。
中学生を対象に3度ほど授業をさせてもらいました。
そのときは、先生方もたくさん機器に来てくださって、煙草やお酒の話の時には、子供たちが、先生のほうを向いて、にやにや笑い、先生も苦笑いの感じでしたね。
小学校の学校薬剤師もしているのですが、
小学校でも、いづれお話しする機会がもてればと思っています。
中学生と小学生では、かなり違いますものね。
今回のお話、非常に参考になりました。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
小中の学校薬剤師をしていらっしゃるのですね。中学生の授業は、また違った感じになるのでしょうね。
私なぞ、まだまだ力が足りないことだらけだと感じます。お気づきの点がありましたら、ご教示いただければと思います。