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2007年06月15日
新薬価制度提案を読む
日本製薬工業協会が新しい薬価制度を提案したとのこと。
「新薬は高く、古い薬は安く」 製薬業界が薬価制度案(朝日新聞)
「新しい薬はしっかり評価して高く、古い薬は値段を下げて、結構なこと」ではあるのですが、実際にどんな形になるのか検証してみました。
実に多くの仮定の上にある検証ですし現行の薬価制度がいつまで続くのかも分かりません。ちょっとした「ネタ」程度にお付き合いください。
まず今回の薬価制度提案、実際の詳細を見ていませんので何とも言えませんが、紙面からのみの内容をまとめるとこんな感じですかね。
・新薬は製薬会社が説明責任を負い値付けをする新方式
・新薬は2年に一度(今後は毎年?)の薬価改定の対象外
・特許切れの医薬品は今以上の値下げ
それを実際の新薬にあてはめたらどんな形になるのか。大雑把にではありますがグラフ化してみました。
現行(青いライン)は初回収載の薬価を300円とし、薬価改定毎(毎年)に5%の薬価ダウンを想定し、特許切れ(20年と設定)の際に大幅(3割)なダウンがあるとします。
一方今回の案(赤いライン)は初回収載が製薬会社による値付けがされるため1割高い薬価と仮定し、また特許切れまでずっと同一価の維持は難しいため、5年毎に1割の薬価ダウンとしました。
更に特許切れ以降は「今以上の値下げ」が提案されているため、単位薬価を6.4円としてあります。
特許が切れるまでに収益をきっちり確保できる方式だということが分かります。「特許切れ後は安いんだからいいじゃん」と思うかもしれませんが、別の見方を一つ。
それはこの方式だと「後発医薬品の存在意義がなくなる」ということです。特許切れ後、先発医薬品の薬価が一気に下がれば「安い後発品」は不要になります。
日本にはこの方式のほうが合っているのかな?と思わないでもないですが、独占状態が続き競争がなくなることがどんな結果を生むのかも心配です。
またメーカー側は特許切れまで薬価が下がらないことを逆手に取り、薬価差益を前面に出した販売スタイルが主流になるでしょうね。
一見すると良さそうな提案に見えますが、結局は先発メーカーのためのものなのでしょうか。
「新薬は高く、古い薬は安く」 製薬業界が薬価制度案(朝日新聞)
「新しい薬はしっかり評価して高く、古い薬は値段を下げて、結構なこと」ではあるのですが、実際にどんな形になるのか検証してみました。
実に多くの仮定の上にある検証ですし現行の薬価制度がいつまで続くのかも分かりません。ちょっとした「ネタ」程度にお付き合いください。
まず今回の薬価制度提案、実際の詳細を見ていませんので何とも言えませんが、紙面からのみの内容をまとめるとこんな感じですかね。
・新薬は製薬会社が説明責任を負い値付けをする新方式
・新薬は2年に一度(今後は毎年?)の薬価改定の対象外
・特許切れの医薬品は今以上の値下げ
それを実際の新薬にあてはめたらどんな形になるのか。大雑把にではありますがグラフ化してみました。
現行(青いライン)は初回収載の薬価を300円とし、薬価改定毎(毎年)に5%の薬価ダウンを想定し、特許切れ(20年と設定)の際に大幅(3割)なダウンがあるとします。
一方今回の案(赤いライン)は初回収載が製薬会社による値付けがされるため1割高い薬価と仮定し、また特許切れまでずっと同一価の維持は難しいため、5年毎に1割の薬価ダウンとしました。
更に特許切れ以降は「今以上の値下げ」が提案されているため、単位薬価を6.4円としてあります。
特許が切れるまでに収益をきっちり確保できる方式だということが分かります。「特許切れ後は安いんだからいいじゃん」と思うかもしれませんが、別の見方を一つ。
それはこの方式だと「後発医薬品の存在意義がなくなる」ということです。特許切れ後、先発医薬品の薬価が一気に下がれば「安い後発品」は不要になります。
日本にはこの方式のほうが合っているのかな?と思わないでもないですが、独占状態が続き競争がなくなることがどんな結果を生むのかも心配です。
またメーカー側は特許切れまで薬価が下がらないことを逆手に取り、薬価差益を前面に出した販売スタイルが主流になるでしょうね。
一見すると良さそうな提案に見えますが、結局は先発メーカーのためのものなのでしょうか。
16:27
| Comment(8)
| ウラ
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品質の問題も、そういつまでも楽ではいれないはず。
それで、「先発メーカー」が、わざわざ無理して「ジェネリック」を作るよりは、余程この方が理にかなっていそうな気がします。
アメリカとは医療保険制度が違うのですから。日本では「ジェネリック」を主流は難しいと思います。
先発が主流で独占状態の時には、新薬の開発に力を入れていましたし・・・・
何らかの競争意識と企業努力はされるのではないでしょうか?
私はとにもかくにも、「安心できる品質」の医薬品を調剤したいですから。
そして、後発薬メーカーがなければ、果たして期限後に格段の値下げが行われるかは不明ですね(国内のメーカーはともかく、外資系のメーカは特に利潤追求に厳しいから。米国における後発薬つぶしの状況を見ておれば明らかです)。
薬価制度の規則内にどれだけ下げるかを明記する必要があるでしょう。
逆に、多くの一般社会(特にメディア人)に誤解のある点は、先発薬メーカーは特許によって20年間の「独占的販売期間」が確保されていると思っている点です。特許申請は開発の初期に申請されているので、実際に独占販売できる期間は6〜10年程度しかありません。通常の製品と異なり、販売承認に至る試験・審査期間などによって特許期限の大部分が費やされていることは、案外知られていません。
それなりの、研究開発に投下した資金の回収とその後の研究資金の調達を認めなければますますもって新薬のドラッグ・ラグは避けられないでしょう。新薬の薬価をどこで折り合いを付けるかと言うところでしょうね。
そのためには、新薬研究開発経費と、上市後の資金回収状況に関するような調査が必要だと思います。
特許切れ先発品の薬価を下げることについては、確かに推奨すべきですよね。あと個人的には「ゾロ新」はもうちょっと薬価を抑えてもいいと思います。
>さくら様
すいません、20年に設定しちゃいましたが確かに丸々ってわけにはいかないですよね。
新薬開発に関わるコスト等、適正に評価されるべきとのお考え、全く同意いたします。
個人的には後発品の使用よりは特許期限切れ先発品の薬価下げに賛成です(というか新薬価提案)。日本の保険制度では先発品も後発品も同じように保険がきくので、特許切れのときに先発品の薬価が下がってくれれば後発品は必要ないのでは?と思っています。
というよりも、切れた先発品の薬価を下げずに後発品の使用を推奨という姿勢が「なぜ?」と思いますが…。
現状のままいくと日本の製薬企業の国際競争力なくなっちゃわないのかな?
前には後発品メーカーが薬価差益を武器にした販売方維持のために、実売価格を反映した薬価の下げに反対するような事が書いてありましたよね。双方生き残りに必死ですね。
今回のような新提案が通れば、価格だけがメリットの後発品はいらなくなるでしょうね。
皆保険制度を維持していくために、なんとしても医療費を抑えたい国は、今後の後発品の使用の割合等をみて可能性のある方向へ進んでいくでしょうね(処方箋の後発品使用前提様式に変われば、有無を言わさず後発品生き残り!でしょうか)
なんにしても、今後の実績を見ていくわけだから、その選択の中心でもある薬局薬剤師は重要な責務を担っているわけですよね。
ただ、先発メーカの期限切れ商品の薬価が極端に下がるとその後のフォローがおざなりになりそうで心配です。企業淘汰のせいで既に古い薬について問い合わせても「データがありません」って言われる事例が出てますからね。
それにしても、医療費抑制=薬価抑制という流れはどうにかならないかなぁ。確かに、国としては薬価下げるのが一番コストがかからずできる抑制案なんでしょうね。
薬価が上がれば良いとは全く思ってませんが、現場で常備薬貰って行く人やら、確信犯的に重複投薬されてる人やら、「落としました」ってけろっとして再処方してもらう人やら見てるともっと抑制できるところあると思うんですけどね…
遮様の意見に賛成です。儲からない商品は、製造中止を考えるメーカーも出てくるかもしれません。
それから、昨今は商品の安定供給に関するトラブルも多い(ワイス品とか、ハルシオン0.125とか・・・)ので、そういう非常時も気になります。
薬局新聞からご訪問いただきありがとうございます。ブログの方もよろしくお願いします。
> 日本の製薬企業の国際競争力なくなっちゃわないのかな?
という懸念は確かにありますね。日本の新薬メーカーの多くが外資の傘下に収められてしうまう、なんてこともあるかもしれません。
>まじゃ様
なんだかんだ言っても後発品のメリットってやっぱり「価格」という部分が大きいですので、先発品との価格差がなくなると厳しいでしょうね。
>遮様
先発品の価格を一気に下げた場合、撤退やその後のフォローの体制に不安は感じますね。高止まりは高止まりでその弊害もありますので難しいところです。
>bluejay様
安定供給の難しさを考えますと、後発メーカーを含め数社で製造・販売をする方がリスク回避はできますね。