
新着記事
01/27
01/17
01/08
12/17
11/27
11/16
10/11
2011年06月26日
[review]ドキュメント東日本大震災 そのとき薬剤師は医療チームの要になった
まえがきの言葉を借りますと、この本は、医療チームを効率よく機能させるための「要」として、被災地での医療に多大な貢献をした薬剤師の記録だと言えます。
この本には医師も登場するのですが、その医師たちのコメントが、それを如実にあらわしています。例えば、こんな部分です。
われわれは普段、使い慣れた薬しか使っていませんから。そういうときに、薬剤師さんの幅広い知識が必要なんです。(P152 村山弘之氏=医師)
「こういう患者さんがいて、こういう薬出したいけど、何かある?」と聞いて、例えば「これはどうか」と言ってくれたことが、やっぱり薬剤師ってすごいなと思った理由なんです。(P205 大瀧佑平氏=医師)
薬剤師をチームの一員として迎え入れ、認め、そして信頼していることがよく分かります。もちろん、その場にいた薬剤師がそうした要望に答えられるだけの資質を兼ね備えていたことが大きいのは言うまでもありません。
今度は薬剤師の言葉に目を向けてみます。かなり細かいかもしれませんが、こんな部分に目がとまりました(一部、()付きで補足しました)。
(アイスクリームがない)被災地のような環境では、「(粉薬を)味噌汁に混ぜ(て服用させ)る」が現実的な対応法の一つであることが分かった(P134 堀淵浩二氏)
これは被災地に行ってみて初めて分かったことだと思うのですが、ただ堀淵氏の所属する薬局では、「小児飲み合わせ一覧」を作成する際に、味噌汁に溶かした際のデータも持っており、それが役立ったというのだから驚きです。
薬剤師が「要」になったのは、今回の震災の特殊性を理由に挙げる声もありますが、震災への備えが万全だったからというよりも、上記のように「日常業務の延長」の部分が大きな力となり、薬剤師に対する評価につながっているのではないかと感じました。
私たちの日常業務は、ともすると批判の対象になりがちですが、そういった声に惑わされることなく、目の前の患者さんに最善を尽くすという「当たり前のこと」を、着実に積み重ねてゆくことの大切さを、改めて教えてくれる1冊です。
▽ ドキュメント東日本大震災 そのとき薬剤師は医療チームの要になった (日経DIブックス1)

23:30
| Comment(0)
| 本
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL(承認後の表示となります)
http://blog.sakura.ne.jp/tb/46344758
http://blog.sakura.ne.jp/tb/46344758