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2011年08月19日
単なる調剤過誤ではない!埼玉県薬会長が書類送検される
埼玉県の薬局で調剤過誤が生じ、薬剤師が書類送検されたというニュース。
【小嶋埼玉県薬会長・書類送検】調剤ミスで業務上過失傷害容疑 : 薬事日報ウェブサイト
まずは、亡くなられた女性のご冥福をお祈りしたいと思います。
あえて最初に書きますが、小さなミスから健康被害が生じる過誤に至るまで、調剤においてエラーはゼロにはなりません。ただし、今回の「事件」は通常の(と言ってはいけませんが)エラーから逸脱した部分がいくつか見られます。
まずひとつは、今回の過誤が、現役の県薬会長が開設する薬局で起こったということです。
調剤過誤が起こった薬局について、薬剤師会の役員なのか、一会員なのか、あるいは会員でないのか、といった部分は本質的な問題ではありません。ですので、県薬会長であるからという部分に焦点を当てて議論することは意味がありません。
しかし、後述する「過誤後の対応」において、疑問に思う部分がいくつもあります。それが、県の薬剤師会をまとめる立場の人間が開設する薬局で起こったというのであれば、大きな影響があるのではないでしょうか。
この件に関しては、日薬も、会としての対応が必要であるとの認識を示しているようです。
七海副会長 埼玉県薬会長ら書類送検「日薬として対応必要」 | 日刊薬業WEB
次に、今回の過誤で取り違えた薬剤が「コリンエステラーゼ阻害薬」だという点です。こちらの記事には臭化ジスチグミンだとの記載がありますが、それが毒薬に該当することは、薬剤師であれば当然知っていることです。
扱いに十分な注意を要する毒薬であるにも関わらず「胃酸中和剤」と取り違えたのは、そのような認識が乏しかったからでしょう。また監査も行われていなかったということで、システム的な問題もありそうです。
そして致命的なのが、調剤ミスの報告を受けた後の対応です。薬事日報の記事によりますと、
と書かれています。
そんなことは絶対に起こさないようにしなければなりませんが、万が一、自分の調剤した医薬品に取り違えがあったら、「普通の感覚」なら青くなりますよね?更に、それが毒薬だと分かったのであれば、すぐさま行動しますよね?
こちらの記事によりますと、
と書かれています。処分としての道理は違うかもしれませんが、保険薬局取り消しとか、保険薬剤師取り消しなんてものでは生ぬるい。個人的には薬剤師免許剥奪でも足りないと思います。
薬剤師に対する世間的な風当たりは決して弱いとは言えません。でもそんな中でも「冗談じゃないよ!」と顔を上げていられたのは、「薬剤師は患者さんに対して真摯に向き合っているじゃないか」という思いがあったからです。
今回の一連の事件は、患者さんに対する裏切りであると同時に、薬剤師に対する裏切りでもあると感じています。
▽ 薬局・薬剤師のための調剤事故防止マニュアル 第2版
【小嶋埼玉県薬会長・書類送検】調剤ミスで業務上過失傷害容疑 : 薬事日報ウェブサイト
まずは、亡くなられた女性のご冥福をお祈りしたいと思います。
あえて最初に書きますが、小さなミスから健康被害が生じる過誤に至るまで、調剤においてエラーはゼロにはなりません。ただし、今回の「事件」は通常の(と言ってはいけませんが)エラーから逸脱した部分がいくつか見られます。
まずひとつは、今回の過誤が、現役の県薬会長が開設する薬局で起こったということです。
調剤過誤が起こった薬局について、薬剤師会の役員なのか、一会員なのか、あるいは会員でないのか、といった部分は本質的な問題ではありません。ですので、県薬会長であるからという部分に焦点を当てて議論することは意味がありません。
しかし、後述する「過誤後の対応」において、疑問に思う部分がいくつもあります。それが、県の薬剤師会をまとめる立場の人間が開設する薬局で起こったというのであれば、大きな影響があるのではないでしょうか。
この件に関しては、日薬も、会としての対応が必要であるとの認識を示しているようです。
七海副会長 埼玉県薬会長ら書類送検「日薬として対応必要」 | 日刊薬業WEB
次に、今回の過誤で取り違えた薬剤が「コリンエステラーゼ阻害薬」だという点です。こちらの記事には臭化ジスチグミンだとの記載がありますが、それが毒薬に該当することは、薬剤師であれば当然知っていることです。
扱いに十分な注意を要する毒薬であるにも関わらず「胃酸中和剤」と取り違えたのは、そのような認識が乏しかったからでしょう。また監査も行われていなかったということで、システム的な問題もありそうです。
そして致命的なのが、調剤ミスの報告を受けた後の対応です。薬事日報の記事によりますと、
女性管理薬剤師は、4月1日、その調剤ミスの報告を受けたものの、患者に対する服用中止の指示や薬剤回収をせず放置、結果として4月7日に死亡させた
と書かれています。
そんなことは絶対に起こさないようにしなければなりませんが、万が一、自分の調剤した医薬品に取り違えがあったら、「普通の感覚」なら青くなりますよね?更に、それが毒薬だと分かったのであれば、すぐさま行動しますよね?
こちらの記事によりますと、
小嶋会長:「患者を待たせるのが嫌で薬の中身を確認しなかった」
女性薬剤師:「社長(小嶋会長)に叱責されるのが嫌で報告も回収もしなかった」
と書かれています。処分としての道理は違うかもしれませんが、保険薬局取り消しとか、保険薬剤師取り消しなんてものでは生ぬるい。個人的には薬剤師免許剥奪でも足りないと思います。
薬剤師に対する世間的な風当たりは決して弱いとは言えません。でもそんな中でも「冗談じゃないよ!」と顔を上げていられたのは、「薬剤師は患者さんに対して真摯に向き合っているじゃないか」という思いがあったからです。
今回の一連の事件は、患者さんに対する裏切りであると同時に、薬剤師に対する裏切りでもあると感じています。
▽ 薬局・薬剤師のための調剤事故防止マニュアル 第2版
23:03
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とんでもない!調剤ミスで業務上過失傷害容疑
Excerpt: 衝撃的な事件です。 昨日、こんな記事があったと同僚から教えられました。 (最近、医療ニュースのweb巡回を怠っています・・・) 【小嶋埼玉県薬会長・書類送検】調剤ミスで業務上過失傷害容疑 : 薬事..
Weblog: another side of ”d-inf”
Tracked: 2011-08-20 12:41
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とんでもない!調剤ミスで業務上過失傷害容疑
Excerpt: 衝撃的な事件です。 昨日、こんな記事があったと同僚から教えられました。 (最近、医療ニュースのweb巡回を怠っています・・・) 【小嶋埼玉県薬会長・書類送検】調剤ミスで業務上過失傷害容疑 : 薬事..
Weblog: another side of ”d-inf”
Tracked: 2011-08-20 12:41
さらに、去年の話って。。
20人に投薬って。。。
でも、75なんて年齢だと、機械から出てくるものは「正しい」って思ってしまうんでしょうね。機械の根本が間違ってるなんて考えず。
擁護してるわけではありません。
分析してコメント書いただけです。
状況があまりにもひどくて言葉にできないって思いもありますが。
しかし、通りさんの言うように、何で去年の話?何で今頃書類送検?
で。
何で、まだ、県薬の会長なんでしょう?
調剤に対しても、会長職に対しても、失礼かもしれませんが、引き際を考えないから、こう言うことになるんじゃないですか?
でも、裏読みばかりで大変申し訳ないんですが。
何か最近・・・・薬剤師会つぶし?って考えてしまう事件・・・・事件発覚が続きます。
県の薬務課は送検の結果で対応って記載もあったので、保険薬局取り消しなど、厚生局対応も今後なんじゃないでしょうか?
通常通りにに考えても、去年の事件だと、個別指導するか今年検討して、集団的個別指導に呼んで、再来年個別指導ですから。
悪質だと監査の可能性もありますし、厚生労働省との共同指導に当たる年だったら、そこであてようとなってるの、かも。
本事故を大変異様な感覚を覚えます。
どう考えても分析できませんし
学ぶべき内容がありません。
このような薬局に存在価値を覚えないと同時に
現在もなお小嶋会長のメッセージを掲げている
県薬剤師会の対応にも違和感を覚えますね。
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20110820ddlk11040197000c.html
>>コリンエステラーゼ阻害薬の服用量は原則1日5ミリグラム以下とされている。しかし米沢さんは胃酸中和剤の服用量として1日30ミリグラムを渡された。
ChE阻害薬1日5mgということはウブレチドで間違いなさそうです。ウブレチド6錠ではなく本来はマグラックス6T分3だったのでしょうか?
ウブレチドとマグラックスの錠剤確かめましたが似てるといえば似てます。しかし、割線のあるなしの違いはありますし、ちゃんと監査してれば問題なかったのでは?と思います。
監査に関連しての疑問なのが、20人近くに誤調剤でChE阻害薬が渡っているということです!!
つまり、他の患者さんの薬に他の薬剤師も関わっていたのではないかということです。
(小嶋会長は「患者を待たせるのが嫌で薬の中身を確認しなかった」。と記事にありますので亡くなられた方の薬は小嶋会長が監査したと思われますが、小嶋会長が全て方の監査していたとは思えないんです)
もし、他の薬剤師も関わってたとしたら・・・・
誤調剤によって亡くなられたという1事件だけではすまないように思えます。
http://medicallaw.exblog.jp/16143085/
>>その薬剤師が,回収しないことで死んでもやむをえないと思った(殺人の故意あり)のか,回収しなくても体調を崩すだけで死ぬことはないだろうと思った(傷害の故意あり,殺人の故意なし)のか,は微妙ですが,本件は,単なる業務上過失致死ではなく,傷害致死罪あるいは殺人罪の成立が検討されるべき事案ではないでしょうか.
気持ちには同意できますが、殺人罪の立証は、遺体が無い以上不可能です。公判を維持できないから業務上過失致傷害剤での送検です。
業務上過失致傷害なら、自供で「過失」はすぐ認められます。悪質だし業務上なんだと思います。
でも。
裁判になったら、どうなんでしょう・・・・
なんで1年以上経ってからなのかが引っかかりますよね。
弁護士なら、そこら辺とことん突くんじゃないですか?
嘔吐と下痢をしたのは、明らかに副作用と思えるが、あくまでも「推測」だって。
状況証拠だけですし。
1週間も嘔吐と下痢を我慢してた状況も、どうなんでしょう。
と、会長を擁護してるわけではありません、念のため。
裁判って普通の常識と違う結果になる場合ってありますから・・・・
しかし。
会長や役員に連絡とれないって・・・・何か情けない感じ。
「未必の故意」ってやつですね。
講学上の概念で、刑法で必ず学習するみたいですが、実務上はめったにないのでは?やはり、人間の内心なんて、そもそも立証が困難であるからでしょう。
現実的には、「過失犯として処理し、量刑で相場より少し高め」、というのが「実務上の」落とし所ではないでしょうか?
しかし、ChE阻害薬なんだから、専門家としてもっと慎重にすべきだったと思うが。。。
それとも、女性薬剤師が、そのような供述をすることを、どこかの筋から強要でもされているのかな?
その会社内でのコミュニケーション、信頼関係の問題も大きいのではないかな、と思いました。
「気づいた時点で20人の患者さま」なら、電話したりお宅に出向いて確認して走り回って回収して交換する、医師にももちろん報告するなど誠意ある対応ができたはずです。
うちの会社はチェーン店ですが、上の人はどんな過誤でも相談すれば一緒に最善策を模索し対応してくれます。叱責されることはありません。
社員間で何でも話せて相談し合える関係、上司に相談すれば一緒になって全力で誠意ある対応をしてくれるという風土、薬局内、社内の人間関係って大切なのではないかなと思いました。
推測できるのは、おそらくChE阻害薬も大量に調剤されるような薬局だったんでしょうね。
毒薬は、数量をしっかり管理すべきなんですが、
しょっちゅう調剤するような薬局だと、なぁなぁになることはあるでしょう。
私も、以前いた薬局はウブレチドを大量に使う薬局でした。そういうところにいると、
「毒薬」であるという認識は薄れていきます。
実際問題として、副作用が特別に多いという認識もあまりないです。
糖尿病薬や、ワーファリンの方が危険性という面では上じゃないかと。
ようするに、「毒薬だからどう」っていうのは、
あまり関係ないんじゃないかな、と。
ウブレチドの替わりにワーファリン入るほうが
よっぽど危険だと思いますし、
「ウブレチドでなければ問題なかった」という
訳でもないでしょう。
過誤に気づいて放置ってのが、論外もいいところなんですが、
監査しないってのもありえないです。
本来はダメですが、仮に「一包」だけでも監査していればわかるでしょうに。
ウブレチドなんて、慣れれば一瞬で判別できます。
最初から監査する気がなかったんでしょうねぇ・・・。やっぱりありえない。
そのカセットだけ 鍵でもかかっていて w
機械の稼働時に確認メッセージとスイッチでもあるんでしょうかね。 で 減った分だけカウントされるとか・w あーあ 書いててばかばかしくなってきました(読んでてもバカバカしいでしょすいません・・)
それが 我々の組織の理事かと 思うと・・・
女性管理薬剤師は 首を覚悟で処理すべきでしたねぇ(そんな薬局やめたほうが。・・・)
薬剤師会のえらいさんになると なんでもOKと勘違いできるほど待遇がいいんでしょうか?ねぇ・・だとしたら・・・ 一度解体してしまったほうが・・・いいように思えてきましたよ・・
病薬も薬剤師会も一度 解散して(病薬に一緒にするな!と言われそうですけどwにたようなもんかと・・・w) 新たに統合して一から作り直せたらいいんですけど。
コメントありがとうございます。
ご指摘のように、昨年3-4月のことが、今になって書類送検というのも違和感がありますね。その間、県薬会長職に留まっているのも…。
いずれにしても二度と起こしてはならないことです。また、こういったことを薬剤師会の「政局の具」にしてはならないことは言うまでもありませんね。
常勤薬剤師の人数 5人
非常勤薬剤師の人数 2人
常勤換算後の薬剤師数 6人
わかる人にはわかりますね。
どこに向いて仕事をしている薬局か・・・。
可笑しなのは、新聞・マスコミなどで、全国的に報道されても、県薬会長の辞表が出ていないようです。(薬剤師ねっとの情報)
いま辞表を出すと、児○会長の上申書事件に影響するのでしょう。代議員会前だしね。
もう、日薬会員になるのは辞めようという会員が増えますね。
どなたか教えてくださいm(o)m
うちもバラで取ってた時期がありました。
このウブレチドが処方せん医薬品になるのが今週末
最初に処方せん医薬品を決めた時の基準がイマイチよく分からない
(あともう少し割線を深くして欲しい)
ハインリッヒの法則というものがあります。この薬局にとってのハインリッヒの法則の29の軽微な事故はどういうものなのかな。すごく関心があります。
デタラメなことをやるとこういうことになるというベンチマークにするために、ぜひ薬剤師会にしっかりとした調査をしてほしいものです。
ここの門前は精神科病院。
抗うつ薬服用による抗コリン作用である尿閉、排尿困難といった対症療法のためにウブレチドが大量に処方されているはずです。
コメントありがとうございます。
日薬が見解を表明しましたね。その中では、埼玉県薬剤師会の「前会長」と記載がされています。
当ブログでも記事としてまとめましたので、よろしければご覧ください。
http://blog.kumagaip.jp/article/47500913.html
過誤や事故ではなく、これは事件です。
>>前年の患者数 (延べ数) 46255
>>常勤薬剤師の人数 5人
>>非常勤薬剤師の人数 2人
>>常勤換算後の薬剤師数 6人
>>
>>わかる人にはわかりますね。
>>どこに向いて仕事をしている薬局か・・・。
どういうことなのでしょうか?
40枚以下ではありますけど。確かに。
でも、無理だろう?人少ないだろう?って思うんですよね?精神科の重い処方なら。
と、横道ではありますが。
そもそも、1日40枚までと決められたのは、平成5年。
その時は、長期処方なんてなかったんです。おおむね1ヶ月処方が主流。
だけど、今は2ヶ月3ヶ月当たりまえ。
普通に考えたら、調剤に要する時間が増えたんだから、(1枚処方せん当たりの日数が増えたわけだから、当然調剤の所要時間は増えてる)、1日40枚のままでいれるはずがありません。
だけど、40枚と決められたガイドラインの中の何を行うかの中には、「調剤」の文字が記載されていません。
1日40枚までを、処方内容によって見直すべきです。耳鼻科・眼科が2/3のように、剤数が多いとか、錠数が多ければ、投与日数を考えて、1.2とか1.5と補正すべきじゃないですかね?
あえていいますけど、現状と乖離して、1日調剤数を決めてる役所にも、何らかの責任あるんじゃないですか?こういう現状を野放しにしたのは、役所が「ザル」だからですよ。
無理ですもん、40枚。まともな仕事しようと思えば。
それなのに、どんどんどんどん、算定要件は増えるし、後発推進まで課せられて。
現場を把握すべきですよ。監督官庁は。
でも、1日40枚を下げれば、調剤報酬がもっと増えるから、見て見ぬふりをしてんですよ。
コメントありがとうございます。
ちょっと話は違いますが、今回の件で、毒薬の管理に対してより厳しい目が向けられることになる可能性があるのではないかと感じています(リタリンのように)。
もちろんこういった事件が起こってしまった以上、世間の目は厳しくなりますが、きちんとやっているところに対して過剰な厳しさを求められるのも、ちょっと酷な気がしますね。
大丈夫みたいです。(良かったです!)m3ーに記事載ってました。お読みかもしれませんが、私もずっと心配だったので、ご報告まで。
で。
病院が通報したらしいですね。なのに送検に1年以上。
通報されたのに・・・・知らなかったんでしょうか・・・・って、ありえませんよね。
普通取調べがありますよね?
それなのに・・・・薬剤師会会長?理事?