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2006年04月06日
職能と選択権
小難しいタイトルをつけましたが、難しい話ではありません。というか難しい話はできません(笑。
今回の改定で処方せんに「後発医薬品への変更可」という欄が新設されました。このことについては、評価する声が多いのではないかと感じています。
「仕事が増える」とか「備蓄薬が多くなる」などのことが聞かれないわけではありませんが。
その職能についてよくよく考えてみると、
「先発品にするか後発品にするか」
「どの後発品にするか」
という、お薬を選択することの「サポート」はできても、実は「最終決定」は薬剤師にはできません。それは患者さんの意思に委ねられています。
ちょっとありえない仮定かもしれませんが、もし10年前にこの「後発医薬品への変更可」という欄が設置されたとします。10年前だったら恐らく、薬剤師に最終選択権があったのではないでしょうか。
何が言いたいかというと、これだけ情報公開が言われ、多くの情報を入手しやすい環境が整い、また社会が成熟して権利意識が高まっている世の中において、医療もまた例外ではないと言うことです。
自分のことは自分で決めるという世の中の流れが、「自分が服用する薬についても、自分の意志で決めたい」=「最終決定件は患者さん」という形で反映されています。
ただ、いくら情報が入手しやすいとはいえ薬剤選択を患者さんが自力ですべてするのは難しい部分があります。そこで薬剤師がお手伝いをする、それこそが職能を活かす場所です。
大切なのは、極力バイアスがかからない情報を患者さんに提供することです。最終決定権がないとはいえ、ここでの薬剤師の発言はかなりの影響を及ぼします。
例えば、後発医薬品に対して良いイメージがなければ、直接的な言葉でなくてもそれは伝わるでしょう。また自薬局に後発品の備蓄がなく、先発品を選んでほしければ誘導する形になるかもしれません。
そういったことは避けなければなりません。薬局の都合が患者さんのそれに優先されることがあってはならない、ということです。
ここでもう一つ考えなければならないことは、患者さんの「要望」と「わがまま」は違うということです。これは判断が難しいケースも出てくるかと思います。場合によっては患者さんの意思に沿えないことが出てくるかもしれません。
そういったケースでは、信念を持って対応すべきです。もちろん、「十分な説明と同意」が必要であるのは言うまでもありません。
話があちこち飛びますね、すいません。繰り返しになるかもしれませんが、最後に。
処方せんの「後発医薬品への変更可」の欄に医師の署名(又は記名押印)があるものについては、決定権はもう医師の手を離れ、患者さんの下にあります。医師が「どういうつもりで署名したのか」ということとは無関係に、です。
極端な話になりますが、医師の意思-「患者さんの要望に沿って」なのか「2点を算定したくて」なのかということ-は、この場合問題ではありません。
患者さんが手にしたお薬の選択権、それを薬剤師が奪うことなく、職能を発揮する。
言うほど簡単ではありません。
今回の改定で処方せんに「後発医薬品への変更可」という欄が新設されました。このことについては、評価する声が多いのではないかと感じています。
「仕事が増える」とか「備蓄薬が多くなる」などのことが聞かれないわけではありませんが。
その職能についてよくよく考えてみると、
「先発品にするか後発品にするか」
「どの後発品にするか」
という、お薬を選択することの「サポート」はできても、実は「最終決定」は薬剤師にはできません。それは患者さんの意思に委ねられています。
ちょっとありえない仮定かもしれませんが、もし10年前にこの「後発医薬品への変更可」という欄が設置されたとします。10年前だったら恐らく、薬剤師に最終選択権があったのではないでしょうか。
何が言いたいかというと、これだけ情報公開が言われ、多くの情報を入手しやすい環境が整い、また社会が成熟して権利意識が高まっている世の中において、医療もまた例外ではないと言うことです。
自分のことは自分で決めるという世の中の流れが、「自分が服用する薬についても、自分の意志で決めたい」=「最終決定件は患者さん」という形で反映されています。
ただ、いくら情報が入手しやすいとはいえ薬剤選択を患者さんが自力ですべてするのは難しい部分があります。そこで薬剤師がお手伝いをする、それこそが職能を活かす場所です。
大切なのは、極力バイアスがかからない情報を患者さんに提供することです。最終決定権がないとはいえ、ここでの薬剤師の発言はかなりの影響を及ぼします。
例えば、後発医薬品に対して良いイメージがなければ、直接的な言葉でなくてもそれは伝わるでしょう。また自薬局に後発品の備蓄がなく、先発品を選んでほしければ誘導する形になるかもしれません。
そういったことは避けなければなりません。薬局の都合が患者さんのそれに優先されることがあってはならない、ということです。
ここでもう一つ考えなければならないことは、患者さんの「要望」と「わがまま」は違うということです。これは判断が難しいケースも出てくるかと思います。場合によっては患者さんの意思に沿えないことが出てくるかもしれません。
そういったケースでは、信念を持って対応すべきです。もちろん、「十分な説明と同意」が必要であるのは言うまでもありません。
話があちこち飛びますね、すいません。繰り返しになるかもしれませんが、最後に。
処方せんの「後発医薬品への変更可」の欄に医師の署名(又は記名押印)があるものについては、決定権はもう医師の手を離れ、患者さんの下にあります。医師が「どういうつもりで署名したのか」ということとは無関係に、です。
極端な話になりますが、医師の意思-「患者さんの要望に沿って」なのか「2点を算定したくて」なのかということ-は、この場合問題ではありません。
患者さんが手にしたお薬の選択権、それを薬剤師が奪うことなく、職能を発揮する。
言うほど簡単ではありません。
12:37
| Comment(6)
| 後発医薬品・銘柄変更可調剤
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以前と私の考えと当薬局の方針は変わりありません。お話しましたとおり、1先発品に対し1後発品に限定しています。
患者さんには、本当ならいくつかの薬剤の中から選ぶ権利があるでしょう。
当然です。そういう改正なのですから。
これから今の現状を業務を行いながら日々私が苦悩し矛盾し続けていることをお話します。
(これを読まれる方、あまり重たく考えないでください、仕事できなくなりますから・・。)
後発品が悪いものなのか?!
決してそうだとは断言できませんが、私はお渡しする患者さんには安心して飲める薬剤を提供したいし、安心できる薬剤が後発品であればそれはそれでかまわないと思います。
安易に安価な薬剤に走っても大丈夫なのか?ということなのです。
後発品は国の承認が取れているとはいえ、大規模臨床試験が行われていません。(それを同捕らえるかは個人の判断でよいとして)仮に先発品の既に分かっている副作用が賦形剤によるものとしたら?賦形剤の異なる後発品の方が安全なのでは?という仮説も考えられないことはありません。また先発品のtmaxが人体に影響しうる一番最適な最大血中濃度移行時間なのでしょうか?
そもそも添付文書のtmax、1/2tって、あくまで血中の薬物量を基準に書かれています。理科系の方ならご存知の通り薬物とは、脂溶性、水溶性の強さがありますよね。血中の薬物量とは水溶性に移行した薬物量であり、細胞移行性の高いものは脂溶性です。ここで気づかれたかたもあるかもしれませんが、血中濃度が高いからといって、細胞に移行しなければ効果が期待できないこともあるでしょう。(逆に副作用発現にもかかわってきます。)
難しい内容で混乱を招きますが、要はこういうことです。
先発品と後発品の有効成分は同じ、tmaxが違っている時点で吸収速度が違い、また1/2tが違うとなおさら代謝速度も違ってきます。
こういった点を踏まえると、実際何がいいのか?が分からなくてもせめて大規模臨床試験の上でのデータのある先発品は十分に足りる選択肢だと考えられますが、金銭的なニーズを考えないわけにもいけません。
いろいろ書きましたが矛盾点も多く、いったい何が言いたいのかも良く分からないかもしれません。
最後に。(まだ書くのか・・)
業務とはまた別に希望として、短期処方や頓服薬はどんどん後発品でいいと思います。いつか直るものだし、一時に服用するものならなおさら安くても。(でも後発品は入荷に4日ぐらいかかる場合もあるので結局変更しにくくなりますけど)慢性疾患で長期に継続して服用するものは先発品が良いように思います。
こう考えるのも、くまさんの言われるとおりメーカー努力で変わってくるとは思いますけどね。
以前から準備はしていたのですが、今週から当院でも代替調剤を始めました。自分は代替調剤推進派なのですが、消極派の医師の間では代替品の品質、薬剤師の資質(医師側の資質の問題は棚に挙げて)などを不安材料とする意見が出ています。ちなみに「オレンジブック」などは各薬局に当然揃えられているものなのでしょうか?また情報のフィードバックの件ですが、FAXなどでその日のうちにしている方などはいるのでしょうか?受け取る側も煩雑になるので当院でも今のところお薬手帳で次回、としておりますが。
患者さんに選択権があるとはいえ、選択の幅はやはりある程度限られたものにならざるを得ないでしょうね。
私も記事で随分と大きな事を書いていますが、実際当薬局へ来局した患者さんにどれだけの選択肢を提示できるのか、と言われれば答えに窮する部分もあります。
後発医薬品への変更が不向きの薬剤というのも、もちろんあると思います。のり様が仰るように、ケースによって使い分けるのは有効な方法ですし、それを判断することも、薬剤師の大切な仕事の一つだと感じています。
ご覧頂き、またコメントを頂きありがとうございます。
代替品の品質の保証、薬剤師の資質の確保、まだまだクリアしなければならない問題はたくさんあります。忌憚のないご意見をいただければ幸いです。
オレンジブックは、多くの薬局では置いているはずです。「代替調剤」が始まり、必須の1冊だと個人的には思います。ネットでもオレンジブックとほぼ同様のものが見られます。
オレンジブック総合版ホームページ
http://www.jp-orangebook.gr.jp/
情報のフィードバックですが、厚労省の見解では「どのような形でも可」としながらも「お薬手帳は不可」とされています。
恐らく、お薬手帳は患者さん自身が持ち帰ってしまうため、病医院への情報提供が形として残らないからだと思われます。
FAXによる情報提供は煩雑だと推測されますが、逆に処方せんに「FAXしてください」とFAX番号まで印字されているケースもあると聞きます。
どのような方法が望ましいのか、まとまるまでもうしばらく時間が必要かもしれません。
薬の話。ジェネリック薬品というものは、安いというイメージしかありませんでした。
薬と言っても、薬効成分100%というのはあり得なく、他の成分も入っていてそれに対する副作用もあることは想像は難しくないけど、ジェネリック医薬品かそうでないか?というのは、薬効成分の勝負ではなく、どのような製造過程、ひいてはどのような不純物が入っているか?ということなのでしょうか?
そういう話ならば、値段が高くてもサンプル数の多い先発品を望みます。
そうならばジェネリック医薬品のメリットは、安いの一言に着くと思っていますが、本気でジェネリック医薬品の普及を望むならば、安全性の統計の蓄積が必要と感じます。
コメントありがとうございます。
ジェネリック医薬品のメリットは幾つかありますが、その筆頭はやはり「価格」です。
国レベルでなく、個人レベルという前提で話をするならば、
「私は自分の飲む薬にはこだわっている」
「オレは支払い金額については気にしない」
という方に後発医薬品への変更は必要ない、ということになります。
成分については「先発品と同一主成分が同一量」入っていることを前提に製造されますので、アウトプットとしての効果の比較は意味があっても、そのものの比較はあまり意味が無いと私は考えています。
不純物については、考え方によっては主成分以外は全て該当してしまいます。あるいは先発品に入っていないものは全て不純物とも言えます。
言葉が適切かどうか分かりませんが、一般に言う「汚いもの」や「意図しない生成物」が入っていないとは言い切れませんが、これは後発品に限ったことではないと個人的には思います。
ご指摘の「安全性の統計の備蓄」については、薬剤師も大いに貢献できる部分です。情報のフィードバックは積極的に行いたいと考えています。