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2012年03月20日
「お薬手帳を持つこと」をどういうスタンスで伝えるか
4月の調剤報酬改定を前に、慌ただしい日々が続きますね。先日、お薬手帳を購入しようと某卸に連絡したところ「注文が殺到して入荷未定」という返事が返ってきました。
その「お薬手帳」に関してですが、ご存知のように今回の改訂で薬剤服用歴管理指導料との包括的評価となります。つまり、お薬手帳が薬剤服用歴管理指導料の算定要件に含まれるということです。
以前もお示ししましたこちらの資料。
平成24年度調剤報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要:厚生労働省保険局医療課(PDF)
こちらのP15からの部分に「薬剤服用歴管理指導料における包括的評価の拡充」という項目があります。P16にそれに関連して注意書きがありますので抜粋します。
○ お薬手帳に関して
(基本的には、「後期高齢者薬剤服用歴管理指導料(平成20〜21年度)」の扱いを準用する。)
▷ 複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合には患者の意向を確認した上で、できるだけ同一の手帳で管理できるよう、1冊にまとめるなどに努める。
▷ 手帳を所有しているが持参しなかった患者については、所有している手帳に貼付できるよう、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付することで差し支えない。シール等を交付した患者が次回手帳を持参した場合には、当該シール等が貼付されていることを確認する。
さてここで問題になるのは、4月以降、患者さんにお薬手帳のことを説明する際に、どのように伝えるか、ということです。例えばこんな伝え方をされたらどうでしょうか?
「この4月からお薬手帳を持つことが義務化されました」
「ルールが変わって、お薬手帳を全員の方に持っていただくことになります」
確かに間違いではありませんが、これを聞いた患者さんはどう思うでしょう?恐らく、「ルールなら仕方ない」と多くの方がすんなり持つことに同意してくれるのではないかと思います。
しかし、この説明で、患者さんの真の理解が得られるとは思えません。つまり、「言われたから手帳を持っている」状態です。これでは到底、手帳の活用など望めません。
でも、どうせ手帳を持ってもらうのなら、せっかくなら活用してもらえるような方策を考えてゆきたいものですよね。患者さんが本当に手帳の有用性を理解し、携行する状態です。
それには、「義務化」や「ルールだから」という伝え方は、そぐわないことになります。これを解決するには「過去」と「未来」が必要だと思います。
言い換えれば、「過去」は、今回お薬手帳を全員の方に持ってもらう事になった経緯です。東日本大震災において、お薬手帳を通じた薬剤情報共有の有用性が最認識されました。
そして「未来」は、お薬手帳を持つことで享受できるメリット。もっと言えば、患者さんの生活がどう変わるかといった大きな視点で、伝えられるのが理想ですよね。
時間はかかるかもしれませんが、そういったことを伝えることこそが、薬局の存在意義にもつながってゆくのではないかと、個人的には感じています。
▽ お薬手帳の実践的活用法―患者さんと薬剤師・医師をつなぐ情報の架け橋に

22:44
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| 診療・調剤報酬
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電子化早く一般に広がると良いですね
何で「お薬手帳」ってうるさいのか今一理解できません。
つまったら何冊も持ってきますか?患者さん。
一部の情報でしかないですよね。
しかも、災害や急病って、そんな時お薬手帳って有効に利用できるの何%でしょう?
災害だったらそれこそ手帳が存在しない可能性大で、急病なら所在不明の場合が多いんじゃないです?
何か役人の考える事って、ほんと、ずれてます。
電子化で保険証と一体化を本当に進めればいいんですよ、本当に。
何か政策があっちいったりこっち行ったり、そんな事してるから無駄なお金がいるんですよ。
電子化された個人用カードと、レセプトオンラインでデーターを一元化して、バックアップ機能を持たせれば、情報は確実じゃないですか。
オンラインだと翌月しかわからないですが、全く情報が無くなる事ないし。
でも、紙媒体の手帳なんて、ほんと、かさばるし面倒だし、こんなもんを指導料とくっつけて義務化しても、無駄って気がします。
本当に「求めに応じて発行する」のが当たり前。
コメントありがとうございます。
お薬手帳の電子化も気になりますが、電子マネーみたいに、やはり規格がいくつかできてしまうのではないかという懸念があります。
こればっかりは相互互換性がないとまったく意味がなくなってしまうものなので、その辺りを念頭に進めていただければいいのですが、どうなりますかね…。
昨年の震災の際に、お薬手帳は非常に助けになったそうです。
なんでも、震災後カルテを閲覧できず、患者さんの血圧とかのお薬の種類用量が病院でわからなかったそうです。
その際に、お薬手帳をみることにより薬歴を確認し、正しい処方をすることが出来たとか。
毎回同じ中味のシールを貼り続ける意味も判らない。質問したことから出てくる注意事項を書きもせず。なぜ そんな質問をするのかも説明せず。唐突に「あんたのためだ」式の質問があっても 逆らえず・・・。ささやかな逆襲も 4月からは不毛になりますね。
と、お客さんから言われましたよ。
私は お財布にせめて今飲んでいる薬の覚書として持っていて・・・と渡していました。大規模災害訓練に参加したときに覚えた知恵です。
単純なスマホをつかった電子化ではなく、巨大なサーバに一元化して情報を集積し、各地域や薬局レベルの様々なハードによりスマホであろうがICカードであろうがデータを取り出せるような、至れり尽くせりの情報サービスが良いと思います。
震災があろうがかかりつけの病院や薬局が消えてしまっても役に立てるような強靭なもの。
今やらなければいけない紙媒体の手帳を勧めながら、よりよいものを考える、そうすると今進めている手帳の足りない部分も自ずと見えて、患者さんへの応対もより柔軟なものへとなるのではないか?そんな風に思います。
否定と肯定を同時に考える、最近少し柔らかくなってきました(笑)
厚労省が何とか算定させないようにするために利用してるような。
電子化の話しが無いのなら、それを構築していくまで、「お薬手帳」だと思いますよ。最近、静かではありますが、何年後かには義務化じゃなかったでしたっけ?
そんな状況で、こんなアナログな事言ってないで、さっさと電子化進めたら?って思うんですよ。
で。
震災などの災害の場合って、何で厚労省がデーター出さないのでしょう?
支払基金にも国保連合会にもデーターはあるわけで、緊急医療チームにパスワード渡すなり、本人確認をどうするか?をきちんとすれば、何の薬飲んでるのかって、すぐわかるんじゃないですかね?
な〜んか、です。
だから、「今飲んでいる薬の覚書として」というのは大切なことだと思います。
とはいうものの、当然お薬手帳の意義はこれだけではないはず。
そういう意味でお薬手帳は実際に活躍されているのでしょうか?
あと、お薬手帳のサイズ大きすぎですよね。
ふつうの人が常時携帯出来る大きさではないと思いませんか?
今のお薬手帳のサイズって、なんか設定根拠があるんですかね?
在職中はくま☆さんのHPに本当にお世話になってROMっていました(ありがとうございます☆)
実は我が家の子供たちにはお薬手帳つくってません・・・4月からは考えないといけませんね(笑)薬局もかわいそうですもん。
でも役にたたないからもっていなかったのです。正直家族分の保険証を人数分持って歩くだけで難儀です。そのうえお薬手帳なんて!!!!カバンに入りきりません。出先から直行で病院にかけこんだりしますしね・・・
即答の難しい老人は服薬カードやお薬手帳がとても重要+便利だと思います。
また停電などで電子カルテ・薬歴は使えなくなります(発電設備があればよいですけど)。紙ベースで患者さんにコピー(手帳)をもっておいてもらうというのはリスク回避には十分かなっていますね。
でも、考えちゃうなぁ?!・・・・・・。我が家ではお薬手帳はシールは貼りためonlyで確実に門(家)外不出となりそうな気配です。
薬剤師が手帳の活用をもっと知ってそうした活用を増やしていかないと、患者側も「シール受け取ってあげればいい」という発想にしか結びつかないのでしょう。
この活用をするには、手帳がもう少し大きくてもと感じる事もあるくらいなので、少なくとも今より手帳が小さくなるのは困るかなと思います。
電子化は‥最新でないと分かっているレセプトデータをあえて臨床に応用していくことはないと思われますし、上記の薬剤師としての書き込み&医療機関との情報共有という余地が無くなってしまうでしょう。
どうせ目指すならカルテの電子化と共有化になるのかなーと。
それはまだだいぶ先でしょうから、手帳を活用していくのが薬の情報ツールとして現時点のベストかなと思っています。
手帳の電子化は、国が義務化する事を進めていたはずで、もちろん電子カルテとの共有です。
まだかかると言ってもそんな先じゃ無かったような。
それと、災害のためなら、そっちの事業を早める事もせず短絡に手帳なので、指導料の算定率を落とすためじゃ?って邪推してしまいますね。
何にしても、まじめに活用すればするほど、手帳は分厚くなり、存在は邪魔なので患者さんには嫌われるって事です。
実際持った人間の不便さを全く考えず、手帳って言われても。
慢性疾患なら、まだ持つ気にもなりますが、急性疾患でかかったら、わざわざ保険証と一緒に手帳まで探して受診してる余裕ないですよね。
また、急病で本人が意識無いとき、家族が手帳がどこにあるか知ってないといけない。
確かに紙媒体も必要でしょうけど。
それと不思議なのは、薬局だけ指導料に包括じゃないですか?
医療機関も包括ならわかりますけど。退院時の薬も院内投薬(医科も歯科も)も手帳義務なら。
例え100%院外処方であっても、医療機関からも投薬されるんですよ。
それも100%書いてなければ、何の意味があるんでしょう?
正論を言われても、医療機関は面倒なら出さない書き込まない。
そんなデーターのどこが有意義なのかも、私にはわかりませんね。
そんなもん調剤薬局が、医療機関にも見せなさいとか、書き込んでもらって下さいって言うことですか?
国策としてやる事でしょう。
長文失礼。皆様への反論でなく、こーろーしょーに頭にきてるだけです、すみません。
どんなに意義を伝えても、患者さんには、自宅→病院→薬局の間を手帳が行きかうだけなので、自分が持つ意味を理解してもらうのは大変です。
なので、ある時から私の薬局では、病状の経過を書き込んでもらうなど、
自ら手帳を利用してもらうことにしました。
すると意外にも、「書き込んでよかったのですか?」と言う質問が多く、
手帳に触れてはいけない、と思っていたようです。
それ以降、手帳に自ら書き込むことで、自覚を持ち、記録として大切にしてもらえるようになりました。
というように、現在ではお薬手帳をあえて、
『自分の健康手帳と思ってください』
と言うようにしています。
お薬手帳にこだわらず、
血圧手帳や糖尿病手帳などにシール貼っちゃうってのも良いんじゃないかなぁ。
患者さんの自己ツールの中に、
薬の管理も組み込んでもらうように。
血圧手帳なんかは書き込んでいる方も結構いますしね。
これでも算定出来るんですよねぇ?
お薬手帳がツールとして有用で無い一番の素因は、
院内処方する医療機関が手帳に対して非協力的であることです。
そう言う所にも手帳算定としてフィーを付けるべきだと思います。
患者さんがお薬手帳を知っている割合らしいですが、退院時など院内処方の記載はまったくしないで外部に対してのみ指示するとはちょっとびっくりでした。
多くのコメントいただきありがとうございます。
現状のお薬手帳が内包する多くの問題点を鋭くご指摘いただいています。そして、あるべき姿(電子化、一元化)も、ぼんやりと見えてきているのではないかと。
薬歴の算定要件になったということで、全員の方に手帳を持っていただくことを考えていかなければなりませんが、算定要件を差し引いて考えても、併用薬のチェックを行い、それを患者さんに提供してゆくことは考えていかなければなりませんよね。
もちろん、あるべき姿に向かって、あるいはそれを訴えてゆくことも必要ですが、今あるリソースを分析し、現時点で実現可能な方法をもって行動すること。それをまず考えなければならないのかなと思っています。
いろいろな所でもらっている患者さんが多いのに薬局が手帳を作っていない。
こちらとしては他院で何を出されているかなんて聞いたところでわからない。
しっかり手帳作るようにしてください。
こちらはルール云々以前の問題でその説明をしています。
だから、有効に利用もされないし、個々に不満が出るのではないでしょうか?
医師会と薬剤師会と厚労省と、お薬手帳を利用するなら、何を書き、何を連携していくか。
この基礎議論をきちんとやっていくべきじゃないですかね?
調剤薬局が発端でやり始めたから、おまえらが努力して、患者情報を収集して医師にも歯科医師にも手帳を見せるように患者さんに説明して、有効に活用できるようにってやり方では、うまく行かないって思いますけど。
コメントありがとうございます。
診療調剤報酬上の位置づけに違いがあるなど、ちぐはぐな感は否めません。現場としては不満もありますが、現状、一番身近なツールをなんとかうまく使っていけるよう、アイデアを出しあってゆきたいところですね。
コメントありがとうございます。
電子版お薬手帳の是非は別にして、各社、試行錯誤の真っ最中といったところでしょうか。国がどこまで関与すべきか、というのも、なかなか難しい問題かもしれません、
津波が来たら意味がないとか(そこそこ山寄りの地域なのですが・・・)
用は面倒くさいからいらないということなのでしょう。
シンプルに情報の分散化を考え、病院のデータ、薬局のデータ、自宅の持ち出し可能なデータとあれば全損の可能性はかなり下がるのではないでしょうか?
どこかに情報があれば最悪の事態は免れますとウチでは最終的に説明しています
先々の可能性もありますが、まずは今できることをがんばっています。
ただ単純に持参する方が増え、併用薬が確認でき禁忌、同成分などを防ぐ回数も増えています
コメントありがとうございます。
お薬手帳に対するスタンス、本当に患者さんそれぞれだと感じますね。忘れてきたことを心底悔やむ人、手帳の有無を確認しただけで烈火のごとく怒り出す人等々…。
おっしゃるように、併用薬については格段に確認が容易になりました。それに対するレスポンスも怠らないように、ということも感じています。