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2012年12月26日

「ディレグラ配合錠」アレグラとプソイドエフェドリンの配合錠

サノフィが、アレルギー性疾患治療薬「ディレグラ配合錠」の製造販売承認取得したことを発表しています。プレスリリースはこちら。

アレルギー性疾患治療薬「ディレグラ配合錠」の製造販売承認取得について:サノフィ

この「ディレグラ配合錠」というのは一体何物なのかと読んでみますと、

フェキソフェナジン塩酸塩 + 塩酸プソイドエフェドリン


だということで、察しのいい方はもうお分かりと思いますが、第2世代抗ヒスタミン薬である「アレグラ」(一般名:フェキソフェナジン塩酸塩)とα交感神経刺激薬の塩酸プソイドエフェドリンの配合剤ですね。

個人的な違和感を言わせてもらうと、アレグラの方は「フェキソフェナジン塩酸塩」なのに、PSEがなぜ「プソイドエフェドリン塩酸塩」ではなく、「塩酸プソイドエフェドリン」なのかというところですかね…。

すみません、横道にそれました。

プソイドエフェドリンについてちょっと見ておきますと、プレスリリース中にもありますように、血管収縮作用を持ちますので、鼻閉に対して有効とされています。多くのOTC医薬品にも用いられていて、有名なところではベンザブロックL(いわゆる銀のベンザ)にも配合されています。

ディレグラ配合錠」は、国内初の抗ヒスタミン薬とα交感神経刺激薬の経口配合剤だということですが、用法・用量の部分を見てみますと、

通常、成人及び12歳以上の小児には1回2錠(フェキソフェナジン塩酸塩として60mg及び塩酸プソイドエフェドリンとして120mg)を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与する


ということで、特徴的な部分が2箇所あります。

まず「1回2錠」だということですが、1回量(2錠)中にフェキソフェナジン塩酸塩60mg、塩酸プソイドエフェドリン120mgを含むことになりますので、1錠中にはその半量のフェキソフェナジン塩酸塩30mg、塩酸プソイドエフェドリン60mgを含有するということになりますね。

服用量の調節についての記載がないので何とも言えませんが、用量調節をしやすくするためか、或いは、将来的に小児への適応取得を計画していて、12歳未満の小児への対応も考慮されているのかもしれません。

そしてもう一つ「空腹時に経口投与する」の部分。アレグラ錠はどうだったかな…と添付文書を見てみますと「1日2回」のみの記載で、食前または食後の記載はありません。ただ、食事の影響について書かれている部分を見てみますと、

7. 食事の影響(外国人データ)
健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した。日本人においても、クロスオーバー法による検討ではないが、フェキソフェナジン塩酸塩円形錠を食後投与したときのAUC0-∞及びCmaxから外国人と同様の食事の影響が推察された。


ということで、空腹時のほうが効果が高いことが予想されますね。「食前」の根拠はその辺りにあるのかもしれません。プソイドエフェドリンについてはデータが見つけられませんでしたので、何とも言えませんが…。

アレグラはちょうど特許切れを迎える時期に、スイッチ化してOTCも出ましたし、こうして配合錠も発売になりますし、ビジネスモデルとしてはうまくやったな、という印象を受けますね。

ただ、プソイドエフェドリンとの配合錠については懸念する声も出ています。

ディレグラ配合錠ってニーズがあるのかなあ | アポネットR研究会・最近の話題

「OTCにも使われている成分だから心配ないでしょ?」という声があるとすれば、短絡的だと言わざるを得ませんね。

循環器治療薬ファイル -薬物治療のセンスを身につける- 第2版

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この記事へのコメント
ブログ主は、海外では第二世代抗ヒスタミン剤とプソイドエフェドリン配合剤は普通に販売されているのは
知っているのでしょうか
ビジネスモデルうまくやったというよりは
ただ海外で販売していたものを日本で発売しただけは
Posted by ってか at 2012年12月26日 17:47
>ってか様
コメントありがとうございます。
海外で販売されていることは、アポネットRのサイトでも話題になっていましたね。私も承知しています。

アレグラ特許切れのタイミングで、スイッチOTC、それから配合剤が出されるという、言ってみれば「タイミング」がうまくいったのでは?と感じた程度のお話ですので、「ビジネスモデル」という言葉が適切でなかったかもしれませんね。
Posted by くま☆ at 2012年12月26日 23:26
友達が耳鼻科で処方されましたが、きかないというので、どんなお薬なのか調べてこちらにたどり着きました。
私は眼科コメディカルなので目薬のことはわかりますが内服に関してはよくわからなかったので参考にさせていただきました。
お鼻ぐずぐずが治らないそうですがこのほかにお勧めのお薬ありましたら教えてください。
Posted by めめめ at 2013年03月17日 02:53
このディレグラを服用しているものです。
お聞きしたいのですが
この薬をかれこれ3週間は服用しているのですが
一向に鼻呼吸が楽になりません。

この薬の成分が体内に10パーセント以上含まれると
体に影響を及ぼすと別のブログやサイトに書いてあり
普段どおりに飲んでも効かないのなら
多めに服用してみようと考えました。

一日2回と決められた数に反して服用すると
どれだけのリスクがあるのか
また体内に10パーセントと言うなれば
この薬の成分が何mg、体内に含まれると
危ないのか 教えていただければと思い書き込みました。

ご回答お願いいたします。
Posted by 質問です at 2013年08月27日 01:18
体内10%。。

ご質問のかたが体重35kgの方だとして、
3.5kg飲んだら、そりゃ危険でしょうね。
血液量より多いですよ。

データは何でも鵜呑みにすればいいというものでは
ありませぬ。

何だか上から目線ですみません。
Posted by 今更ですが at 2015年02月20日 09:34
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Excerpt: すでに一ヶ月以上前になりますが、ディレグラ配合錠の勉強会に参加しました。ディレグラ配合錠はフェキソフェナジン(FEX、商品名:アレグラ)とプソイドエフェドリン(PSE)の配合錠です。アレグラに交感神..
Weblog: 薬剤師の脳ミソ
Tracked: 2013-03-13 00:30


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