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2019年02月07日

[薬局新聞]エピローグ3 取り巻く環境の変化とともに

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第97回です。これにて連載終了です。長い間お付き合いいただきありがとうございました。

かかりつけ薬剤師PERSONAL97


 連載を続けてきた約12年の間、薬局業界には本当に多くの出来事がありました。印象に残っているのは、どちらかと言えばネガティブなことが多いですが、薬局・薬剤師を取り巻く環境が大きく変わってきたことを改めて実感します。

 個人的な環境にも大きな変化がありました。連載当初、自身で営んでいた薬局を不本意ながら畳み、その後勤務薬剤師となりました。その時は想像だにしませんでしたが、紆余曲折を経て、5年前に再度開局して今日に至ります。

 12年といえば干支が一回りするだけの時間が経ったわけですが、私自身も歳を重ねる中で、良くも悪くも物事の見方や考え方が変化してきました。過去の記事を見返してみますと至らないことも少なくなく、腹を立てたことがある方もいらっしゃることでしょう(笑)とはいえ、ここまで続けてこられたのは読者の皆様のおかげだと感じています。また編集長の川畑さんをはじめ、サポートしてくださった編集部の方々にもこの場をお借りして御礼申し上げます。

 私自身、今回を最後にこの紙面からは離れますが、他の形で細々と情報発信を続けてゆきたいと考えています。またお目にかかる機会があろうかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。


2019年01月26日

[薬局新聞]エピローグ2 WEB介して第一線で活躍する薬剤師が繋がる

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第96回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL96


 連載当初は半年も続けばと思っていたこのコーナー。気がつけば約12年もの長期に渡り担当させていただくことができました。多くの方にこの紙面にご登場いただけたことが、長く続いた大きな理由の一つだと感じています。

 薬剤師個人の取り組みにスポットを当てた「ソーシャルPメンター&ニュース」、更には「かかりつけ薬剤師PERSONAL」とリニューアルしながらも、第一線でユニークな取り組みを行っている多くの薬剤師の方々に貴重なお話をお伺いすることができました。

 中には、実際にお会いしたことがなく、また未だにお目にかかったことがない方もいらっしゃいます。ネット上での記事作成は、やり取りの面で難しさもあったと思いますが、忙しい中にも関わらず時間を割いていただき、また不躾なお願いも快く受け入れていただくなど、改めて感謝申し上げたいと思います。

 年に何回かのスペシャル企画では、ブログやSNSなどからも多くの皆様にご参加いただきました。チャットルームにご参集いただき、夜な夜なやり取りをしたことが懐かしく思い出されます。

 いずれにしましても、インターネットが発達したからこそ実現したことです。このコーナーがきっかけとなってできた多くのつながりは、個人的な財産としても残っています。


2019年01月19日

[薬局新聞]エピローグ1 SNS以前の薬剤師web交流を紙面に

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第95回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL95


 新年早々ではありますが、この「かかりつけ薬剤師PERSONAL」のコーナーは先の新春号スペシャルを持ちまして連載終了となります。終載に当たり、紙面をお借りしてこれまでのことを少々振り返ってみたいと思います。思い出話のような内容になってしまいますが、どうぞお付き合い下さい。

 思い起こせば、薬局新聞紙面改革キャンペーンのweb連動企画として、2007年4月に「週刊トラックバックNEWS」と題してスタートしたこのコーナー。当時は今のようにSNSという概念もまだなく、ブログがそうした場として機能していました。私の運営しているブログでも数多くの意見が寄せられ、議論が交わされましたが、そうしたweb上での声を紙面にお届けしました。

 決して古参ではありませんが、それでも辛うじてまだブログ黎明期の2006年に「薬局のオモテとウラ」というブログを立ち上げたことが、一つの大きな転機だったと感じます。私の薬剤師としての人生を変えたと言っても過言ではありません。私の拙い文章にも関わらず、多くの人が訪れ、コメントを書き込んでくださいました。

 手前味噌ではありますが、多くの人がブログに集い、それ通じて1つの世論にも似たものが形成され、更には紙面に反映され、世の中にも少しだけ影響を与えられたのではないかと感じています。


2019年01月04日

[薬局新聞]2019年新春号スペシャル

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」2019年新春号スペシャルです。

 9月の小欄に、カナダで薬剤師となった青山慎平先生にご登場いただきました。国が違えば文化も制度も異なり、同じ薬剤師でも大きな違いがあることを感じました。今回は小嶋慎二先生(栃木県)、高橋秀和先生(兵庫県)のお二方に加わっていただき、カナダの薬剤師業務と比較する中で、今後の日本の薬剤師像について語っていただきます。

かかりつけ薬剤師PERSONAL94


○ 日本とカナダの薬剤師業務の違い

小嶋 慎二
カナダでは、クラウドで薬歴が管理されているので、日本のような薬歴はないと聞いていますが、Medication Review Service や、各薬局での管理が必要な記録の保管はどうなっていますか?

青山慎平
カナダでの薬歴管理ですが、国全体でのネットワークは無く、あくまで州レベルでのネットワークです。私のいるBC州ではPharmanetという名前で知られています。最近14か月のBC州での薬歴を確認することができます。日本と違い、服薬指導内容を毎回記録に残すことはせず、必要時のみ実施します。Med Reviewや管理が保管なものに関しては、基本的にComputer system上(ローカルデータ)に記録します。

高橋 秀和
医療用医薬品の調剤に関する薬剤師側のフィーは、どういった形になっていますか?またその際の、患者負担金はどうなっていますか?

青山慎平
カナダでは、調剤報酬算定要件やそれを満たすための指導内容、記録などはありません。薬剤師側のフィーを一言でいうと、1剤につき約10ドルです。また、患者負担金については、世帯の所得に応じたDeductable(控除)の考え方が取り入れられています。病院での医療費の負担がないことはカナダの良い点ですが、一方で薬局では、1年間に300〜10000ドルと幅がありますが、ある一定の額に到達するまで全額患者負担になります。その額に到達した後は、国が支払ってくれることになります。このDeductableには、保険適応となる薬剤費の全額、薬剤師のFee (10ドル/ 1 薬品)が含まれます。

○ 薬剤師を取り巻く制度環境について

高橋 秀和
日本では、調剤技術料は高い、患者がフィーに見合った満足感を得ていないとしきりに批判されますが、カナダの状況をお聞きすると印象が変わりますね。むしろ、カナダでは1年の上限が(日本に比べて)低く定められていることが、患者側の納得感に寄与しているように感じられます。

青山慎平
Medication Review ServiceのFeeですが、これについてはDeductableに到達しているか否かに関わらず、国が全額負担しますので患者の負担はゼロです。したがって、時間のある方であれば比較的みなさん協力的です。

小嶋 慎二
患者さんにMed Reviewについての別途費用もかからず、文書でお互い確認することで、患者さんにも薬剤師の仕事を理解してもらえるんでしょうね。日本は付加業務全てに患者さんの負担を求めますから、患者さん視点ではないですよね。制度面で何とかして欲しいです。

高橋 秀和
英国で、薬剤師による処方薬のレビューが始まりましたが、患者の自己負担金に反映しない制度でしたね。日本では長らく、医薬分業「自体」が患者負担に反映し、割高になるとして批判の対象となってきました。お薬手帳の患者負担も「負担増」「無料」「減額」と右往左往しており、明らかに杜撰です。先進国の制度設計としては異様に感じます。

青山慎平
「患者と薬剤師との経済的利益が対立しない」ように制度が作られているのは確かに重要です。値段が上がるならいらない、となりますからね。加算をとらないからハイリスク薬の説明をしなくていいとか、小児科加算をとらないから別に小児に特別な服薬指導しなくていいとか、薬剤師のパフォーマンスに応じて変わる値段設定もおかしなものですよね。

○ グローバルな視点で今後の薬剤師像を考える

熊谷信
費用面で大きな違いがありますが、もっと根本的な部分にその差異の理由があるように思います。

小嶋 慎二
日本では、患者への指導内容までも毎回きちんと記録に残す薬歴第一主義、地域包括ケアシステムにおける在宅患者への訪問指導などが必須のものとなっている他、輸液などの高度調剤やフィジカルアセスメントなど、地域薬局の薬剤師に今後特に求められる知識やスキルは海外とは異なるよう思えます。

青山慎平
私が日本の状況について思うことは、薬剤師という貴重な資源を上手く使い切れていないということです。服薬指導記録の毎回の記載、残薬の確認、Do処方の投薬、調剤等の不要な部分を削ることで、薬剤師が本来実施すべきことにもっと時間を使えるようになると思います。あとは、もっとセルフメディケーションの領域に薬剤師が関与すべきですね。OTCの選択など薬剤師が介入できる点は多くあります。

熊谷信
日本では服用後の継続的な服薬状況の把握、指導が法令化されようとしていますが、そうした方向性についてはいかがでしょうか。

青山慎平
カナダの多くの薬局で、初回投与後のフォローアップまでできている薬局は稀だと思います。それらの方法についての教育は行き届いていますが、フィーが発生しないことや業務の多忙さから実施をほとんど見たことがありません。

小嶋 慎二
「ただ、棚から薬を出して数えている」という批判からの答えなのでしょうけど、 本当にすべての患者が服用後のフォローを求めているわけではないと実感しています。個人的には地域薬局の業務は、何を本来実施すべきかというカナダ(をはじめとする多くの国)の考え方が正しいと思いますが、「薬歴第一主義」の日本では受け入れられないのかもしれませんね。

高橋 秀和
医療用医薬品ネット販売解禁への予防策として、リフィルへの布石として、在宅医療のマンパワー充足のため、薬剤師と患者の結びつき強化のため、という狙いがあるのだろうと想像しています。意思決定において、誰も姿勢を示さない、ビジョンを示さない中で制度を変えて行こうとすると、こういった形にならざるを得ず、あまりよいものではないと思っています。弊害も大きいでしょう。

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こうしたことは次期改定に向けた大きな課題になりますので、今年はいろいろな動きがあることでしょう。懸念材料も少なくありませんが、引き続き動向を注視してゆきたいと思います。

2018年12月15日

[薬局新聞]薬局薬剤師を次世代に誇れる職業へ

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第93回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL93


 引き続き、田原町薬局(東京都)の小嶋夕希子先生にお話をお伺いいたします。

 独立・開業後、ここで節目を迎えられたとのこと。

「今年の12月1日に開業2周年を迎えることができました。開業当初は、この選択で良かったのだろうか?と考えてしまったり、診療報酬改定があった際にはうちの薬局やってけるだろうか?と不安を感じてしまったり、山あり谷ありの2年間でした。どうしよう!!(涙)と薬局経営者の諸先輩方に泣きついた事も一度や二度ではありません。ですが、私や田原町薬局に出逢えて人生が変わった!と言ってくださるお客様やスタッフ達をみていると立ち止まらずに進み続けて良かったなと心から感じました」

 今後の展望について教えてください。

「弊社理念である『お客様と薬剤師との出逢いを創る』をさらに現実化していきます。処方箋をもらい、薬局へ行く事だけが薬剤師と出逢うきっかけではなく、日常生活の中で“気づいたら薬剤師と出逢ってた”というような自然な形での出逢いを創ることに挑戦します。自分たちの次の世代へ、誇れる職業として薬局薬剤師の未来を手渡したい。そんなふうに考えてます」

 小嶋先生、4回に渡ってありがとうございました。


2018年12月09日

[薬局新聞]自らの夢・ビジョンをSNSで発信し、出逢えた仲間

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第92回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL92


 引き続き、田原町薬局(東京都)の小嶋夕希子先生にお話をお伺いいたします。

 実際に独立・開局して手応えはいかがでしょうか。

「様々な取り組みをしていますが、田原町薬局が成長を続けてこれた最も大きな理由は、良いスタッフに恵まれてきた事にあると感じています。処方せんを持ってくる患者様以外、例えば薬局の前を通るお客様達からも「ここのスタッフさんたちは本当に楽しそうにお仕事しているから前を通るのが楽しみだわ」と言っていただくことも多いです。とてもうれしいです!初期メンバーの事務員さんや薬剤師さんは一切求人をかけずに集まりました。現在は所属している薬剤師が5名、事務員は3名。社内イベントには、それぞれの家族も参加し毎回大所帯で盛り上がります」

 このような組織作りができたきっかけは何でしょうか。

「振り返ってみると、私自身が創りたい薬局や自分の夢やビジョンについて、常日頃からWEB・SNSやリアルで発信してきたことが大きいと感じています。“何故、起業するのか”“何故、薬局なのか”“何故、私なのか”様々な場所で発信してきました。現在、FacebookやTwitterでつながっている人たちはフォロワー含めると約7000人、毎日発行しているメルマガの購読者は約400人。今も進行形で毎日の発信は欠かさず行っています」

 次回は、今後の展望についてお伺いいたします。


2018年11月24日

[薬局新聞]薬剤師との出逢いは人生を変える

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第91回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL91


 引き続き、田原町薬局(東京都)の小嶋夕希子先生にお話をお伺いいたします。

 薬学部を卒業して2年で独立開業なさったというのは、当初からのプランだったのですか。

「実は、薬剤師国家試験に合格した当初、独立開業しよう!という考えは全くありませんでした。正直、追い風の業界ではありませんし、個人薬局は厳しい時代であることは重々承知の上での決断でした。それでもやろうと立ち上がったのには理由があります。それは自分の人生をかけて“正しい”と証明し、伝えたい『想い』があったから。そして、その手段として自分が天職だと思える薬局経営を選んだのです」

 どういった想いをお持ちだったのでしょうか。

「『薬剤師との出逢いは人生を変える』というものです。私が出逢ってきた薬剤師さん達は『薬剤師』という職業に対する誇りを持ち、命をかけて患者様、お客様と向き合う人たちばかり。私もこんな風になりたい。誰かの力になれる存在になりたい。悩みながらも、様々な先生方やお客様達と関わっていくことで「薬剤師との出逢いは人生を変える」ということが私の中で確信へ変わりました」

 次回は小嶋先生が独立後、どのような形で取り組んでいらっしゃるのかお伺いいたします。


[薬局新聞]お客様をファンに深化させる

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第90回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL90


 今回から、田原町薬局(東京都)の小嶋夕希子先生にお話をお伺いいたします。

 小嶋先生の思い・行動の原点には、お母様との闘病生活がおありとのこと。

「私の周囲には、想いを持って日々努力を重ねながらお客様の前に立ち続けている薬剤師がたくさんいます。それなのに私は、たった1人の家族だった母の闘病・介護・看取りを経験した数年間、1人も記憶に残る薬剤師と出逢う事ができませんでした」

 非常に辛い思いをなされたのですね。

「こうした経験から、『お客様と薬剤師との出逢いを創る』というミッションに行きつき、株式会社FUNmacyを創業しました。@出逢いの場創りのための薬局経営A出逢う人創りのための独立支援B出逢う機会創りのための起業支援、の3本柱をメインとした経営戦略を進め、薬学部卒後2年目の冬には東京浅草にて30年以上の歴史を持つ田原町薬局を承継し開業しました。1年半後には“お客様”が“ファン”に深化させるファンビジネスという手法で業績を伸ばし、現在の売上は承継時の2倍以上へ発展させました」

 次回以降、現在の薬局での取り組みなどについてお伺いいたします。


※ 小嶋夕希子のお名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

2018年11月10日

[薬局新聞]限界まで挑戦しながら海外での薬剤師キャリアを模索

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第89回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL89


 引き続き、Medicine Center Pharmacy(カナダ)の青山慎平先生にお話をお伺いいたします。

 今後の展望についてお聞かせください。

「カナダは、各々の薬剤師の経験と知識、責任感などによって、与えられる薬物療法の内容が変わってきます。例えば、条件が揃えばACE Inhibitorやスタチン系薬剤のクラス変更も認められています。カナダの薬剤師に与えられている権限を最大限使えるように勉学に励んでいきたいですね。また海外で働く薬剤師のキャリアをもっと模索したいですね。カナダ卒の薬剤師でさえ難関であるこちらの病院薬剤師とか、新興国の国際協力の分野にも関わってみたいですね。一度きりの人生ですし、自分にどこまでできるか限界まで挑戦していきたいです」

 そのバイタリティに敬服します。

「日本の若い世代の薬剤師が挑戦できるように裾野を広げてゆくこともしたいですね。短期の海外留学はよくありますが、海外で薬剤師になるというのはまだまだハードルが高いイメージが先行していますからね。別に英語が得意でなくても、はっきりとした目的意識がなくてもいいんです。海外の薬剤師ってかっこいいなっていうぐらいで目指してみてもいいと私は思うんですよ、私も最初はそうでしたし」

 青山先生、6回に渡ってありがとうございました。


2018年10月26日

[薬局新聞]権限を行使することで患者に貢献するカナダの薬剤師

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第88回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL88


 引き続き、Medicine Center Pharmacy(カナダ)の青山慎平先生にお話をお伺いいたします。

 同じ“薬剤師”でも、カナダと日本の間に大きな違いがありますね。

「特に薬剤師の権限の違いが大きいですね。第2回の紙面でも触れましたが、ずっと飲んでいる薬があと数日分しかなく、でも病院の予約がとれたのが来週で、それまでの薬が足りないような場合。薬剤師が妥当だと判断だとすれば、薬を調剤することが可能です。もちろん状況把握した上で行いますが、患者の困った状況を薬剤師の力で打開することができます。こういう時って薬剤師として患者に貢献できているなと感じますし、患者からしたら便利で楽だし、権限っていいなと思いますね」

 ちょっと日本では考えられないですね。

「一方で、権限は重いなと感じることも多々あります。多くの場合、薬局にいる薬剤師は私一人なので、いつも一人で判断しなくてはいけません。一緒に働くアシスタントからは、『カウンセリング!』とか『ドクターから電話です』『インフルエンザの注射お願いします』『相互作用のアラートです』など、ただでさえ忙しい中、あっちで呼ばれこっちで呼ばれます。もうそんなに呼ばないでよ、ってたまに思います(笑)。カナダでの薬剤師の仕事は大変なことが多い一方、自分の知識を最大限利用し、行使するための権限もあるため、非常にやりがいのある面白い仕事だと思います」

 次回は今後の展望についてお伺いします。


[薬局新聞]自主性が求められたカナダでのインターン

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第87回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL87


 引き続き、Medicine Center Pharmacy(カナダ)の青山慎平先生にお話をお伺いいたします。

 今回は、移民の国であるカナダで働くということがどういうことなのか教えてください。

「カナダでとても驚いたのが、薬局でインターンをしていた時ですね。とにかく、放任主義なんですよ。日本ですと、まずはオリエンテーションがあって、見学、それからゆっくり実務を学んでいく。服薬指導も隣についてもらって、内容が間違っていないかしっかり確認してもらいますよね。それを想像していたのですが実際は、初日から『はい、服薬指導やって』『ぼーっとしてないで、電話に出てもらえる?』と、何も教わることなく始まります。この日ほど薬局の業務が嫌いになったことはなかったですね(笑)」

 ものすごく大きなギャップですね。

「これがいわゆる“カルチャーショック”でした。日本育ちであれば、ヒエラルキー(上下関係)の強い環境で育っています。上司の言うことを聞く『従順性』が比較的必要とされるのかなと。逆にカナダは、言われる前に自分から行動する『自主性』が求められるので、何もせずに待っていると、怒られるわけです。カナダは人口の2-3割が移民で占められているので、薬局の職場も国籍は様々です。他の国の文化や考え方を理解することはとても重要だと毎回、痛感しています」

 引き続き、青山先生のお話をお伺いします。


2018年10月16日

[薬局新聞]どの薬が何日分必要ですか?

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第86回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL86


 引き続き、Medicine Center Pharmacy(カナダ)の青山慎平先生にお話をお伺いいたします。

 青山先生は日本でも薬剤師として働いた経験がおありですが、カナダとの違いはお感じですか。

「カナダでも日本でも薬剤師のやることは基本変わらないのですが、あえて1つ違いを言えば、カナダの薬剤師は、疾患からその薬物療法そのものを見直す機会が多いですね。保険医療制度の違いもありますが、1) 控除額に到達するまでは完全に患者負担 (保険適用になるのは一部) 2) 処方箋に記載された薬から患者が欲しい薬だけを選ぶことができる、という背景から、患者は本当に必要な薬を最小限もらいたい、と考えているんですよ」

 日本は処方箋に記載のすべてのお薬を渡すことが前提ですので、大きな違いですね。

「ですから患者が処方箋を持ってきた時に、最初に交わす会話は、『今日はどの薬が何日分必要ですか?』なんです。そこで、今日は気管支炎と言われた、腰痛がひどい等々、色々話してくれるわけです。処方された薬が高価だと、他に安価な処方箋薬はないか、OTCで代替できないかなど更に話し合いをすることになります。こういう話をするためには、各疾患の標準治療をNon-prescription therapyからPrescription Therapyまで精通していないといけないので、薬剤師の能力を存分に発揮できる面白さを感じています」

 次回も引き続き、青山先生にお話をお伺いします。


2018年10月09日

[薬局新聞]患者の治療へ積極的に関われるカナダの薬剤師

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第85回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL85


 引き続き、Medicine Center Pharmacy(カナダ)の青山慎平先生にお話をお伺いいたします。

 青山先生は日本でも薬剤師として働いた経験をお持ちですが、カナダと日本との間に違いはお感じですか。

「カナダで薬剤師として働いてみて良かったと感じたことは、やろうと思えば幾らでも患者の治療に積極的に関わることができることです。 Professional Judgementという言葉をこちらでは良く使いますが、薬学的な知識や経験に基づいた薬剤師による状況判断をいいます」

 例えば、どんな事があるのでしょうか。

「毎日飲み続けている薬がなくなってしまった。次の受診日まで1週間分の薬が足りない。カナダの薬剤師は処方箋の延長やエマージェンシーリフィルができるので、薬剤師の権限で薬を渡すケースもあれば、病院で処方箋をもらってきてと言うこともできる。薬剤師一人一人によって対応が違うし、状況によって判断が異なってくるのです」

 日本ではなかなか考えられないことですね。

「海外の薬剤師というと、ワクチン接種や処方権など表面的な部分に目が行きがちですが、実はその時々の判断力が必要とされる職種であると私は考えています。権限を行使できることは責任があって大変ですが、薬剤師の仕事にやりがいをもっている人には最高の場所だと思っています」

 引き続き、青山先生の取り組みについてお伺いいたします。


2018年09月17日

[薬局新聞]適応力がついたカナダでの薬剤師生活

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第84回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL84


 今回からMedicine Center Pharmacy(カナダ)の青山慎平先生にお話をお伺いいたします。

 初めてこのコーナーに海外からご登場いただきます。今はどちらにいらっしゃるのでしょうか。

「私は現在、カナダのブリティッシュコロンビア州、Fraser Lakeという小さな町のコミュニティ薬局で薬剤師をしています。なぜカナダなのかと言えば、もちろん『海外の薬学を学ぶため』でもありますが、偶然カナダになったとも言えます。全ての始まりはアメリカへの短期留学でした。内向的で保守的だった私が、自分のやりたい事に挑戦できるような、前向きな性格になったことも大きいなと思っています」

 留学が大きな転機になったのですね。

「国際交流ボランティアで知り合いになったフィリピン人の親友がカナダで薬剤師になることを勧めてくれたんですよ。カナダで薬剤師になったら、お金持ちになれるよって。じゃあやってやろうと思い立ったのが2013年。二年もあれば何とかなるだろうと思っていましたが、結局四年もかかりました。色々と遠回りはしましたが、日本とカナダを行き来している内に、新しい環境への適応力は付いたと思います。薬剤師になった達成感もありますが、自分としてはまだまだこれから勉強して、カナダの他の薬剤師に追いついていかなければと思っています」

 次回以降、青山先生の取り組みについてお伺いいたします。


2018年09月12日

[薬局新聞]#薬剤師の怖い話

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第83回です。

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 SNSで話題をカテゴライズする際に用いる用いられるハッシュタグ。非常に多くの話題がありますが、Twitterで「#夏だし薬剤師さんの怖い話おしえてください」というハッシュタグが盛り上がっていましたのでご紹介します(編集の都合上一部改変してあります)。

 最も多かったのが(夏に限らずですが)疑義照会の際に“怖い”思いをしたというもの。処方元に「小児禁忌の薬です」と連絡したところ「うちでは(その薬を)出しています!」との返事があったなんて話を聞くとゾッとしますね。また別のケースでは「この薬の用量がちょっと…」と確認をしたところ、医師から「この薬ってなんの薬なの?」と逆に質問されたなんて話も。

 薬局以外の場面では、子供の学童の救急箱の中にモーラステープとモーラスパップが入っていたという話。学童の先生に聞くと、自分の分が余ったから家から持って来たという返事があったということで、日常に潜むリスクの多さに気づかされます。

 こうした話題を目にした人からは「薬剤知識のない医師が想像以上に多い」「医師や処方に疑いを持たない患者が少なくない」と嘆きの声が上がる一方、「薬剤師さんが防波堤になって医療事故を防いでくれていることも多いのかも」という一般の方の声もありました。

 面白おかしいものから本当に笑えないものまで、たくさんのつぶやきがあります。ぜひ、Twitterを覗いてみてください。


2018年08月11日

[薬局新聞]大きな関心が寄せられる医薬品医療機器制度部会

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第82回です。

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 厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会。ご存知のように、7月に2度の部会が開かれました。本来的には医薬品や医療機器に関する新たな制度や施策を立案するための場所なのですが、議論は混迷気味。それに対して様々な声があがっています。

 混迷している大きな原因として、出席している各委員の間に、今後の「制度医療」について議論するという共通認識がないことが指摘されています。また、医師会の委員を中心に医薬分業の是非が蒸し返される中、厚労省や薬剤師会、更には有識者や患者団体も、「いつまでたっても医師会への忖度をやめることができない」と呆れる声もあがっています。

「処方意図の解析とは何か」「処方提案とは何か」といった医師会からの“難癖”ともとれる発言に対して、日薬の日和った返答、更に厚労省が「処方意図の解析」資料を撤回するなど、「日薬の敗北」と言われるほどの状況にはたくさんの懸念が寄せられています。

 院内処方回帰の発言に対しては「やれるものならやってみろ」という強気の発言も散見されますが、その一方、日薬には「薬剤師の存在感を高めるように厳しく主張、反論してほしい」「国民に向けてビジョンを語ってほしい」「議論のベクトルを変えるぐらいの決意で臨んでもらいたい」とたくさんの期待が寄せられています。

 未来の薬剤師のためにもここは大きな踏ん張りどころですので、現場の薬剤師としても大きな関心を持って動向を見守ってゆきたいところです。


2018年08月04日

[薬局新聞]オンライン服薬指導が行われるなか薬局へ足を運んでもらう意味とは

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第81回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL81


 大きな話題になっている「オンライン服薬指導」3ヶ所ある特区の薬局が次々と名乗りを上げ、疑義解釈も公表されるなど本格的に動き出しました。今回は、この動きに関するネット上での声をお伝えいたします。

 大きな気がかりとして話題に上るのが、今ある薬剤服用歴管理指導料への影響です。「特区で行われるオンライン服薬指導がどう評価され、現行の薬剤服用歴管理指導の要件がどう変わるのか」特区で行われる取り組みに左右されるだけに、その動向が注目されます。

 中医協においても、「対面服薬指導に診療に比べて遠隔服薬指導が効率的に行えるのであれば、報酬の適正化なども考慮すべき」といった発言も見られますので、次回以降の調剤報酬改定の際には、要件や評価(点数)の見直しは必至です。

 こうした背景に切り込む発言もあります。現在の医薬分業を見直し、「高コストから低コストへ調剤報酬の転換」を指摘する声もあります。今まで不足していたとされる患者本位の姿勢と医療費適正化への更なる貢献が期待されていると言えるでしょう。

 既存の多くの業態がリアルからネットに変化してきた中、医療もその波に飲まれようとしています。「わざわざ薬局に足を運んでもらう意味は何か」を真剣に考える時代になるとの指摘、今後多くの薬剤師が向き合うことになるのでしょうね。


2018年07月26日

[薬局新聞]薬剤師になるためのコスト増加と給与減少のギャップ埋めるには

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第80回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL80


 引き続き、兵庫県神戸市の清水篤司先生にお話をお伺いいたします。

 清水先生はある危惧をお持ちだとか。

「薬学部が6年制になったこと、国家試験の合格率が下がっていることなどから、薬剤師になるためのコストは以前と比べて格段に上がっています。が、薬剤師の給与は超長期的には下がっていくという予想が大勢を占めています。私は、以前から、このギャップについて危惧し、対策を模索してきました」

 今後の具体的な方策をお考えだとのこと。

「私自身のことを言いますと、合格から20年弱経過していた宅建士の登録を昨年行いました。複数の講習を受け、県知事に登録を申請する手続きを経て免許を有効化できました。今までファイナンスに特化した勉強は余り出来ていなかったので、それを学ぶ良い機会だと捉えています。毎日忙しい上に収入が頭打ちになる薬局薬剤師の経験があるからこそ、今の手取り収入と将来の資産の両方を確保できるような、手間が掛からない手段へのニーズについては良く分かります。自分が試してみて効果が得られたものを、皆さんにもお伝えしていけたらと思います。こちらの方面からも、参考になる、また実のある情報を発信できるよう頑張って参ります」

 清水先生、5回に渡ってありがとうございました。


2018年07月17日

[薬局新聞]薬剤師の仕事伝える絵本の製作

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第79回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL79


 引き続き、兵庫県神戸市の清水篤司先生にお話をお伺いいたします。

 清水先生が温めているアイデアがおありだということですね。

「はい、絵本の製作をしたいと考えています。小児科の処方箋を持ち込んだ親子を毎日のように調剤室側から見ている中で、待合から見た調剤室の中は、ブラックボックスに近いのでは?と感じています。そこで、待ち時間をもっと有効なものに出来ないかという思いと、待つ間に薬剤師の仕事について、分かりやすく、かつ詳しく知って貰えるような絵本を作りたいという気持ちが生まれました」

 過去に、DIオンラインのコラムで「米国の薬剤師が書いた絵本と職業PRの重要性」というタイトルで話題にしていらっしゃいましたね。

「この記事で紹介した絵本は米国の薬剤師が職業紹介のために執筆、出版したものなのですが、内容には日本の薬剤師の仕事と異なる点も散見されます。私は企画を焼き直して日本版を作るのではなく、独自の視点で絵本のカット割りを行い、待合室で薬を待つ親子の待ち時間を有意義なものに変えることができるアイテムを作りたいと考えています。そして、それが結果的に、薬剤師という職業人のPRになれば良いと考えています。今は、この企画を実現すべく努力中です。皆さんからのご意見やご支援をいただけると嬉しく思います」

 次回は薬剤師を取り巻く経済環境についてお話しいただきます。


[薬局新聞]海外の情報を得るための一工夫

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第78回です。

引き続き、兵庫県神戸市の清水篤司先生にお話をお伺いいたします。

 コラムの情報源はどのように得ていらっしゃるのですか。

「記事のための定点観測的な情報源としてNBC Nightly Newsがあります。それをiPhoneのPodcastでほぼ毎日聞いています。興味があるニュースに行き当たると、何月何日のニュースファイルの何分何秒ぐらいにあるのか、スクリーンショットに残して、更にPCで動画も確認します。また、それ以外にも英語のキーワードによる検索をかけて記事となるニュースがないか探すこともあります。このスタイルに落ち着くまでは、かなりの数の英文のサイトを検索したりして記事のネタを探していました」

 海外の情報を扱うとなると、大変なことも多いようですね。

「例えば米国発の医薬品や医療機器があり、ネットではその画像が確認できたとしても、著作権法上の問題から、画像を無断で使用することはできません。それをどうにか手にして読者の皆さんにお見せしたいと感じます。時差がある中で、米国の会社の広報担当者にメールを送り、使用可能な画像自体を貰ったり、ホームページ上の画像の使用許可をいただいたりといったことも行っています。写真入りの良い記事にしようという思いが強いほど手間暇がかかりますね」

 次回も清水先生の取り組みについてお伺いいたします。


2018年06月28日

[薬局新聞]薬剤師として培ったスキルをコラムで業界に還元

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第77回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL77


 引き続き、兵庫県神戸市の清水篤司先生にお話をお伺いいたします。

 清水先生は日経DIオンラインの「まいにち薬剤師」のコーナーで連載をしていらっしゃいますね。

「日経DIオンラインは、熊谷さんのコラムも含めて情報源の一つとして長らく利用していましたが、薬剤師としての経験が10年になる頃から、これまでお世話になったこの業界に何らかの形で少しでもお返しが出来たら良いなと考え、コラムニストに挑戦してみようと考えました。そこで、DIオンラインのページの「お問い合わせフォーム」から、コラムニストとして寄稿してみたい旨のメッセージを書いて送ってみました」

 清水さんが培ってきたスキルを業界に還元しようと行動なさったのですね。

「後で分かったことですが、当時のコラムニストの皆さんには自薦で入られた方はいませんでしたし、新たなコラムニストの募集もありませんでした。2週間ほどして当時の編集長からメールが届き、早速2本記事を書いてみて、そのうちの1本が採用となり、第1回目の記事として公開されました。「米国の薬局専門誌には“この(手書きの)処方が読めますか?”というユニークなコーナーがあります」という記事です」

 次回はコラム連載に関するお話をお伺いします。


2018年06月21日

[薬局新聞]その後の人生について考え社会人から薬学部へ

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第76回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL76


 今回から、兵庫県神戸市の清水篤司先生にお話をお伺いいたします。

 清水先生は慶應義塾大学法学部をご卒業後、社会人を経て薬学部に入学するという経歴をお持ちだと伺いました。

「中学高校時代の先生の影響もあり、また漠然と司法試験を目指すという選択肢もあり、法学部へ進学しました。卒業後は国内の化学メーカーに就職し、人事、総務、広報等に関わる様々な業務を行いました。そんな中、命に関わるような非常にショッキングな出来事があり、それが一つのきっかけとなってその会社を退社。大げさでなく、その後の人生について考えました」

 おこがましさは承知の上ですが、私も社会人を経て薬学部に入学しましたので、境遇は違えど、一脈相通ずるものがあります。

「私も初めてお会いする前から親近感がありました。その出来事で間違いなく人生観が変わりましたし、言い方は変ですが、”残りの人生はいただいた時間”的な発想が生まれました。退職後、地元神戸に戻り宅建の資格を取得、更に友人の勧めもあり理系への転向を考えました。塾の講師とスポーツジムのトレーナーを掛け持ちしながら受験勉強をし、神戸学院大学薬学部に進学しました」

 次回以降、清水先生の取り組みについてご紹介いたします。


2018年06月08日

[薬局新聞]影響力のある人物による発信

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第75回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL75


当該ツイートはこちら。




 若者からの支持が高い高須クリニック院長の高須克弥氏。Twitterを巧みに使いこなし、その発言は多くの賛同を集め、ときに批判を受けていますが、そんな中、今回ある一つのツイートが話題になっています。

「咳がとまらん。ブロン一気飲み。体によくないからよいこは真似してはいけません。なう」とブロンを片手にラッパ飲みのポーズを決める高須氏。これに対して、多くの反響が寄せられている。

 「影響力のある方なのでこういうツイートはやめていただきたい。「よいこはまねをしない」かもしれないけど、高須先生もやってるなら(中略)と真似をする恐れがあります」

 「日本が、市販薬のリスクを軽く見積もる国であることを残念に思います。実際に依存症に苦しむ方、副作用被害者もいる訳で」

 「信じられない!! 冗談でもやめて下さい!! 真似する人いたら高須先生の責任です よ。医師という立場を考えてアップして下さい」

 「医師免許をお持ちの方なので、本当に真似をしちゃだめだというなら何故わざわざツイートなさるのでしょうか。高須先生が良くて他の人は真似をしてはいけないのは何故ですか」

 こうした反響が寄せられることは、おそらく想定済みのことでしょう。今後は医薬品の適正使用に向けた発信をお願いしたいものです。


2018年06月02日

[薬局新聞]アルクマおくすり手帳

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第74回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL74


 今回は、手前味噌ではありますが、私の薬局で作成しました「アルクマおくすり手帳」について紹介させていただきます。

 “お薬手帳”と言えば、昨今、多くの電子お薬手帳が開発され、薬局でも導入するところが増えています。利用する患者さんもスマホにアプリを入れることで処方薬の管理・把握がしやすくなり、今後の主流となっていくことは間違いありません。

 そんな中、紙媒体のお薬手帳を、たとえオリジナルとは言え作ったところで、“今更感”をお持ちの方は少なくないでしょう。確かに、機能的な向上が見込めるものではありませんし、手間や費用をそこまでかけずに、市販のもので十分では?と私自身も感じていました。

 しかし実際にこの「アルクマおくすり手帳」をリリースしてみて感じたのは、キャラクター一つでお薬手帳はここまで変わるのか、ということです。もちろんすべての方ではありませんが、多くの利用者から、とても大きな反響が寄せられました。

 お薬手帳の利用促進については、もちろん正攻法で訴えることも必要ですが、「利用する人が持ちたくなる」という観点から、今一度考えてみる必要があるのかもしれません。各薬局において、地域や利用者の特性に応じたお薬手帳への工夫が大切ではないかと感じました。


アルクマおくすり手帳(表紙)

2018年05月19日

[薬局新聞]冒険的発想でチャレンジし続ける

薬局新聞連載の「かかりつけ薬剤師パーソナル」第73回です。

かかりつけ薬剤師PERSONAL73


 引き続き、株式会社バンブー(神奈川県)の竹中孝行先生にお話をお伺いいたします。

 今後の薬局アワードについてどのような展望をお持ちでしょうか。

「最近では嬉しいお声を聞くことも増えてきました。全国で予選大会のようなものをできたら嬉しいですね。薬局のことを一般の方に知ってもらうことを目的としていますが、まだまだ一般の方の来場は半数程度ですし、一般メディアに取り上げられたこともありません。また学生にもより多く参加してもらいたいです。もっと世の中の多くの方が注目してくださるように、工夫や仕掛けをし続けなければならないと思っています。まずは継続することが大切だと思っていますので、続けられる仕組み作りに専念しているところです」

 竹中先生ご自身としてはいかがでしょうか。

「私個人としては、今までと変わらず、みんなが輝ける場を作りたいという思いを大切に、突き詰めていきたいと思っております。一人でできることは限られますので、人々、地域、そして社会により大きく貢献できるように、仲間とともに会社を成長させていくことが大切だと感じています。そのためには、まずは、薬局、介護、美容、各々の事業の店舗を深め、そして拡げていきます。冒険的発想を忘れずにチャレンジし続けたいと思います」

 竹中先生、4回に渡ってありがとうございました。


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