アルマール錠の名称変更がすんなり進んだ大日本住友の英断

スポンサーリンク
アロチノロール

アルマール錠アマリール錠の取り違えが原因となり、アルマール錠アロチノロール塩酸塩錠に名称変更したことは多くの方がご存知のことと思います。当ブログでも話題にしました。
薬局のオモテとウラ: アルマール錠5の名称変更品 アロチノロール塩酸塩錠5mg「DSP」が納品された
その名称変更の経緯についてまとめられた記事が、Facebookで話題になっていました。
【ビジネスの裏側】似た名称で誤薬事故 変えない外資系、先発なのに譲った大日本住友製薬の理由 – MSN産経west
非常に興味深く読みましたが、どうもこの論調だと、販売名を変更した大日本住友が「善」で、変更しなかったサノフィが「悪」みたいな構図になってしまっているのがやや気になりました。端的な文章がこの部分です。

同社(大日本住友)の多田正世社長は「当社が先に発売した医薬品だが、取り違えられて困るのは患者。製薬会社のあるべき姿を考えた」と打ち明ける
一方、アマリールについて、サノフィの広報担当者は「医療機関からさまざまな声を聞き取った結果、販売名は変更しないことにしました」と説明した

発売年月を見てみますと、アルマール錠は1985年12月、一方のアマリール錠は2000年4月となっています。また記事中にもありますように、アマリール錠の低血糖という副作用を考えますと、そちらの方がハイリスクと捉えることができます。
そう考えると、「アマリール錠の方が名称変更すべきだった」という主張にも一理あります。
とは言え、売上高を比較してみますと、アルマール錠の24億円に対して、アマリール錠は232億円(共に平成23年度)。10倍近い開きがあることを考えますと、「(市場規模が)小さい方が変更する」というのが自然です。
アルマール錠アマリール錠の両者が名称変更するという方法もあったのかもしれませんが、結果的に、アルマール錠のみが変更する形となりました。
もちろん、これはものすごく評価すべきことだと私も思います。自動車で言ったら、トヨタがカローラの名称を変えるようなものでしょう(ちょっと違うか?)。そして大日本住友という製薬メーカーの誇るべきは、それがすんなりと進んだことにあるのかもしれません。
では一方のサノフィがダメかと言えば、個人的には決してそんなことはないと思います。どんなやり取りがあったのかは分かりませんが、行政も含め、様々な議論が行われたのではないでしょうか。
高齢者薬物療法ハンドブック

 高齢者薬物療法ハンドブック

Anout us

このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
詳しくはこちら

くま☆をフォローする

コメント

  1. gongon より:

    市場規模が小さい方が名称変更するのが自然、というのが私にはよく分かりませんでした。
    変更コストが違うのでしょうか?
    売り上げの勝ち負けの問題でしょうか?
    後から似た名前を付けて発売しようとした方が、変更の責任をより大きく負う、この方が自然だと私には思えました。
    少なく見積もってこの責任がイーブンだったとしても、サノフィはこの名称類似問題への根本的な対策で後手にまわったわけです。

  2. くま☆ より:

    >gongon様
    コメントありがとうございます。
    あくまで私の個人的な見解ですが、市場規模が大きいことは、それだけ服用している患者さんが多いということになりますよね(すごく単純な発想ですが)。
    マクロの視点から、患者さんへの影響ということを考えますと、患者数が多ければそれだけ影響も大きいことになります。
    まあ確かに、形だけ見れば大日本住友が譲ったように見えますから、サノフィが横柄に見える部分もあるのかもしれませんね。外資系と国内企業という対立軸もそれを際立たせているのかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました