スイッチOTCに対する各学会の反応を成分ごとにまとめてみた

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医療用医薬品の一般用医薬品への転用、いわゆる「スイッチ化」される成分の候補について、かねてから日本薬学会がいくつか候補を挙げていました。
平成22年度の候補としては、以下のようなものがあります。
平成22年スイッチOTC候補
これらの候補について、各学会から意見が寄せられており、それが厚生労働省のサイトで公表されています。
厚生労働省:医療用医薬品の有効成分のうち一般用医薬品としても利用可能と考えられる候補成分について(医学会等からの御意見)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000018qzd.html
それらを元に、成分ごとに、各学会の反応をまとめてみました。ごく簡単にまとめましたので、詳細につきましては上記サイトにてご確認ください。


▽ 抗アレルギー薬(ベポタスチンベシル酸塩、オロパタジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩)

一般用医薬品としても利用可能と考えるが、適応疾患を厳密に選択し、患者の不利益にならないよう最大限の注意をはらう必要(日本皮膚科学会)
ベポタスチンベシル酸塩:時期尚早との意見(日本アレルギー学会)
オロパタジン塩酸塩:スイッチした場合に混乱が生じる可能性が高いのではないかとの意見(日本アレルギー学会)
セチリジン塩酸塩:特に意見なし(日本アレルギー学会)
花粉症患者などの需要が多く、効果判定も患者の自覚症状で充分、OTC化のメリットは非常に大きい(日本体力医学会)

▽ 消化管運動調整薬(ドンペリドン)

一般用医薬品にスイッチして利用するには慎重であるべき(日本小児科学会)
OTC化には慎重に対応すべき(日本救急医学会)
頓服や短期間での服用であればOTC化しても良い(日本体力医学会)

▽ 高脂血症治療薬(コレスチミド)

医師管理の下で処方されることが妥当。一般用医薬品への転用は効用、安全性の面から派生する問題が多いと判断(日本循環器学会)

▽ アンギオテンシン変換酵素阻害薬(カプトプリル他)

一般用医薬品としての利用には反対(日本循環器学会)
高血圧治療の基本的要件とは相容れず、安全性についても危惧があると考え、反対の意見を表明する(日本高血圧学会)
OTC化の候補としてなぜACE-Iのみ?(日本体力医学会)

▽ 糖吸収抑制薬(ボグリボース、アカルボース)

糖吸収抑制薬を一般用医薬品として利用可能とすることには賛成できかねる(日本循環器学会)
本学会としては賛成しかねる。一般用医薬品転用候補からぜひ除外を(日本糖尿病学会)
糖尿病療養指導士の資格がなくてもいいのか?基本的にα-GIをOTC化したところで糖尿病の管理をするのは難しいのでは?(日本体力医学会)

このように見てみますと、抗アレルギー薬こそ前向きな意見も少なくないですが、総じてスイッチ化への道のりは険しいことが予想されますね。
(関連リンク)
アポネットR研究会:スイッチ成分として不適切だとするその理由は?
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/110411.html
OTC医薬品販売のエッセンス―事例で学ぶ、適正な製品選択のヒント
4840741220

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コメント

  1. ぽんた より:

    しかし、この「学会」なるものも山のように存在しますね。
    多くの意見を聞けるからいい反面、色んな意見が出て(対極の)終止がつかなくなります。
    何か「学会の意見を聞きました」って責任逃れのためのような。
    で。
    「学会」なるものを認定してる国の機関はありますが、勝手に「学会」を名乗っても罰則はないし、認定された学会か否かの区別はなし。
    公益化してる学会がすべて認定機関でもなし。
    この辺の法整備がないとって思いますけどね。
    調剤薬局には1類医薬品を揃えるようにすべきって気もしますけどね。
    大昔の厚労省はOTCを置いてないと保険薬局として許可されない、なんて時代もあったんですけど・・・・
    本当はそうじゃないかって気もします。
    積極的にやると医師とトラブルになるからでしょうか・・・・
    しかし、ロキソニンのように、「ドラッグストアーでお買い下さい」なんて宣伝されると、結局商品としか見なされないんでしょうけどね・・・・
    医療提供施設の人間としてまたは、保険適応外だから薬局で購入して下さいって医師を補助するため、そんな意味では、門前で扱って連携してかないと「1類」の意味がないって思います。

  2. なんちゃって より:

    高血圧や糖尿病のような慢性疾患関連薬はOCT化は馴染まないと考えます。
    慢性疾患薬は飲んでいればいいというものでなく、患者教育が必ずセットになって意味があるものと思うからです。
    OTC化することによって疾患やリスクに対する正しい知識が身に付かないまま頓服的に服薬を行い、なんとなく薬を飲んでいるから予防も出来て安心という考えを持つ人が出て来てもおかしくはない。
    それとは逆に、抗アレルギー剤はむしろ早々にでもOTC化すべきでしょう。
    眠気の出にくいものなど患者メリットはかなりありますから。

  3. くま☆ より:

    >お二方
    コメントありがとうございます。
    慢性疾患については、現状、処方せんが当たり前ですので、薬局でOTCとして購入し、継続的に服用するというのはイメージしにくい部分はありますが、個人的には積極的に行ってもいいのではないかと思います。
    ただそれには、薬剤師の「覚悟」が必要なのではないかと思います。患者さんとしっかり向きあって、「自分の患者さんである」という意識が持てるかどうか、にかかっているのではないでしょうか。

  4. ルルル より:

    そうですね。
    慢性疾患であったとして、
    中には受診間隔が大幅にあく人もいますから、
    OTCであっても処方箋に基づく調剤であっても、
    患者さんの意識次第という部分もありますからね。
    くま☆様のご指摘通り、薬剤師の覚悟と、
    それから、医師と肩を並べるほどの患者さんとの信頼感。
    少なくともこの2つが絶対条件のような気がします。

  5. ルルル より:

    あっ
    もう一つ。
    薬局で、ある程度の検査(血圧測定や血糖測定)が行えて、
    できれば多少のフィーが付く事!!

  6. くま☆ より:

    >ルルル様
    コメントありがとうございます。
    確かに。継続フォローという点を考えても、ある程度の検査というのは必要になってくるでしょうね。

  7. マサ より:

    リストに載っている慢性疾患薬って
    現在、特保・健康食品としてその辺のスーパーだったり、通販で売られているものと同一作用機序のものなんですよね。
    そう考えると、薬局で薬として薬剤師が対面で販売した方が、安全性や効果の面でもいいのではないかと思います。
     血圧や血糖値は薬局店頭や家庭でも測定できるので、高血圧の初期治療や2型DMの発症抑制の目的使用し、それ以上の治療の必要性を感じたら医師へ受診させるという形で、患者さんにも医療経済的にもいいのではないでしょうか?
     ただし、TG値は家庭で測定できないので、エパデールなどの脂質異常症薬は受診勧奨が難しく、使い方に困りそうです。
     一般的な薬局であれば減塩商品や人工甘味料の取り扱いもあるでしょうから、それを交えながら食事指導も行えるでしょうし、数値が高くて気にはなっているけど、病院にいくのはちょっと気が引けるという方の受け皿になれればいいのではないかと思います。
     結局は薬剤師に対する信頼度が低いんでしょうね。調剤薬局などという造語を作り出し、OTCをないがしろにしてきた結果なのかもしれませんが。

  8. 下っ端薬剤師 より:

    血液検査を確実にできない状態でACE阻害薬を使用することは危険ではないでしょうか?日本薬学会なぜこうも生活習慣病の薬にこだわるでしょうか
    最低線の血液検査を担保できない状態で日本循環器学会、日本高血圧学会に意見を聞くところまでよくいけましたね、薬剤師として恥ずかしい限りです。ネット通販は安全に関して担保できないと批判しつつ、自分たちが安全を担保できないことを推進する薬剤師達の姿は、ダブルスタンダードです。この姿勢は医師側だけではなく一般社会側からも支持されません。
    レニベース添付文書より 
    高カリウム血症(0.22%)
    http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2144002F1024_2_01/
    メルクマニュアル家庭番
    軽度の高カリウム血症は、ほとんど症状を起こしません。普通は、定期的な血液検査を受けた際に発見されるか、心電図の変化に医師が気づいて初めてわかる程度です。
    http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec12/ch155/ch155i.html

  9. くま☆ より:

    >お二方
    コメントありあがとうございます。
    OTCって確かに軽度のケースで使用するためのものですが、扱い方次第でいろんな可能性が見えてくると思うんですよね。
    …ということで、今週のDI onlineにはその辺りのことを書きました。近日中にアップされると思いますので、よろしければまたご覧ください。

  10. 部外者 より:

    ▽抗アレルギー薬
    ステロイドを使われるよりずっとマシ
    ▽ 消化管運動調整薬
    ▽ アンギオテンシン変換酵素阻害薬
    比較的安価で効果が分かりやすく転売した際の利ざやが大きい反面安易に大量投与すれば害が大きい
    ▽ 高脂血症治療薬(コレスチミド)
    ▽ 糖吸収抑制薬(ボグリボース、アカルボース)
    痩せ薬として使われる恐れがある
    全体的に薬剤師への不信感より
    不埒な輩にとって”混ぜ物”としての入手が簡易になることを警戒しているように見えるけどね
    現にトクホ等々で販売側は機序その他の要点を掴んでしまっているものばかり
    しかしド素人が売込みばかりに目を付けて責任も取らず売り逃げした場合の害はいかほどのものかは想像に難くないのでは

  11. くま☆ より:

    >部外者様
    コメントありがとうございます。
    確かに、OTCになることは別の意味では「商品」になるわけですからね。

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