在宅医療は「寝たきりの人」だけではない

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在宅医療」というとどんなイメージがあるでしょうか。「寝たきりの人」「体が不自由で外出が困難な人」のお宅へ訪問するケースを考えることが多いかと思います。
あながち間違いではないと思いますが、それだけに限定されるものではありません。病医院の外来を受診し、薬局でお薬を受け取る方のお宅を訪問することも立派な在宅医療になるのではないでしょうか。
もちろん何の前触れもなしにお伺いするというのではなく、コンタクトを取って、或いは何かの事情でお薬をお届けする際に、訪問するというのが一般的かと思います。
「患者が病医院・薬局を訪れる際は、患者の顔をしている」
という話を聞いたことがあります。端的に言いますと薬局で見せる顔は「外行きの顔」であり、家庭で生活をしているときの顔とは違っているということです。
「家庭での顔」はその家に行ってみなければ見ることができません。薬物治療において普段の生活を知ることは、コンプライアンスを考える上で非常に重要なことです。
もっと言えば、その人のQOL(Quality of Life;生活の質)向上のために、薬局として、薬剤師として、どんなことができるのかを考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。
ともすると「点数(報酬)もつかないのに在宅などできない!」と考えがちですが、現時点で積極的に取り組んでいないものを「これから在宅をやるから点数をつけてくれ」と言っても説得力はありません。
普段から取り組んでおり、それが評価されて初めて報酬に結びつきます。現状に不満を言う前に、「薬剤師が在宅に関与したらどんなメリットがあるのか」を行動で示すことが必要になってきます。

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このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
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コメント

  1. こじろ より:

    先日の関西の薬剤師学術大会で、「在宅を推進するのであれば交通費を患者から取りづらいので点数に入れてくれ」とか「電話で薬の相談に乗ったら何かの点数をくれ」というよく分からない意見が飛び交っていました。
    緒先輩の一人よがりな意見に涙が出そうでしたがこれが現実かもしれませんし、世の方々はこんな薬剤師に多くを望んでいないでしょうね。
    とにもかくにも患者さんと人として話をできるような行動力が今は必要だと肌で感じています。

  2. くま☆ より:

    >こじろ様
    経営的なことももちろん考えていかねばなりませんが、仰るようにまずは「行動」ですよね。「薬剤師が在宅に関与したら患者さんに大きなメリットがあった」と認めてもらえたならば、報酬は自ずと出てくるはずです。

  3. さんまん より:

     これ、意外と「かかりつけ薬局」というものと似ているような感じな私です。やはり地域密着のほうが効果あるんでしょうか。外来患者は不特定多数の事が多いのでこの辺の節調が難しいところと感じます。
     すでに2件の病院にかかるようになってから3年が経過しますが、いまだに門前薬局利用です。自宅近くに着いてからでは薬局が閉店時間過ぎているものですから。

  4. レッド より:

    「外行きの顔」は薬を届けに行った時にすごい感じます。薬局では聞かれた事に当たり障りなく答える方が多いですが、自分のホームで薬剤師を迎える事で安心して話が出来るため、日々の服薬などでふと疑問に思った事を質問してくれるがあります。こういった質問はコンプライアンス向上や副作用発見に直結することが多いですね。
    在宅医療は薬剤師として関わっていきたいところですが、薬局の薬剤師不足や経営者の考えにより今のところ難しいのが実情です。せめて薬局で気軽に悩みを話せる雰囲気を作りたいと思います。

  5. くま☆ より:

    >さんまん様
    効果があるというか、かかりつけ薬局を持つことによって患者さんが安全にお薬を服用できる一助となるのではないかと考えています。
    >レッド様
    仰るように在宅に関わりたい気持ちはあってもなかなか難しい部分があるのが現状ですよね、うちも然りです。
    薬局という場所は決して楽しみで行く場所ではないでしょうから、そういった中で患者さんが話しやすい雰囲気を作ることはとても大切なことと私も思っています。

  6. 霧華 より:

    在宅医療は本来、入院するまでもない、もしくは入院しなくても入院時と同程度の医療を受けられるのが前提です。
    健常人が風邪で入院しません。通院でも治療効果はかわりませんから。
    では実際の在宅医療はどうかというと、入院時は「急変時すぐ駆けつけてくれる医師」「24時間看護」「薬剤師による服薬指導?」等ありますが、在宅に変わるとガクッとレベルが落ちます。
    例えば、薬剤師が直接服薬に関われば(軟膏を塗るなど)法律違反になりますが、実際には初回は関わる方も多いでしょう。
    経験をつんだヘルパーが介護をしてくれている場合にはそういう問題も起こらないでしょうが、完全介護なんて場合はまずないでしょう。
    看護師が在宅介護にまわることも少ないことから、本来なら医師がすべて説明すべきなのです。(薬剤師は薬剤そのものの説明が主とする)
    でも医師もそこまで余裕はありません。あったら患者も薬剤師にやってくれと言いません。
    つまり病院・診療所-薬局の関係をそのまま在宅医療に持ってくるという考え方そのものがおかしいんです。
    必ずしも介護・看護のプロではない患者家族に多大な負担のかかる現状の在宅医療はすでに破綻しかかっています。
    医療関係法規をそのまま在宅医療にもってくるのではなく、何らかの新解釈が必要になってくるでしょう。
    薬剤師が本気で在宅医療に切り込めるのはそれからだと思います。それまでは善意のボランティアですね。
    そもそも時間的制約も大きいんです。医師の往診後に処方箋が来て、一包化なんてしたら夕方もしくは夕食時ですよ。
    医師も薬剤師も診療所・薬局から離れた独立部隊じゃないと入院時とイコールになりえません。
    長文すみませんでした。

  7. くま☆ より:

    >霧華様
    そもそも私の記事が意味不明でしたね、「在宅医療」とタイトルに書きながら趣旨がちょっと変わってきてしまっていて…。
    >病院・診療所-薬局の関係をそのまま在宅医療に持ってくるという考え方そのものがおかしい
    とのご指摘ですが、これから先「在宅」がもっと言われるようになれば尚更ですかね。
    「善意のボランティア」に薬局が、薬剤師が腐らずに取り組めるかどうか。在宅医療における薬剤師の位置づけを左右しそうです。

  8. さつき より:

    >くま☆さん
    >「善意のボランティア」に薬局が、薬剤師が腐らずに取り組めるかどうか。在宅医療における薬剤師の位置づけを左右しそうです。
    ボランティア精神に基づく在宅医療への参加、すばらしいことだと思います。
    ただ、勤務薬剤師である私にはいまいちピンとこない部分がありますので、是非個人薬局の経営者であるくま☆さんに率直な意見をお伺いしたいのですが、薬剤師一人の薬局の薬剤師(=経営者)が「善意のボランティア」で患者宅を訪問するというのは、経営的に実現可能なのでしょうか?
    というのも、その薬剤師が薬局を空けている間、調剤はもちろん、OTCの販売も出来ません。
    つまり、薬局としては完全に機能麻痺に陥るわけですから、現実的に考えてその負担は相当なものになると思うのですが、その辺りはクリアできるのでしょうか?

  9. くま☆ より:

    >さつき様
    現状では非常に厳しい問題ですね。医師なら午後の診療時間を遅めにして往診といった形も可能ですが、薬局でそれはできません。
    しかしそれを言い訳にして何もしないでいたら、将来的に薬剤師は在宅医療に関われなくなってしまう恐れがあるということです。
    ここでは具体的なお話について避けますが、実情に即した形で、少しずつでも前向きに取り組んで行けるようにと考えています。

  10. さつき より:

    なるほど、ありがとうございました。
    そもそも、医療従事者にとってみれば外来患者、在宅患者のどちらも疎かにするべきものではないでしょうし、それでいて、人間の活動時間というのは限られていますからね。
    特に薬局という場の性質上、病医院のように予約とかありませんし、訪れる人々はそれぞれ都合の良い時間にやってくるわけですから、おっしゃるように「この時間からは在宅で」なんてことは出来ないですよね。
    やはり個人の力だけでは、時間的・空間的制約を乗り越えることは難しいでしょう。
    そのような理由から、私は在宅医療というものはそもそも地域のコミュニティーレベルで取り組むべき問題だと考えております。
    地域の医療従事者の連携の中で、互いの職能を十分理解、そして最大限尊重した上で、適切に役割分担し、効率よく運営していくべきものではないでしょうか。
    例えば、患者宅に最も足を運ぶのはヘルパーでしょうし、次に訪問看護、そして医師・薬剤師という順でしょう。
    少なくとも薬剤師が病状の安定している、「薬学的に問題のない」患者宅を訪問するのは、もし他に訪問を必要とする患者がいたとしたら、優先度を下げるべきです。
    医師が「出向いてみたが問題なかった」というケースでは、医師、患者にとっては結構なことでしょう。問題ないことは医師が出向いて初めて確認できることですから。
    では、薬剤師の同じケースではどうでしょうか。「問題ない」ことは薬剤師じゃないと確認できないことだったのでしょうか。
    逆に、問題があり、薬剤師の訪問が必要とされる患者をどうやって探しだしましょうか。
    私個人としましては、薬剤師は看護師、ヘルパー等、在宅患者に日々接する必要のある医療従事者に「薬育」を施すという形で貢献するのが最も現実的かつ効率的なのではないか、と思うのです。そしてその上で、看護師やヘルパーの手に余り、薬剤師が現場に向かうことが必要とされる事案を挙げて貰うことが理想ではないかと。これは、相当信頼感がないと達成されないでしょう。
    そして、それを実現するためには、ヘルパーや訪問看護師、医師との密な連携が不可欠です。
    例えば月1回、2回は地域の在宅医療に関する合同カンファレンスを開き、患者情報を共有、問題解決のために共に知恵を出し合うとか、その様な形が地域医療の最終形態だと考えております。
    長文失礼しました

  11. くま☆ より:

    >さつき様
    仰るとおりです。>地域のコミュニティーレベルで取り組むべき問題。
    薬局単独で在宅医療が可能なものではありません。
    いろんな思惑があったり力関係があったりと全てが理想通りになるとは思いませんが、ある程度の方向性を共有していきたいものです。

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