専門薬剤師に思う

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近頃「専門薬剤師」ということをよく聞くようになってきました。引き合いに出されるのが「癌の専門薬剤師」というのが多いでしょうか。日本病院薬剤師会が主導で行っているものですよね。
私は薬局の薬剤師ですのでその立場から、専門薬剤師について思うところを書いてみようと思います。
端的な結論から言えば、薬局の薬剤師にこの「専門薬剤師」が必要かといえば、私は現段階では必要ないと考えています。理由を2つ、以下に述べます。
・薬局は開業医のように専門領域を標榜しない
医師の場合は「内科」「耳鼻科」といったように自分の専門分野を診療科として標榜し、患者さんもそれを見て医院を受診するのが一般的です。
一方の薬局はどうかといえば、保険調剤に限って言えば、基本的にどんな処方せんでも応需する体制を整えておく必要があります。「私は○○の専門薬剤師だから、当薬局ではそれ以外の処方せんは受けません」ということはできません。
・プライマリケアという薬局の役割
誤解を恐れずに言えば、プライマリケアと専門化は対極に位置します。専門性を持つことが妨げになることはありませんが、プライマリケアにおいては「狭く深い」知識よりも「広く浅い」知識の方が遥かに役立ちます。
「受診勧告」がいい例ですね。重度の疾病の治癒を薬局において完了させようという期待はないと思います。言ってみれば「入り口」にあたる役割を担っているわけです。先述の「対極に位置する」とはそういった意味合いが含まれています。
もちろん、薬局薬剤師が勉強しなくていいことの逃げ口ではありませんよ。むしろもっと勉強すべきだと個人的には思います。しかしそれは特定の分野に限定するよりも、多くの領域に渡って行うべきだと思います。
「薬剤師」と一言で言っても、非常に多くの仕事・職場がありますので、それぞれに適した能力を伸ばしていくことが肝要ではないでしょうか。

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このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
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コメント

  1. チェリー より:

    ちょっと横道にそれて思う事。
    医師についても似たような事が言えるかもしれません。。。
    つまり、「今、こんな症状なんですけど」といった場合に診察をして、
    こんな疾患だから
    呼吸器なら呼吸医へ、
    循環器なら循環器へ…
    等と
    振り分けをする医者。
    極論をすれば医師の場合、かかりつけ医として、
    こんな「診断医」が居れば、
    患者自身の素人判断?をしなくてすむかなぁ。。。
    なんて妄想していますが。

  2. まじゃ より:

    >「薬剤師」と一言で言っても、非常に多くの仕事・職場がありますので、それぞれに適した能力を伸ばしていくことが肝要ではないでしょうか。
    狭く深くの専門家された薬剤師が今後育っていってひとつの薬剤師としての職能を発揮できるものとなれば、それへの第一歩としては大変意義のあることではないでしょうか?
    浅く広くの薬剤師も当然ながら必要とされるために、さらに努力していく・・・
    専門領域に特化した医師が居るけど、Drコトーのように出来る範囲なら何でもがんばっちゃう医師も居たりして(笑)全体で医師という職業のブランドが構築されている・・・
    いろいろある職能確立へのひとつの手段だと思えば、細かな不満点はあっても、同じ薬剤師として応援したいものです

  3. くま☆ より:

    >チェリー様
    開業医は診療科を標榜してはいますが、そういった役割も担っていますよね。そういう意味でも「かかりつけ医」の存在は大きいと思います。「かかりつけ薬局」が目指す方向性も大同小異かと思います。
    >まじゃ様
    薬局薬剤師とはいえ、恐らく専門薬剤師への流れは遅かれ早かれ出てくるのではないかと思います。記事は敢えて反対の立場で書きましたが…。
    どのような形になるにしろ、仰る「職能確立」へ向けて日々、生涯勉強していかなければならないことは事実ですね。

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