独禁法と後発医薬品

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9月末、公正取引委員会が「医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書」というのを出しました。
先発品メーカーが営業活動をする際に後発医薬品に対して不適切な説明をする例があり、それが不公正な取引方法(取引妨害)にあたる恐れがあるとのことです。
「後発医薬品は劣る」先発メーカー、独禁法違反のおそれ(asahi.com)
法律にはあまり明るくないので、独禁法に違反するかどうかということの直接の判断については何とも言えません。ま、公取委が言うのですから違反になるのでしょうね。
しかし記事にあるような「先発メーカーによる後発医薬品に対しての不適切な説明」なんてのは日常茶飯事じゃないでしょうか。
例えばメーカーのDIの方と電話で話したりするケースでは、あまりそういった話は出てきませんが、各メーカーのMR氏あるいは卸のMS氏と直接話せばそういった話は必ずあがってきます。
報告書にありますように医薬品卸の実に7割が「後発医薬品を積極的に販売していない」という実態を見ますと、卸の後発医薬品に対する論調も先発メーカーのそれと類似していることがよく分かります。
医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書(概要)(pdfファイル)
報告書本体(pdfファイル)
ただ販売する側としては、自社製品をよく言うのは当たり前のこと。きちんとしたデータに基づく個々の薬剤の比較などについては、情報提供があって然るべきだと思います。
恐らく問題となるのは、一部をもって全てを論ずることですよね。これは先発メーカーに限ったことではありませんが…。
「後発医薬品は品質が悪い」「後発医薬品は効きが悪い」といった具合に「後発医薬品」という括りで話をすることは、非常にナンセンスで何も産み出しません。

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このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
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コメント

  1. さつき より:

    「効果が一緒でお薬代が半分」とかいう、無責任で大げさな表現を、一体いくらほどの費用をかけているのかわかりませんが、堂々と公共放送に乗せている後発品メーカーだって所詮同じ穴のムジナ、と思っているのは私だけですかねぇ(苦笑)
    現状、『このままじゃ皆保険制度が維持できない!』という高まる行政の危機感に、後発品メーカーという「営利企業」がのっかってるだけですね。
    今の市場で先発品メーカーの収益が下がれば、後発品メーカーの収益が大きく上がる、ってだけの話ですからね。
    十分なMR数の確保、製品の信頼性の向上、独自の市販後調査の実施等々、広告費の前に負わなきゃいけないコストが後発品メーカーにはあるはずです。
    先発品メーカー、後発品メーカー、営利企業である以上は最大限利潤追求するというのは当然のことでしょう。欧米各国なら。
    ただ、残念ながらあなたがたは、日本という、世界屈指の医療水準を誇りながらも、国民皆保険制度という共産主義的な医療制度をもつ、世界に類を見ない特殊なステージで戦っているのです。
    その辺の認識を再考しないと、結局は共倒れですよ。
    私たち現場も含めて。
    なんかちょっとアンニュイな秋の夜です。
    今日も晴れるかなぁ(-o-)=3

  2. kense より:

    先発メーカーは後発の質も効果も保障は出来ないだけ
    後発メーカーは先発と同じって言い続けるだけ
    どっちもどっちな感じが

  3. まきまき より:

    はじめまして。いつもROMさせていただいてます。某メーカー勤務の者です。
    「先発メーカーによる後発医薬品に対しての不適切な説明」は実際によくあると聞きます。
    逆もまた然りだと思います。
    >恐らく問題となるのは、一部をもって全てを論ずることですよね。
    くま☆さんのこの一言に同感です。大きく頷いてしまいました。

  4. くま☆ より:

    >さつき様
    確かにそうですね>広告の前に負わなければならない費用
    イメージをよくしたいための広告、気持ちは分からないでもないですが、それよりも地道に足元を固めることの方が、優先順位は高いですね。
    >kense様
    足の引っ張り合いみたいで嫌なんですよね、こういうの。自分のとこ以外は確かに商売敵ですけど、もっと生産的であって欲しいです。
    >まきまき様
    いつもご覧いただき、またコメントもいただきありがとうございます。
    メーカー勤務とのこと、こういった話題にはまたいろいろな思いもおありでしょうか。
    この件で、じゃあ後発品メーカーが先発品メーカーを責められるかと言えば、必ずしもそうではない現実もありますね。

  5. はなくり より:

    企業としての倫理観。個人としての倫理観。
    医療という公正さを求める究極の職場としての倫理観。
    日本の社会の成熟度が見えてくるとおもいませんか?
    ドラッグ憎し、チェーン調剤憎しで、その向こう側の患者さんの命の質には、心が動かない。
    「渡す薬は無い」と断わる力。オーファンな薬は急ぎで手に入りにくいのです。
    ジェネリックは危ないと一方的な決め付けを先に表す心。
    安い薬を求めてみただけなのにと、患者はうろたえます。
    薬剤師は医師じゃないからと、転んだ子どもの傷の処置を拒否する心。
    傷の応急処置は高校生でも出来る行為。念のため。
    「プロの言うことが聞けないのか!」と素人の反論に怒りをぶつける。
    すべて、実際の事例。患者さんから見れば、腹の立つ薬剤師の行為。
    問題なのは、とても多いということ。
    その上、社会の中では、悪い噂は良い行為の数千倍で広がってしまうという現実。
    互いに「清い監視」を受け入れる心が無いと、道が開けてこないと思いませんか?
    社会に責任を押し付けている限り、薬剤師の将来はありませんよね。
    今の地位は、国の無理な分業政策の賜物です。
    その政策の先に、ジェネリック推進があるのです。ジェネリックの選別力を持ちましょうよ。薬のプロとしてね。薬の効果効能の診断力も身につけましょう。高度なガイドラインに関わるほどに。患者の命の質に関わりましょうよ。日本は自分らしく生きることが可能なほどに豊かで優れているのです。
    悪い噂が特別な人に限定されていると認識されるくらいな勢いで。

  6. くま☆ より:

    >はなくり様
    毎年公表される、患者さんから日薬への苦情も減ることがありません。気をつけなければならないのは、そういった事例を「他人事」で済ませるのではなく、自分のこととして捉えていくことだと思います。
    信用を崩すのは簡単ですが築くのは容易ではありません。少しの考えや行動の積み重ねが大切ですよね。

  7. さつき より:

    薬事日報10月12日の記事
    http://www.yakuji.co.jp/entry1368.html
    をお読みください。
    厚生労働省保険局医療課 磯部総一郎氏が、後発品変更可の処方せんで調剤した場合、選択した薬剤に起因した薬害、副作用が発現した際の責任の所在はどこにあるのか、という会場からの質問に対し、回答した内容
    「多くの選択肢がある中で、選択した責任は薬剤師が負う。また、製品の承認審査が間違っていれば行政、メーカーも責任が問われるという議論が行われると思う」(原文ママ)
    とても重い解釈です。
    副作用は良いでしょう。予測できますし、責任回避する手段もあります。
    ていうか、副作用に関していうなら、特別後発品だからといって責任が増えるわけじゃありません。
    行政が繰り返し強調している「先発品と後発品は同等だ」ということを素直に受け取るなら、理論的に先発品と後発品は副作用の発現率は同じじゃなきゃおかしいわけですし。
    では「薬害」は?これ、磯部氏が言った事は行政の公式見解ですかね?
    まずは、「薬害」を書面にて定義してください、と言いたいです。
    さて、みなさんはどうお感じになられましたでしょうか。

  8. さんまん より:

     うむ、まず最初に後発医薬品が存在するかどうかの情報がなかなかつかめないというのが現状ではないでしょうか。多くの薬剤師の方が多量の処方箋を迅速かつ正確に調剤しなくてはならず、薬をお渡しするときにもなかなか情報を提供できないのではないとお察しいたします。薬局の待合室から調剤室を見てみるととてもそんな余裕がないという感じがします。
     私の勝手な考えですが、薬の説明書に「後発医薬品がある」という情報を入れたほうが、以後後発品への切り替えを検討する材料になるのではないでしょうか。
     私も自分勝手にネットで調べてどれくらいの費用節減効果があるのかを確認してみましたが、高い薬ほど後発医薬品がなく、これもシェアが伸びない要因と考えてしまいます。
     更に勝手な事を言って申し訳ないのですが、日本人の保守的な傾向というのが後発医薬品を敬遠する要因でもないでしょうか。
     更に「薬害」。なんで後発医薬品というだけで重い副作用が出るなんて考えるんでしょうか。後発品メーカーもさまざまな審査をクリアして市場に出したはずです。それだけに後発品というだけで安全でないと一方的に考えるのはちょっと考え物ですね。ただ「薬害」というだけでは「薬剤エイズ問題」なんてとんでもない答えが出てきそうです。
     ただの一患者が長々と書いてすみません。

  9. 普通の薬局 より:

    後発品の浸透が進まないのは、現実に後発品に変更したら、副作用が出たり、効果が同等でないことを経験している薬剤師が非常に多いという現実があるからです。
    リスクを説明したにもかかわらず、某点眼薬を後発品に切り替え、翌日に患者さんが目を真っ赤に腫らして来局した日のことは今でも忘れません。某スタチン系で180台でコントロールできていたにもかかわらず、後発品に変えたら3ヶ月後の値が280、再検にも変化せず、先発に戻したら1ヶ月で180まで低下。具体事例を挙げたらいくらでもあげられます。
    後発品に切り替えて副作用が出たら薬剤師の責任とは当たり前です。でも近隣でまれに処方箋がくるクリニックの医師は処方箋の薬剤に変更不可と記載してきます。後発品に変更したことによる副作用に責任がもてないとのことです。医師として後発品のリスクを承知した上で、処方箋にサインしているのか疑問になります。
    ちなみに当方では、後発品をかなり在庫して、要望にこたえる体制をとっておりますが、客観的にメリットデメリットを説明していると、後発品に切り替えるメリットがデメリットを上回らないと判断される患者さんがほとんどです。それでも10円でもやすければ後発品のリスクを承知して変更する方もいます。
    こうした議論は薬局で一般薬で済みそうな病態から、医師によるフォローが必要な病態までごっちゃにしているので訳が分からなくなるんだと思います。勝手なことをかいてスイマセン。

  10. くま☆ より:

    >さつき様
    私は当然のこととして受け止めました。医師は医薬品を選択する際、そういった全責任を負って処方をするわけです。それを考えれば薬剤選択を行った薬剤師が責任を、というのは自然なことではないでしょうか。
    むしろ今までが無責任すぎたと言った方がいいのかもしれません。「医師が書いた医薬品を調剤はするけど、選ぶのは自分じゃないから責任はない」という方がおかしな気がします。
    薬害に関して言えば、既知の物質である後発医薬品よりも新薬の方が危惧すべきではないでしょうか。しかし発売間もない新薬を調剤する時に薬害について気にかけている人がどれだけいるでしょうか。
    お言葉を借りれば、そう考えると後発医薬品だからといって特別何かが違うわけではないと思います。
    >さんまん様
    後発品の使用に関して、お書きいただいたような側面があることは確かでしょうね。後発品を使用していくにはいろいろな方法があると思います。
    そういったことを患者さんの視点から書いていただけることは、いい意味で新鮮ですし考えさせられます。

  11. くま☆ より:

    >普通の薬局様
    実例を交えてのコメント、ありがとうございます。そういった事例を医師や薬剤師の間で共有できるようにすることが必要ではないかと、最近考えています。
    後発品によって副作用が出るケースがある一方、出ないケースもあるわけで、その辺りの情報を蓄積していくことが、今後にも繋がるのではないでしょうか。

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