自動化・効率化の先にあるもの

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受け付け処方せん枚数がそれなりにあり、多くの薬剤師・事務職員が働く薬局においては業務を効率化するため、仕事をいくつかに区切ってしているところが多いかと思います。
大きく分けると、
 受付・入力
 調剤
 監査
 投薬・会計
といったところでしょうか。もっと細分化すれば調剤はピッキングと秤量・分包という感じで分けることもできます。また、他にも付随する業務はあります。


スピードもサービスの一環ですので、待ち時間を減らすためにも効率化は必要ですし、積極的に検討していかなければなりません。しかし、あまりにそれを求めすぎると弊害が生じます。
それは「患者さんの顔が見えなくなる」ということです。自動化・効率化というのは標準化の最たるもので、言ってみれば医療という極めて個別化されたものの対極にあります。
その業務の流れに乗っていれば間違いもなく、薬は患者さんの手元には届くでしょう。しかし欠落している「何か」があります。処方せんを見て処方されている「薬」のことは分かるけれども、患者さんの「顔」が見えてこないのです。
ひたすら秤量をしていて患者さんの顔を思い浮かべる余裕があるでしょうか。次々とこなす監査の中で患者さんの言った一言を薬と結びつけて考えることができるのでしょうか。
言ってみればそこに患者さん個人に対する思い入れはありません。それは「患者は誰でも構わない」ということに繋がります。
精神論を述べているのではありません。ですから「薬袋の文字を丁寧に書きましょう」とか「レセプトに心を込めましょう」といったことを言うつもりはさらさらありません。
あと、当薬局が小規模だから言っているわけでもありません。当薬局でもレセコン・分包機を導入していますし、薬袋はプリンタで印字されます。
私たち薬剤師が向き合わなければならないのは薬ではなく、患者即ち人間だということです。そのことを考えると、自動化・効率化はどこまですべきなのか、調剤業務のあり方を一度考える必要があります。
機械ではなく、薬剤師が、人間が調剤をしていることの意味を考える必要があります。
それからもう一つ考慮すべき問題があります。それは自動化・効率化された中で働く人間の心の問題です。
ラインに組み込まれた薬剤師が調剤業務とはいえ、ルーチンワークにやりがいを見出せるでしょうか。流れ作業的な投薬の中で、患者さんの立場に立った物の見方ができるでしょうか。
また、モチベーションの継続にも困難を来たすでしょう。責任感も希薄になる恐れがあります。薬剤師として喜びのある、責任感のある仕事をするためにどういった環境が必要なのか。
最終的に患者さんへ還元されていく問題ですので、こちらもしっかり考える必要がありそうです。

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このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
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コメント

  1. こじろ より:

    こんばんは。こじろです。
    くま☆さんのおっしゃるとおりです。
    最近はサラリーマン薬剤師が増え、自分で考えて一歩を踏み出すことが少なくなっているように思います。
    自分の頭で考えて、一歩一歩をしっかりと歩んでいけるようこじろは後進に伝え続けます。
    (なかなか実践してもらえませんが)

  2. さつき より:

    激しく同意です。
    ウチの薬局は常時6人の薬剤師が調剤にあたっていますが、効率化はもとより、責任能力の関係もあり、忙しくなればなるほど、私は監査にあたることが多くなってしまいます。
    とはいえ、ちょっと手が空いたら待合室に出て、患者さんに挨拶したりするようにしていますし、午後暇になれば投薬しますので、まぁ、個人的には現状に満足しておりますが。
    一方で、他のスタッフが投薬しているのを見ると、結構「おや?」と思うことが多いです。
    患者からの情報入手、応対、与える情報の取捨選択などなど、理念もテクニックも割と口をすっぱくして教えてきたつもりなのですが、なんかダメな応対がちらほらしてるんですよね。
    まぁ、それは疑義紹介のやり方一つとってもそうなんですがね。
    「知識も足りない、話術もヘタだから情報収集も足りない、だから当然指導内容もイマイチ」
    みたいな。
    「根気強く教えていくしかないよ」
    という意見もあるかもしれませんが、果たしてそうなのかなぁと思うことが多いです。
    正直自分は、今のボス(先輩)には入社直後から放っておかれました。
    だからこそ、そもそもは自分の身を守るため、次に患者の利益のため、そしてそれが結局会社の利益となり、最終的には自分の利益になる、と考え、必死で勉強し、日々コミュニケーション手法を模索し、、、他人の失敗や成功を見て学んだことも多いですが、ここまでなんとかやってきました。
    そしてこれは、私が薬剤師を辞めるまで終わらないルーチンワークだと思ってます。
    まぁ、動機は人それぞれでしょうが、日進月歩の医療業界の中で、医療人の適性って、「日々勉強(=情報収集)できるか」と、「患者さんとうまくコミュニケートできるか」ってことに尽きるんじゃないかなぁって思うんですよね。
    これって、教えて出来る事じゃないしなぁ。
    医学部も薬学部もそうだけど、入った人間全部に免許をとらせようとするの、もう止めたほうがいいんじゃないかなぁ。。。
    テクニックじゃ埋まらない、人間の本質の部分とかってありますよねぇ?(それを適性という)笑
    と、薬学6年制のスタートと共に考え始めた今日この頃でございます。

  3. さつき より:

    あ、でも、ウチのボスに言われて心に染みた数少ないひとことがあります(フォローです)笑
    「監査する時に、処方箋見ながら患者さんの顔が浮かぶようにならなきゃだめだ」
    この4年程で、<<濃い>>患者さんはだいたいクリアできましたが、フツーの患者さんはまだまだ・・・日々精進ですね~

  4. さつき より:

    ((すいません、重複しちゃいます))
    あ、でも、ウチのボスに言われて心に染みた数少ないひとことがあります(フォローです)笑
    「監査する時に、処方箋見ながら患者さんの顔が浮かぶようにならなきゃだめだ」
    この4年程で、『濃い』患者さんはだいたいクリアできましたが、フツーの患者さんはまだまだ・・・日々精進ですね~

  5. くま☆ より:

    >こじろ様
    「言われたことをやる」だけでなく、「自分から動く」こと、大切ですよね。なかなか難しいことではありますが。
    こじろ様のブログにも時々書かれているのを拝見いたしますと、指導的な立場におられるようで、その辺り苦労も多いのではないかとお察しいたします。
    >さつき様
    実際ご指導に当たりいろいろなことを考えていらっしゃるのですね。
    「個人の資質」という部分もありますがもう一つ、どれだけ「目的意識」を明確にできるかということも大切ですよね。
    さつき様が放っておかれても色々会得できたのは、その両方をきちんとモチベーションに結び付けられたからではないでしょうか。
    > 「監査する時に、処方箋見ながら患者さんの顔が浮かぶようにならなきゃだめだ」
    これ、非常に大切なことですよね。患者さんが薬を飲む時にも、自分の顔を思い浮かべてもらえる位にしっかりとした仕事をしなくてはいけないかな、とも思います。

  6. はまなす より:

    うん、うんと頷きながら皆さん(特にさつきさん)の書き込み読ませていただきました。
    でもって、やっぱり人数多いところはそうなんだ~と目から鱗!?
    話をそらしてしまいそうなので、最初から謝ります。ごめんなさい!
    実は調剤に従事するようになって10年ほど経ちますが、薬剤師2~4名の店が中心で、月2500枚ぐらいのレセプトしか扱ったことがないためか、ずっと監査=投薬の店で働いてきました。自分が管理をしていた店は薬剤師の能力に差があったため、投薬の半分を私が受け持っていましたから薬歴に追われる毎日だったことを思い出します。
    で、最近都会に引っ越してきて、月4000枚以上レセプト請求をする店にパートで出入りするようになって、処方監査の人・調剤の人・調剤監査(調剤済にする)の人・投薬の人と仕事が分かれている(多少流動的ですが・・・)のをみてビックリしました。
    一応、以前の会社には4000枚クラスもあったので管理じゃないときには手伝いに行ったこともありましたが、監査=投薬でした。
    そして、レセコン入力の事務員さん・調剤した人・監査した人と関与した皆が処方せんに印を押すのにもびっくり。加えて監査した人が調剤済印押しているのにもビックリしたのです。
    先の会社では調剤済印は使っていましたが、処方せんへの使用は不可でした(県的にだったと思います)。なので、薬袋やお薬手帳のシールに押すぐらいしか使い道はありませんでした。
    処方せんには調剤日印、最終的に投薬した薬剤師のフルネーム・薬局名・住所が入った横版を押して、名字の印鑑を押します。それ以外の人の印は問い合わせをかけたりして記載しない限り押されることはありません。
    フルネームのシャチハタも持っていましたが、これは薬歴に使うためのものでした。
    ところ変われば、やり方かわるって本当です。
    監査した者が投薬まで責任を持って対応するもんだと思っていたので実はカルチャーショック受けつつ、ここが変なんだと思っていたのですが、さつささんの書き込み読んで結構そういうところあるんじゃないかな?とやって思えるようになりました。
    『日進月歩の医療業界の中で、医療人の適性って、「日々勉強(=情報収集)できるか」と、「患者さんとうまくコミュニケートできるか」ってことに尽きるんじゃないかなぁって思うんですよね。』
     そうですよねっ。
     本当にそうです。パートだと調剤ばかりで、監査も投薬もなく
     何か色々な事忘れ始めていてやばくないかい、私と思い始めている今日この頃です。

  7. くま☆ より:

    >はまなす様
    きっと調剤に関しては薬局ごと、店舗ごと、いろんなローカルルールがあるのでしょうね。「郷に入りては郷に従え」とはいいますが、よりよいものがあればどんどん取り入れていく柔軟さも必要なのではないかと思っています。

  8. Yosyan より:

    調剤薬局の内部事情は門外漢なので熟知しているとは言えませんが、医療者の一員である事は間違いありません。
    仕事の内容をエントリーやコメントから仄聞させていただくと、どうしても分業体制になるでしょうし、機械化や自動化がこれからも導入されていくのも当然だと思います。
    機械化や自動化、分業化が進んでも医療の根本は人と人とのふれあいだと考えます。ここを常に念頭に置く事が重要かと思います。
    薬剤師の仕事がたんにオーダーされた処方を調剤して渡すだけのものになれば、薬剤師の存在意義が疑われる事になりかねません。
    診療の専門家は医師ですが、薬剤師は医師以上に薬剤の知識を持っているはずです。その専門知識をいかに現場に生かすかを期待されていると思います。
    医師は診療時にある程度薬剤の説明をします。ただし必ずしも十分とはいえません。そこを完璧にフォローする役割こそが本来の薬剤業務ではないかと思います。
    それをするためには、知識だけでは無理です。患者が何を聞きたいか聞き出す技術が必要です。聞きだした上で的確な指導を行なう必要があります。
    機械化、自動化、分業化で生み出された時間はそこにこそ費やされるべきでしょうし、そうなる事を医師は期待しています。
    なんと言っても門外漢なので実情に疎く、見当外れの意見かも知れませんが、調剤するだけのサラリーマン薬剤師が増えているとの言葉があり、コメントさせて頂きました。

  9. くま☆ より:

    >Yosyan様
    見当外れどころか、非常に的を射たコメントだと感じます。
    調剤において誤りを極力なくすために、1枚の処方せんに複数の人間が関わっていくことは必要なことだと考えます。
    > 機械化、自動化、分業化で生み出された時間はそこにこそ費やされるべきでしょう
    仰るとおりですね。PCや機械の導入は結構ですが何のための自動化・効率化なのか、目的を見誤らずにいたいものです。

  10. はまなす より:

    くま☆さん
    調剤に関しては本当に薬局ごと、店舗ごと、いろんなローカルルールがありますよねっ。最初に管理をした人の考え方、処方元の意向が反映されているという感じでしょうか?
    より良いものがあればどんどん取り入れていく柔軟さって、年と共に失われて行っている気がします。昔はこれが良いって聞くとすぐなびいちゃう人だったんですけど・・・(笑)ある意味新しい物好きです。
    あっでも、無意味だと思われる仕事は意見してみたら、案外若い人の方が抵抗してました。人それぞれですねっ。
    調剤の流れの分業化、機械化、自動化は効率的なようでリスクが高まるところもあります。あの人が監査してくれるから大丈夫とか、あの人が調剤しているから大丈夫とか、自然とどこかで思ってしまうことあるんですよねっ。それがミスに繋がったりします。関与する人が増えれば増えるほどミスは減るようで減らないのが人間です。
    これからは調剤薬局ももっと積極的に安全管理に取り組むべきだと感じています。
    それから、Yosyan様のおっしゃる患者さんが何を聞きたいか聞き出す技術と聞きだした上で的確な指導を行なう。とっても大切なことですよねっ。
    そういえば、随分前に6年生になるに辺り、母校からやった方がよいと思われる授業のアンケートがきました。私は医療安全管理について、患者とのコミュニケーション術なんかを是非と書いたこと思い出しました。

  11. くま☆ より:

    >はまなす様
    > 調剤の流れの分業化、機械化、自動化は効率的なようでリスクが高まるところもあります
    妙に納得してしまいました。分業化・自動化に伴って、責任や意識が希薄になっている部分もあり、人で判断してしまうこともあり。
    世間的にはあまりいいとはいえませんが、調剤に関しては「何事も疑ってかかれ」ということが言えますね。勤務時代、そこの社長によく言われていたことです。

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