薬剤師は後発医薬品使用の環境を整えるべき

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後発医薬品使用の今後について、2つの記事で書きました。
2007/02/15 後発医薬品使用促進のための飴と鞭
2007/02/14 更なる処方せん様式変更の可能性
あくまで現時点での推測ですので、どうなるかは何とも言えません。しかし一つだけ確実に言えることがあります。それは、
国は後発医薬品使用促進に舵を切っており、今後その傾向は強まる方向に行く
ということです。
そういった中で、私たち薬局は、薬剤師は何をしていくべきか。今までも考えてきたことですが、もう一度改めて考えてみました。
医療を取り仕切っている国が後発医薬品促進を考えている以上、私たちにとって「後発医薬品を使わない」という選択はかなり難しいものがあります。
一方で薬剤師個人として、或いは一薬局として、後発医薬品使用に対して様々な思いがあることは確かです。別の言い方をすれば、後発医薬品使用に賛成なのか、反対なのかという部分でかなりの開きがあります。
では薬剤師は後発医薬品に対して何のアクションもしなくていいのでしょうか。
後発医薬品使用促進をしなければ薬剤師は不要」ということを国は以前から言っています。即ちこのままの状態が続けば、薬剤師は医療の現場から退場させられることになります。
後発医薬品に取り組まないということは、薬剤師にとって「座して死を待つこと」と言ってもいいでしょう。
「患者さんの利益になるのなら、それでも構わない」という考え方もあるでしょう。しかし私は「薬剤師が関わる方がよりよい医療が提供できる」という信念を持っていますのでその考えには反対です。
じゃあ後発医薬品使用促進すべきなのでしょうか?
国は結果を見て物事を判断します。「後発医薬品に変更して調剤したのが5.7%、まだまだ少ないね」といった具合にです。しかし国と違い、私たちは結果(数字)を求めることが最終目的ではありません。
私たちが取り組むべきは、「後発医薬品使用促進」ではなく「後発医薬品使用の環境を整えること」だということです。数字はその結果出てくるものであり、それ自体はを目標にすべきではありません。というか目標になり得ません。
国の思うように後発医薬品使用が伸びず、「薬剤師は何をやっているんだ!」となった場合、「これだけのことをやった(やっている)んだ!」とそれに対峙できるだけのことをしていくべきなのです。
現状、後発医薬品使用に際して十分な環境が整っているとは言えない部分があるかもしれません。「だから使わない」ではなく(国に)言うべきことはきちんと主張する一方、やるべきことはやっていくことが肝要です。
逆に後発医薬品使用の環境がしっかり整っている状況にあれば、薬剤師でなくても後発医薬品選択ができるということになります。整備されていない状況にあるからこそ、薬剤師が使用の環境を整えるべきではないでしょうか。
[磯部氏講演関連(目次)]

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くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
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コメント

  1. tosi より:

    [後発医薬品使用の環境がしっかり整っている状況]とはどんな状況を指すのですか?例えば、「品質面」や「流通面」「情報面」で先発品で互角であるとか、でしょうか?(個人的にはそれを取捨選択するのが薬剤師の業務の一つと思いますが…..)できれば先生がお考えになっている具体案をお教えくださるとありがたいのですが

  2. より:

    最近、後発品中心に採用し、銘柄指定で記載してある処方箋が増えてきたようです。
    後発品の使用促進するなら、一般名処方も促進して欲しいというのが本音ですね。
    後発品の銘柄指定の場合、せっかくの「かかりつけ薬局」へ来てくれた患者さんが不必要に迷惑を被ることが多いと思います。そのうえ、「患者自身が選べる」というメリットは無くなってますから。

  3. 霧華 より:

    「後発品の使用促進」と「先発品を後発品に切り替える」ことを同列に考えるから話がおかしくなるのだと思います。
    例えば「一般名」→「後発品」の場合は、医薬品を選択しただけなので、銘柄処方と同じ様にしていけば問題はありません。
    しかし、「先発品」→「後発品」の場合は、事実上の処方切り替えです。
    「Ca拮抗藥」→「ARB」に切り替える様な密な説明をしなくてはなりません。
    説明すること自体は薬剤師なら馴れっこでしょうから特に気にされる方はいないでしょうが、「処方切り替え」となれば話は異なるのではないでしょうか?
    将来的に、処方箋には病名と検査値のみが書かれていて、薬剤師と患者が相談して薬を決めていく。
    こんな状態を厚生労働省が目指しているなら、薬剤師はどんどん先発品を後発品に変えていき、実績を積んでいくべきです。
    でも、そのような状態になるのでしょうか?
    後発品促進と言いつつ薬剤師が体よく利用されているとしか見えません。
    厚生労働省が明日にでも「一般名処方」を義務付ければ、すぐに利用率が20%近くになると思います。
    厚生労働省が医師会に対抗できない実態を隠すために薬剤師のせいにしているだけです。

  4. ぽんた より:

    でも厚生労働省って、「疑義照会をしろ!」の時代から薬剤師を利用してますよね。
    「紹介」って聞けばいいだけで、「それはおかしい(薬出しすぎとか併用がおかしい)から薬を減らせって言う権限はなく、ただ「先生それは間違いなく出されたのですね?」って聞けばいいだけです。
    それを、何でこのようなもので、調剤されたんですか?って、聞きましたけどって言っても、具体的な状態を聞いて書かないと認められませんとか・・・
    だったら医師にも薬剤師の疑義照会に答えるのを「義務」にして、答えなかったら「罰則」を決めて欲しいくらいです。
    それに同じ処方が「院内」ではいくらでも出せます。
    こう言う、法の不整合の中で薬剤師って常に何かを求められているよな気がします。
    その頃から私達って何だろ・・・って、薬剤師の立場をきちんとしてくれるわけでもなく、ちゃんとやれば、お前らは処方せんで食っていけるけど、ちゃんとしないと薬剤師って「要らない」って極論へ持っていく。
    「要らない」のは国民でなく「官僚」じゃないのかな・・・って。
    皆さんのおっしゃるように、「後発の促進」と「先発→後発」は違うものです。
    また、あの処方せんって、すでに「後発銘柄指定」をして一品目でも後発を使っている医師には何も関係がありません。
    大病院で、いくら言っても「後発」を使ってくれない医師にしか御用はありません。
    「患者に選択権」をなら、後発→後発も変更可でないとおかしいです。
    後発間でも安い物があるんですし。
    他でも書きましたが、薬剤師に言うだけでなく、国としてはジェネリックの品質のデーターを公平に集める。
    メーカーには先発の薬価を頭打ちにする。
    と他の所でもやることはいっぱいありますよ。
    あの処方せん様式の変更は、現場を知らない人間が強く物申して、論議も少なく変えたような気がしてなりません。

  5. はなくり より:

    後発品は社会保障費のために必要です。薬の効果を何処まで求めるのかという絶対議論では結論は出てきませんよ。不必要な薬を削減するために期待された分業でしたが、成果は挙がっていません。30年前の期待値は軌道修正です。しかし、医療費の節約は待った無し。
    現場しか知らない私達には、外側の事情が見えにくいのです。
    科学を職とする者として、外的環境要因に目を向けたらいかがでしょうか?
    私の目には、30年前の期待値「薬剤師は不要薬剤について薬理学的に医師と議論できる」が現実的にようやくなりつつあると、思えるのですが。薬剤師がその特殊な知識を患者の生活の中に応用していけば、もっと光が見えてくると思うのです。医師の知識と製薬メーカーの売りたい「知識」だけでは、今のまま。不毛なジェネリック議論で終わってしまいそうな気がします。
    薬の効果を何処まで必要とするのか?薬理学的な成果は妥当か?患者の生活習慣の改善に寄与するべき知識は何か?病態への知識は充分か?
    バイタルサインを見逃してはいないか?医師の診断に見落とした条件は無いか?
    最近の医療系講座の教科書は看護系も薬学系もこんな感じですよ。一度手にとって、じっくり眺めてみると良いと思います。
    病院では、医師も看護師も専門性を要求されています。遅れて薬剤師も専門性を要求されていますね。町の中では、むしろプライマリー医療になると思います。代替医療も視野に入れてみたらいかがでしょう。プラセボ効果が期待値の患者さんが多いのでは?

  6. くま☆ より:

    >tosi様
    薬局で取り組むべき一例を挙げますと、薬剤毎、患者さん毎に後発医薬品変更の適不適を見極めることが挙げられます。
    変更が好ましくない薬にはどんなものがあるのか、その理由は何なのか、またある患者さんに後発医薬品が適するのか否か。品質面や情報面はもちろんですが、そのあたりの判断が的確にできることは大切なことと思います。
    >遮様
    医師が何を考えて後発医薬品の銘柄指定をしているか、というのが大きなポイントになると思います。「特定の後発医薬品メーカーが売り込みに行って」でしたらがっかり?でしょうか。
    最近私が聞いたのは、ある医師が味の面から服用のしやすさを考慮して『クラリスロマイシンDS小児用10%「タカタ」』を銘柄指定で出すといった話です。
    そんなことを考え合わせると「一般名+変更不可」方式が一番馴染みますかね。
    >霧華様
    実際のところは分かりませんが「利用されている」と考えると腹も立ちますので、私は「患者さんのために働いている」と考えるようにしています。
    結果患者さんも、医師も、国も、それから薬剤師も。四方一両得になればいいなと。
    >ぽんた様
    後発医薬品銘柄記入の処方せんが「後発医薬品への変更可」であれば、後発医薬品同士の変更は可能ですね。
    平成18年度調剤報酬改定等に係るQ&A(その2)をご覧ください。「保険調剤Q&A」のP180にも載っています。
    >はなくり様
    薬剤師が関わっていくべき部分はまだまだたくさんあるということですね。身近にあるからこそ、薬局は地域のプライマリケア拠点としての働きが重要ですね。

  7. ぽんた より:

    くまさん ご指導有難うございます。
    本が職場にしかないので来週早速読んでみます。
    現実問題、後発の銘柄指定をしてる医者は、後発→後発に署名しても点数が算定できません。
    なので面倒なことをしてまで署名してくれないです。
    ですから、何か法律が不完全のような気がします、と言うことも書きたかったんです。
    しかも、うちの県は医者が勉強不足で、ジェネリックもないのに皆コンピューターで出して印押したものですから減額があって、医療機関がかなり注意されたため、最近はサインの処方せんがめったにありません。
    また、大学の付属病院が「後発変更可」の欄すらもないんです。
    信じられません、様式が変わったはずですが、特に法律で猶予期間はなかったと思うのですが。
    医者への啓蒙は、やはり厚生労働省にもお願いしたいです。
    ところで、保険審査Q&A買いました。
    医療機関のレセのことがふれてありました。
    案外詳しく流れが説明してありました。
    詳しくはまだ読んでいないのですが、値段から考えると、まあこんなものかと思います。

  8. くま☆ より:

    >ぽんた様
    ぽんた様のお書きいただいた内容、十分に意図が伝わってきます。せっかくの制度が生かされていないと思う場面はやはり私も感じておりました。
    それから「保険審査Q&A」のこと、ありがとうございます。まだ買わずにいますので(苦笑、参考にさせていただきます。

  9. ステマグ より:

    現状では、真っ暗闇を前に進めと背中を押されているようなもので、灯りが無理ならせめて杖でもほしいというところでしょうか。
    日本版オレンジブックも製造メーカーが出した試験データですから全面的には信頼できない。実際、オレンジブックとは違う溶出挙動を示す製品があるという論文もいくつか発表されている。
    そこで使用頻度の高い成分50種類について先発品との溶出パターンの類似性から格付けされたリスト、いうなればゾロミシュラン(言葉は悪いですが)があれば、かなり有効な杖になると思うのですか。
    このようなものを薬剤師会が中心になって企画することは、無理なんでしょうかね?各道府県で一種類ずつ担当するとか、それがだめならそのリストの一定部数購入を条件に民間の検査会社や大学と契約するとか?できないことはないような気がするのですが。

  10. くま☆ より:

    >ステマグ様
    ステマグ様が仰る「杖」に該当するもの、確かに必要なものですね。
    薬剤師会ですべきこと、各薬局ですべきことというのが、今後重要になってくることは間違いありません。お書きいただいた「各都道府県で一種類ずつ担当」というのもいい案ですよね。
    富山県のジェネリックメーカーも動きを見せていますね。
    http://www.yakuji.co.jp/entry2062.html

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