北信越薬剤師学術大会2日目は口頭発表、ポスター発表が行われました。中で最も印象に残ったのは褥瘡治療についての口頭発表でした。
褥瘡治療はこれまで「ガーゼ」「消毒」が基本とされてきましたが、まずはそこから脱却しなければならず、その経緯が大変印象的でした。
発表は病院薬剤師による症例の紹介でしたが、当該病院においても「消毒+ガーゼ」という従来の治療法からの転換に、実に2年を要したと聞きました。
エビデンスを伴った治療法の導入に際しても、相当の年月を要していると感じます。
その病院では特に年配看護師からの抵抗が強かったと言います。確かにそれまでやってきたことの否定は、頭では分かっていても行動に移すとなるとなかなか大変なことなのかもしれません。
「さあ、在宅だ」となった際に、我々薬局の薬剤師が積極的に関与できる部分がいくつかあります。麻薬管理、簡易懸濁法とならんで、褥瘡治療もその一つではないでしょうか。
発表の中でポイントとなる部分が何点かありましたので記します。私は褥瘡に関してまだまだこれからの部分が多くありますので、コメント等でご教示いただければ幸いです。
・浅い褥瘡と深い褥瘡は治癒過程が異なる。
・浅い褥瘡には亜鉛華軟膏を用いる。滲出液の多い時は使用を控える。
・深い褥瘡にはゲーベンクリームを用いる。滲出液が少なく、湿潤を保持するケースにおいて。
・治療と同時に再発予防もかなり重要。特に体位変換が大切。
・穴開きポリエチレンと紙オムツを使用した開放性ウェットドレッシング療法の可能性
開放性ウェットドレッシング療法については、鳥谷部俊一氏の以下の著書が大変参考になります。
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コメント
くま☆さん
新しい創傷治療というHPをご存じですか?
私が病院薬剤師の友人から紹介されたのは1年ぐらい前だったと思います。
「消毒とガーゼの撲滅をめざして」と唱っています。
私が紹介されたのはウジ虫療法の話をしたときだったような気がするのですが、今日久しぶりにHP覗いたけど、それは見つけられませんでした。
それと、この考え方の治療に用いられる創傷被覆材(プライモイストというみたい)の調剤薬局向けのものが先月発売になったことなどが書かれてありました。
S卸が販売のようですから、色々情報をお持ちかも・・・
褥創治療では、現在DESIGN分類が使われています。
くま☆さんが述べられている”浅い””深い”褥創というのは、この分類のDepth(深さ)を示されているんですね。
DESIGNはDepthの他、Exudate(浸出液)、Size、Inflammation/Infection(炎症・感染)、Granulation tissue(肉芽形成)、Necrotic tissue(壊死組織)、Pocket(ポケット)を意味しています。
治療も、褥創面をこの分類で評価した後、それに合う薬剤を使っています。
特に、外用薬の場合、基剤が99%近くを占めますので、浸出液の量によって基剤を選定し、更に成分を選ぶ段階になると思います。
在宅医療で、寝たきりの方は確かに褥創を創り易い環境にあります。
しかし、傷口の治療は医師・看護師が行うことが多いので、開局薬剤師はなかなか参加が難しいのが現実です。
多くの症例に参加して、知識を身につければ、専門の基材の知識でチーム医療に参加も出来るのですが・・・・・
”はまなす”さんのおっしゃている”蛆虫療法”というのは、maggot therapyですね。
医療用無菌培養した蛆虫を傷の中に置くと、壊死組織や膿だけを食べて、キズを浄化する療法だったと思います。糖尿病壊疽に使っていると聞いています。
>はまなす様
こちらのページですね。
http://www.wound-treatment.jp/
プラスモイストについてのページもありました。卸MS氏にも聞いてみようと思います。
http://www.wound-treatment.jp/next/wound355.htm
鳥谷部先生のHPもありました。
http://www.geocities.jp/pressure_ulcer/
いずれもものすごい情報量ですね。
>白澤様
> 開局薬剤師はなかなか参加が難しいのが現実
実際はそうだと思います。この発表者の方もやはり「たくさん症例を見て経験を積むことが大切」と繰り返し言っておられました。