「[日経DI]一人薬剤師の薬局は基準調剤加算が取れない?」の記事へ多くのコメントをありがとうございます。レスを書いていたら長くなりましたので、皆様のご意見をご紹介しつつ、新しく立ち上げることにしました。
まず、既にご存知のこととは思いますが、基準調剤加算の算定要件を再掲します。
(1)500品目以上の医薬品を備蓄している。
(2)患者ごとに薬剤服用歴管理記録を作成し、調剤の都度、必要事項を記入するとともに、当該記録に基づき、医薬品の服用および保管取扱いの注意に関して必要な指導を行っている。
(3)緊急時などの開局時間外の時間における調剤に対応できる体制が整備されている。常時調剤ができるような、ほかの薬局との連携体制を確保している。
(4)時間外、休日、夜間における調剤応需が可能な、ほかの保険薬局の所在地、名称、および直接連絡が取れる連絡先電話番号などを記載した文書を患者に交付すると共に、同様の事項を薬局の外側の見えやすい場所に掲示している。
(5)在宅訪問薬剤管理指導の届出を行い、在宅患者に対する薬学的管理および指導が可能な体制を整備している。また、薬局の内側および外側の見えやすい場所に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であることを掲示している。
(6)調剤従事者などの資質の向上を図るための研修を実施している。
(7)薬局内にコンピューターを設置し、インターネットを通じて定期的に医薬品緊急安全性情報、医薬品・医療機器等安全性情報等の医薬品情報の収集を行い、保険薬剤師に周知している。
(8)次に掲げる情報(その薬局において処方された医薬品に関わるものに限る)を随時提供できる体制にある。
・一般名
・剤型
・規格
・内服薬にあっては製剤の特徴(普通・腸溶性・徐放性など)
・緊急安全性情報
・医薬品・医療機器など安全性情報
先の記事の繰り返しになりますが、「一人薬剤師では算定できない」という記載はどこにもありません。あくまで上記内容を拡大解釈した上での見解ということになります。
じゃあ例えば、一人薬剤師では緊急時の対応ができないのか?在宅患者を訪問することができないのか?と言われれば、そんなことはない、と思います。
一方で、元記事にいただきましたコメントの中に、「一人で緊急時の対応を24時間、365日やるのは無理」というご指摘がありましたが、これらはおそらくその通りでしょう。
じゃあ二人だったらできるのか?「一人ではどうにもならない限界があり、それが二人になる事で飛躍的にできる事の幅が広がりました」とのコメントの通り、対応の幅はかなり広がるでしょう。
矛盾してる、とご指摘を受けるかもしれませんが、少し補足しますので、ちょっと我慢して読み進めてください。
くどいようですが、算定要件の中に「一人薬剤師では算定できない」という記載はどこにもありません。ではなぜこういう見解が生じてしまうかといえば、解釈の時点で「質から量への変換」が行われてしまっているのではないでしょうか。
例えば「緊急時などの開局時間外の時間における調剤に対応できる体制の整備」というのは数字で表すことができません。言ってみればこれは薬局の「質」に相当する部分です。
で、この「質の担保」というのが非常に難しい。厳密に行えば担保の方法はあるのでしょうが、それを目に見える形で保証しようと考えると、やはり数字としての根拠がほしくなるわけです。
そこで、「二人以上なら確実に出来るということではありませんが、確率的には上がります」というコメントもいただきましたが、まさにそのとおり。
より分かりやすい数値としての指標、「一人じゃ難しいんじゃないの?二人だったらそれなりにできるよね」という「質から量への変換」が、解釈の時点でなされてしまったのではないでしょうか。
個人的には、解釈時点でのこの「質から量への変換」は大変乱暴なことだと思っています。
例えば今回のように「薬剤師の数」、あるいは他の点においても「処方せん枚数」「後発医薬品の割合」というように、評価の基準が規模、または数字でしかないからです。
でも本当に大切なのは、その数字や規模という尺度ではかることができない、例えば患者さんの安心感や地域への浸透度合いなど、「質」の部分なのではないでしょうか。
今回の話題はフィーがつくかつかないかという部分でしたが、数字や規模によらない評価を確立し、最終的には「質の高い薬局」をどう残してゆくのか、というのが大きな課題ではないでしょうか。

コメント
先のコメントにも長文申し訳ありませんでしたけど、全くその通りと思います。
色々反論はあると思いますが、日薬の1人薬剤師を無視した政策に腹が立っているのもあります。組織の中での切り捨てはおかしいと。
開局されてない方には、淘汰に見えるかもしれませんが、そうやって「淘汰された結果」OTC販売をしない、できない薬剤師が増殖しています。
それは正しい方向だったんでしょうか?組織が守って頑張ってくれていたら、もっと違った形で残っていたと思います。
1人薬剤師への対応が、そのときと、私には同じに見えます。
実際開局していくのは、どんどんハードルが高くなっています。
しかし、そんな中で頑張っている薬局を切り捨てるのが本当に正しいのでしょうか?
医科で病院と医院が連携するように、門前と地域医療は別です。
それを育てる必要があると思います。
施設基準も、はっきり言って、文章のどこにも「算定不可」と書いてないんです。くま様と同じ意見ですが。
それを「行政の主観」で門前払いするのが、私は気に入らないです。
1人では無理なんじゃない?って、あくまでもイメージだけです。
困難と思える点について、対応計画などを出させればいいだけで、それを「受け取らない」のはおかしいと思うからです。
自分でも1人では確かに厳しいって思いますよ。
しかし、24時間365日を本当に対応しようと思ったら、薬剤師10人以上でないと、無理じゃないでしょうか?
実際こなくても、当直の待機扱いとなれば、労働基準法の観点からも、どうなんでしょう?
2人で本当に対応できるんでしょうか?
その線引きが、あまりにも大雑把でしかないと思います。
それと、在宅を県で推進するにあたって、検討したのですが、1人薬剤師は、昼休みなどに行ってはどうか?と言う意見が出ました。
登録販売者がいれば、完全に閉める必要はないし。
薬事法の改正の詳細が出ないと、煮詰まった対応策は出せないって話になったんですが。
在宅の受け皿こそ、地域の薬局でないと無理なので、1人薬剤師も重要と言う意見が多かったですね。
民主党になって療養型がどうなるのかわかりませが、急激に対応施設ができるものではありませんし、インフルでの対応を考えても、地域の薬局をどうするか?は重要な課題と思います。
逆に私は、全薬局施設基準をとって当たり前って思いますけど。
極論、長文で申し訳ありませんでした。
>ぽんた様
コメントありがとうございます。
「全薬局施設基準をとって当たり前」というのは、「すべての薬局がそれだけの姿勢を持つ」ということの裏返しでもありますね。
行政の「拡大解釈」も、「3人いないとダメ」とか、「緊急対応なんだからそこに住んでいないとダメ」というような見解が出てきても不思議はありません。
そうならないためにも、おかしなことは「おかしい」としっかり主張していかねばならないと思います。
>24時間365日を本当に対応しようと思ったら、薬剤師10人以上でないと、無理じゃないでしょうか
そのとおりです。無理です。
つまり、薬剤師が10人以上いない薬局では基準調剤加算は算定できないということで問題ないはずです。お役人さんも、そう考えるでしょう。
『24時間365日を【本当に】対応しようと思ったら、薬剤師10人以上』っていう感覚は、正しいと思うんですよ。【本当に】っていうのが、求めている【質】ですから。今の対応が求めている【質】に達しているなら、【本当に】なんていう言葉はでてこないでしょう。
この加算、「24時間365日営業薬局」だけのための加算だと考えれば、おかしな加算ではありません。
『24時間365日営業薬局じゃないから、この加算の算定要件通りに、【本当に】対応するのは、無理。できません』という結論では、ダメなんですか?
できないものはできないのですから、この加算にこだわってアレコレ言うより、別の新しい施設加算をつくっちゃったほうが、気分良く仕事できると思いますよ。
できないことは「できない」と、しっかり主張し、「このくらいなら、できるけど」と提示するのも、ときには大事なんじゃないですかね。
>柊様
コメントありがとうございます。
「本当」を書き始めるとその定義がよく分からなくなりますので、なるべく使わずに書きますが…(苦笑
いきなり現実路線の話になりますが、一番のポイントは「社会のニーズとのバランス」ではないでしょうか。
「二人以上なら確実に出来るということではありませんが、確率的には上がります」というコメントもいただきましたが、その「確率」に言い換えてもいいかもしれません。
世の中の流れとして、薬局は24時間対応をすべきで、それに薬局が応えるというのがあるべき姿であり、現状、社会が許容する範囲でそれが成り立っているとも言えます。