調剤過誤

スポンサーリンク

内服薬1/10で調剤 男子生徒てんかん発作 県立こども療育センター(2006/08/03 西日本新聞朝刊)
詳細については明らかにされていませんので、推測で物を言うのは避けなければなりませんが。
過量投与で副作用または健康被害が発生するということは容易に想像が付きますが、今回ように「量が少なくても」健康被害が出るケースというのは、医薬品によってはあり得る話です。
「医薬品の上限量」についてはしばしば話題にもあがりますし、小児の薬などは「体重換算で○gまで」といった具合に把握されますが、下限量についてはほとんど意識されることがないかと思います。
こういった調剤エラーに対しては、個人を責めることはあまり有用ではありません(もちろん、何度も繰り返すようであればそれは問題ですが…)。再発防止のためにシステマティックに対策を講ずることが大切です。
このケース、
「思い込みで調剤し、計算間違いをしてしまった」
ということが書かれていますが、「思い込みで調剤しないようにしよう」「計算間違いをしないようにしよう」では、当然ですが具体性に乏しいと言えますね。これはむしろ精神論にも近い。
「どうしたら思い込みで調剤しないか」
「どうしたら計算間違いをしないか」
といった「仕組み」を作ることが必要です。
しかしそれでも十分ではなく、必ず思い込みや計算間違いは起こります。もう一段階、それらが起こったときに気づくことができるような「仕組み」を作っておくことです。
しかし調剤という行為を考えてみると、ある意味「常に相手や物事を疑っている」状態にあるわけです。分業の意義の一つはそこにあるわけですが、精神衛生上はあまりよろしくないですよね。

Anout us

このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
詳しくはこちら

くま☆をフォローする

コメント

  1. はなくり より:

    ミスの認知心理学の経験則から、
    1.考え付きやすい知識に流れ、固執する
    2.第一印象に感情的に左右され、固執する
    3.情報の提示方法が違うと混乱して、判断が左右される
    4.権威に弱く、自分で考えて判断することを避ける
    5.じっくり考えないで、飛びつくように決めたら、思考を停止してしまう
    長年の経験とルーティンに慣らされた業務は、批判と反省に耐え続ける覚悟がないと、ミスの温床になるのです。
    つまり 慣れと思い込みの怖さです。
    認知症高齢者の車の運転技術は、この慣れと思い込みのリスクを背負っています。
    自分で自分の世界を狭めていると、判断力は狭まった認知行動になります。
    人間だからこそ、そうなります。
    でも、人間だからこそ、避ける知恵もありますよ。
    疑うのではなくて、認知する 承認する手間を惜しむのを、避けるべきなのです。
    命は取り返せないからこそ、人間の弱さを認知して、補う工夫を惜しまないことです。

  2. くま☆ より:

    >はなくり様
    「認知する 承認する手間を惜しむのを、避けるべき」の言葉に、目から鱗が落ちる思いです。
    ミスを起こす時は必ず決まった手順から外れています。ショートカットせずにきちんと段階を追っていくことが大切ですね。

タイトルとURLをコピーしました