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補助金14.5万円の本当のコスト〜ベースアップ評価料と月間600枚の”損益分岐点”〜

ウラ
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先日、ベースアップ評価料の試算について話題にしましたが、1点注意しなければならない点があったので追加で話題にしたいと思います。

6月からの調剤へのベースアップ評価料導入に先立って、届け出を誓約することを条件に、都道府県の支援事業がありますよね。私の薬局がある長野県でも「令和7年度医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業」の通知が出されています。皆さんの地域ではいかがでしょうか。

私のところのような小規模(グループ5店舗以下)の薬局には、賃上げ支援として「145,000円」が支給されるというありがたいお話です。一見すると「もらえるものは、もらっておこう!」と飛びつきたくなるのですが、経営者としてちょっと冷静に電卓を叩いてみる必要があります。

結論から言うと、「月の処方箋枚数が600枚以下の薬局は、満額を使ってしまうと、後で自分の首を絞めることになるかもしれない」というお話です。

支援金の「6ヶ月使い切り」と「水準維持」のルール

今回の要件では、その支援金(145,000円)を令和7年12月から令和8年5月までの6ヶ月間で賃金改善(ベースアップ)に充てる必要があります。 145,000円を6ヶ月で割ると、1ヶ月あたり約24,166円。つまり、法定福利費も含めて毎月これだけの額をスタッフに上乗せして払う計算になります。複数人いる場合は、どのように配分するかも決めなければなりません。

問題はここからです。 要綱には「令和8年6月1日以降も、当該ベースアップの水準を維持すること」と明記されています。5月までは県の補助金で賄えますが、6月からは自力で毎月2.4万円を稼ぎ出さなければなりません。

損益分岐点は「月間600枚」

6月以降の原資となるのは、調剤報酬改定による「ベースアップ評価料」です。 調剤の場合、処方箋1枚につき4点(40円)の加算となりますよね。

では、この40円で毎月24,166円の賃上げ水準を維持するには、何枚の処方箋が必要でしょうか?

24,166円 ÷ 40円 = 約604枚

お分かりでしょうか。月に600枚以上の処方箋が安定して来ている薬局でなければ、6月以降は「評価料の収入 < 賃上げした固定給」となり、毎月確実に赤字(会社の持ち出し)が発生してしまうのです。

まとめ

支援事業で補助される14.5万円、満額を使い切れるのであればそれに越したことはありません。しかし、自薬局の処方箋枚数を把握せずに「とりあえず満額ベースアップしよう」と安易に賃金規程を書き換えてしまうと、将来にわたって固定費の増大という重荷を背負うことになります。

枚数が少ない薬局の場合は、あえて支援金を全額受け取れる設定にせず、「自薬局の身の丈(実際の処方箋枚数)に合った安全なベースアップ額」に留めておく、という防衛策も必要不可欠です。

制度の表面的な「受け取れる額」だけでなく、それをその後も維持するコストを見極める。薬局経営のシビアな舵取りが求められる局面ですね。

もちろん、「県の補助金やベースアップ要件なんて細かいことにとらわれず、会社の持ち出しになってでもスタッフにしっかり還元する!」という気概のある経営者の方には、全く気にする必要のないお話なんですけどね。

Anout us

このブログを書いている人
くま☆

薬局で働く薬剤師
「薬局のオモテとウラ」(2006~)
日経DI:熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」連載中(2009~)
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