DPP-4を阻害するという新機序の経口糖尿病治療薬ですが、シタグリプチン(製品名:ジャヌビア=万有/グラクティブ=小野)に加えてビルダグリプチン(製品名:エクア=ノバルティス)が発売になりました。
また、武田薬品工業からもアログリプチン(製品名:ネシーナ)が発売の見込みということで、糖尿病治療薬のメインともなってきそうな勢いですね。
食事に応じて出てくるインクレチンというホルモンを分解するのがDPP-4という酵素であり、そのDPP-4を阻害するという作用機序のためでしょうか。低血糖が起こりにくいと言われています。
臨床試験の段階では問題になっていなかったようですが、発売後、どうやら若干様相が違っているようです。
詳しくは日本糖尿病協会(日糖協)のページをご覧ください。
日糖協:【医療従事者向け】インクレチンとSU薬の適正使用について
http://www.nittokyo.or.jp/kinkyu_incretin100408m.html
SU薬にシタグリプチンを追加投与後に重篤な低血糖による意識障害を起こす症例報告が後を絶たない
ということで、注意喚起されています。ビルダグリプチンも同様のことが予想されるため、今日付けで追記されています。
重篤な低血糖症状を起こすケースとして5つが挙げられています。
1. 高齢者
2. 軽度腎機能低下
3. SU薬の高用量内服
4. SU薬ベースで他剤併用
5. シタグリプチン内服追加後早期に低血糖が出現
更にRecommendationとして注意例や禁忌例、またSU剤との併用についても用量等が記載されており、「SU薬の投与量について判断し難い場合は専門医へのコンサルトを強く推奨する」と結ばれています。
私の勤務する薬局でも服用している方がいますが、シタグリプチン服用後、低血糖の恐れがあるとのことでSU剤が減量された例がありました。
これまで低血糖を一度も起こしたことがないという方でも注意が必要になってきそうですので、低血糖症状についての説明やブドウ糖の携行を促すよう注意喚起が必要ですね。
インクレチン治療―GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬による新たな糖尿病治療

コメント
同報告では例としてアマリールに2mgという具体的用量が記載されていましたが、現場としてはあまりこれにこだわらない方が吉ですかね。
糖尿病で長く服薬を続けている方は服薬指導の受け入れが良くない傾向が見受けられます。
「ずっと飲んでるから」とか「もうわかってるから」とか。
まぁ、それも以前から比べれば格段に改善したんですけどね。
折良く糖尿病用薬はハイリスク薬に区分されていますので、今回の糖尿病協会の報告は、こういう受け入れの悪い患者さんを釣るエサ(笑)として活用させていただいてます。
潜在的低血糖が低血糖全体の多数派を占めることは既に明らかにされていますし、また危険視されてもいますので、これを機会に改めて患者さん達に啓蒙していこうと思います。
あ、横道ですが、この春の新薬(新薬じゃない物も相当混ざってますが)のうち、皆さんの注目ってなんですか?
僕はザラカム、ロゼレムです。
夢ありません?
まぁ、今後タプロスとチモロールマレイン酸の合剤でも出ればザラカムよりイカしてると思いますけど(笑)
それと新薬じゃないけど、出ますねアマリール錠0.5mg
自家製剤加算がなくなるという点で、フルイトラン錠1mgに続く大型の新規格品ですなぁ。
DPP-4阻害剤はまだ取り扱ったことが無いので何とも言えませんが、この状況が続くと緊急安全性情報が出るのでしょうかね
(糖尿病関係は出易いイメージ9
今回の新薬はロゼルム以外目新しいのが無いですね
いずれ新薬全てが合剤の日が来るかもしれませんw
こっそりと今度レンドルミンの半錠の後発が出ますね、該当の人はご注意を
>お二方
コメントありがとうございます。
「治験は糖尿病を得意とする医師が行っていると思われます。でも発売後はどの医師でも使います。そして日本の糖尿病治療がSU剤中心なので、更に起こる可能性があるのではないかな。」というコメントをバズにいただきましたのでご紹介します。
治験は基本,Candidate(=候補品)に都合のいい患者を医者と研究者が選んで行います
なのでよく言われるのが治験はその薬の最高打率および瞬間風速であり真の平均ではありえないということです
新薬が出てくると最初の治験データから良くも悪くも結構ずれますから
市販後調査が開発メーカーに義務なのはこのことを把握してのことですしどうしようもないですけどね
今回の注意喚起はDPP4阻害に予想以上の反応を患者がしめしており,血糖値が下がることを受けての意味合いもあるようですね
作用機序からGLP1アナログにも同様の傾向があるはずですがリンク先では触れられてないですね
誰かご存知ですか?
話はそれますがビグアナイド系は市場から姿を消すかもしれませんね
>話はそれますがビグアナイド系は市場から姿を消すかもしれませんね
根拠があったら教えていただけますか?
腎機能に注意すれば乳酸アシドーシスの可能性も高くはなく、
インスリン抵抗性のある肥満タイプの患者さんの随時血糖には良いらしいってイメージしかないもので・・・
間違えました
ビグアナイド系→αグルコシダーゼ阻害剤に読み替えてください
食直前投与のように患者に注文を付ける薬はあまり使いたくないって医師が何人かいたもので
>皆様
コメントありがとうございます。
GED様の「治験はその薬の最高打率および瞬間風速」という例え、納得です。
インスリンの吸入、内服という話も聞こえてきますし、糖尿病治療薬は今後数年でだいぶ様相が変わってくるかもしれませんね。
>GED様
確かに、αグルコシダーゼ阻害剤は苦労しそうですね。
αグルコシダーゼ阻害剤⇒DPP4阻害薬の患者さんに効きがいいのはαグルコシダーゼ阻害剤のコンプが悪いからじゃないかって医師が話しておりました。
ルルルさん
うちでも前の内科医は同じことを言ってました
医師会でも話題になってたそうです
ただ,インクレチンは様々なペプチド分解に関与しており,よくわかっていないことが多いのでこれから何か重大な欠点がでてくるのかもしれません
その点は要注意だと思っています
>お二方
コメントありがとうございます。
ボグリボースなんかはスイッチOTCの候補としてリストに載ってきていましたっけ?
DPP-4阻害剤、まだまだ出てきますが注意を怠らないようにしないとですね。